弛む(読み)タルム

デジタル大辞泉 「弛む」の意味・読み・例文・類語

たる・む【×弛む】

[動マ五(四)]
ぴんと張っていたものがゆるむ。「ロープが―・む」「目の皮が―・む」
張りつめた気持ちがゆるむ。しまりがなくなる。「―・んだ気分をひきしめる」
[動マ下二]たるめる」の文語形
[類語](1緩む緩める/(2だれるだらけるたゆむたがが緩む便便だらり便便のんべんだらりずぼらものぐさぐうたらだらしないしだらないぬらりくらりのらりくらりぬらくらのらくらだらだらちゃらんぽらん無精ルーズぶらぶらごろごろちんたら無気力のほほん風太郎ぷうたろうその日暮らしふしだら自堕落ずるける怠ける手を抜く手抜き骨惜しみのろのろもたもたぐずぐず投げ遣りレイジー怠慢怠惰無為拱手きょうしゅ横着怠るサボるイージーイージーゴーイング風の吹くまま気の向くまま油を売るまったり漫然ぬるま湯ぬるま湯につかるもさくさもさっともさもさのそりのさのさのそのそとぼとぼのこのこのっそりそろそろゆっくりのろまのっしのっしのしのし遅いのろいのろくさいまぬるいまのろいスロー緩慢とろいまだるいまだるっこいにぶ緩徐遅緩スローモー遅遅ぼやぼや鈍重どんとろとろぼちぼちぼつぼつぽつぽつ徐徐徐徐にじわじわじわりじわりじりじりのたりのたりのたりそろりゆるゆるのんびりゆったり悠然悠悠

たゆ・む【×弛む】

[動マ五(四)]
(ふつう、打消しの語を伴って用いる)緊張がゆるむ。油断する。なまける。「まず―・まず励む」
勢いが弱まる。
「たぐへくる松の嵐や―・むらむ尾上にかへるさをしかの声」〈新古今・秋下〉
疲れる。くたびれる。
「足―・めば、この児を肩に乗せ背に負うて」〈太平記・二〉
張ったものがたるむ。ゆるむ。
「糸ガ―・ム」〈日葡
[動マ下二]気持ちをほぐす。油断させる。
御物の怪の―・めけるにや」〈夕霧
[類語]緩む緩めるだれるだらけるたるむたがが緩む

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「弛む」の意味・読み・例文・類語

たゆ・む【弛】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
    1. 張りつめていた気持がゆるむ。安心して気がぬける。おこたる。油断する。のんびりする。
      1. [初出の実例]「清白けき忠誠(まめこころ)を以て敢へて怠惰(タユマ)ず」(出典日本書紀(720)持統五年正月(北野本鎌倉時代訓))
      2. 「たゆまるるもの。精進の日のおこなひ。とほきいそぎ。寺にひさしくこもりたる」(出典:枕草子(10C終)二六)
    2. 勢いが弱まる。力がゆるむ。また、続くべきものがとだえる。とどこおる。
      1. [初出の実例]「心ぼそき住ひなれど、かかる御とぶらひたゆまざりければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
      2. 「時節風たゆみ、塩に向ふて御舟更に進まず」(出典:太平記(14C後)七)
    3. 疲れる。だるくなる。
      1. [初出の実例]「足たゆめば、此児を肩に乗せ背に負ふて」(出典:太平記(14C後)二)
    4. (まっすぐのものが)たるむ。ゆるむ。まがる。たわむ。
      1. [初出の実例]「イトガ tayumu(タユム)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
      2. 「且つ我胸は曲り、足は撓(タ)ゆめり」(出典:楚囚之詩(1889)〈北村透谷〉二)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 緊張を解くようにさせる。心をゆるませる。油断させる。
    1. [初出の実例]「いとつれなく、なにとも思ひたらぬさまにて、たゆめ過ぐすも、またをかし」(出典:枕草子(10C終)二七六)

たる・む【弛】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
    1. 勢いをそらすように、婉曲な表現をしたり、そしらぬようすをしたりする。
      1. [初出の実例]「万葉の詞に十八とかきてにくとつかへり如何〈略〉かの九々の義によせてにくといふ所に十八をかける也 たるめることは也」(出典:名語記(1275)三)
    2. 張りつめていた心がゆるむ。
      1. [初出の実例]「ナニト ウルヲイ ナク カワキタル ゴトクニ ココログルシク ヲボユルトモ、マッタク tarumu(タルム) コト ナカレ」(出典:コンテムツスムンヂ(捨世録)(1596)三)
      2. 「町会議員はたるんどるし」(出典:解体の日暮れ(1966)〈杉浦明平〉三)
    3. 物事の勢いが失われる。また、張っていた力が弱って中ほどがへこむ状態になる。ゆるむ。
      1. [初出の実例]「大ぶりな蛸引あぐる花の陰〈配力〉 米の調子のたるむ二月〈木白〉」(出典:俳諧・芭蕉門古人真蹟(1694))
      2. 「川から川へ懸け渡した太い縄の、水面近くタルんで居るのに」(出典:良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉前)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙たるめる(弛)

だる・む【弛】

  1. 〘 自動詞 マ行五(四) 〙 ( 「たるむ(弛)」の変化した語 )
  2. 知らないふりをする。また、そのようにして相手をだます。
    1. [初出の実例]「高祖のだるうたる反事をせられたぞ」(出典:漢書列伝景徐抄(1477‐1515)陳勝項籍列伝第一)
  3. 張っていた力が弱る。また、張りつめていた気持がゆるむ。
    1. [初出の実例]「我此前は強弓を引張た如有けるが、今は左様になし。然ども、だるむ筈なし。少熟したるかと思ふ也」(出典:随筆・驢鞍橋(1660)下)

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