(読み)ドン

デジタル大辞泉の解説

どん【鈍】

[名・形動]
にぶいこと。頭の回転が遅く、動作がのろいこと。また、そのさま。「なんてな奴だ」
愚かであること。ばかげていること。また、そのさま。
「―な事ぢゃぞ、…妹めが居らぬ」〈伎・幼稚子敵討〉

どん【鈍】[漢字項目]

常用漢字] [音]ドン(呉) [訓]にぶい にぶる のろい
刃物の切れ味が悪い。「鈍器鈍刀
感覚や動作がにぶい。「鈍感鈍根鈍重鈍痛愚鈍遅鈍
にぶくなる。にぶる。「鈍麻鈍磨
進行が遅い。「鈍行
角度がゆるい。「鈍角
[難読]鈍色(にびいろ)鈍間(のろま)

なま‐くら【鈍】

[名・形動]
刃物の切れ味が鈍いこと。また、そのさまや、その刃物。「な包丁」
力が弱いこと。意気地がないこと。また、そのさまや、その人。「なからだ」「そんななことでどうする」
腕前が未熟であること。また、そのさまや、その人。「

にび【鈍】

鈍色」の略。「」「薄

のろ【鈍】

[名・形動]《形容詞「のろい」の語幹から》のろいこと。にぶいこと。また、そのさまや、そのような人。のろま。
「目にあまる―な事をやってますぜ」〈白鳥泥人形

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大辞林 第三版の解説

どん【鈍】

( 名 ・形動 ) [文] ナリ 
頭の働きや動作などがのろいこと。切れ味のにぶいこと。また、そのさま。 ⇔ びんえい 「 -な奴」 「身のこなしが-になる」
ばかげていること。つまらぬこと。また、そのさま。 「大事の娘が病気-な評定する隙がない/浄瑠璃・油地獄

にび【鈍】

「鈍色にびいろ」の略。

のろ【鈍】

( 名 ・形動 )
動作や頭のはたらきなどがおそい・こと(さま)。そのような人。 「此女房に使はれるは中々-では及付かぬ/いさなとり 露伴

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精選版 日本国語大辞典の解説

おぞ・い【鈍】

〘形口〙 おぞ・し 〘形ク〙 (「おそい(遅)」の変化した語) 頭のはたらきがにぶい。のろまで気が利かない。おろかである。
※読本・椿説弓張月(1807‐11)後「鈍(オゾ)き奴かな。などて吾を欺(あざむ)くぞ」
[語誌]頭や心のはたらきののろさをいう「おそい(遅)」から変化したもの。時間的意味の「遅い」との意味分化によって生じたもので、近世、近代にもちいられた。
おぞ‐げ
〘形動〙

おぞ・し【鈍】

〘形ク〙 ⇒おぞい(鈍)

おぞまし【鈍】

おぞまし・い【鈍】

〘形口〙 おぞまし 〘形シク〙 いやな感じがするほどばからしい。愚かしい。
※読本・椿説弓張月(1807‐11)後「ここへ伴ひ進(まゐ)らせながら、面忘れたるこそ鈍(オゾ)ましけれ」
おぞまし‐げ
〘形動〙
おぞまし‐さ
〘名〙

どん【鈍】

〘名〙 (形動) にぶいこと。のろいこと。まがぬけていること。愚かなこと。また、そのさま。また、鈍重なさま。⇔
今昔(1120頃か)一四「我が根性の鈍なる事を歎て云く」

どん‐・す【鈍】

〘自サ変〙 ⇒どんする(鈍)

どん‐・する【鈍】

〘自サ変〙 どん・す 〘自サ変〙 にぶくなる。ぼける。ばかになる。「貧すれば鈍する」
※ブラリひょうたん(1950)〈高田保〉私談「しかし鈍しては居らぬぞと息張ってみせたら、その息張るところがお若いお若いと冷やかされた」

なま‐くら【鈍】

〘名〙 (形動)
切れ味がにぶいこと。また、そのもの。鈍刀。なまくら物。
葉隠(1716頃)七「ためし習に仕候が、なまくらにて候由」
※白鳥の歌(1954)〈井伏鱒二〉「なまくらの庖丁では無理である」
意気地がなかったり、なまけ者であったりすること。また、そのようなさまや人。なまくら者。
雑俳・卯の花かつら(1711)「折紙がつくとなまくら娘にて」
③ ごまかし、うそを、上方でいう。

なま・る【鈍】

〘自ラ五(四)〙
① 鍛え方が不十分なために、なまくらになる。刃物の切れあじが悪くなる。
※史記抄(1477)一二「頓、銕のなまりたを云ぞ」
※二人むく助(1891)〈尾崎紅葉〉六「先頃四頭の馬を殺せしに刃や鈍(ナマ)りたらむ」
② わざの冴えがにぶる。技量が落ちる。
※歌舞伎・三人吉三廓初買(1860)序幕「浪人なせど安森が家来の手練(てなみ)神影流、鈍(なま)らぬ腕の太刀先を、ならば手柄に受けて見よ」
③ 力がにぶる。勢いが弱まる。
※浄瑠璃・本朝二十四孝(1766)四「腕もなまり五体もしびれ」
④ 決心がにぶる。貫徹しようとする意志が弱まる。
※歌舞伎・早苗鳥伊達聞書(実録先代萩)(1876)二幕「拙者が心はなまらねど左言ふ貴殿の御胸中まことに以て心許なし」

にば・む【鈍】

〘自マ四〙 にび色になる。薄墨色に染まる。また、にび色が喪服の色であるところから、喪服を着ることにいう。
※源氏(1001‐14頃)葵「にばめる御衣奉れるも夢の心地して」

にび【鈍】

〘名〙 「にびいろ(鈍色)」の略。
※枕(10C終)八三「あるかなきかなる薄にび、あはひも見えぬきぬなどばかり」

に・ぶ【鈍】

〘自バ上二〙 鈍色(にびいろ)になる。鈍色を帯びる。にばむ。
※源氏(1001‐14頃)朝顔「にびたる御衣どもなれど」

にぶ・い【鈍】

〘形口〙 にぶ・し 〘形ク〙
① 切れ味が悪い。鋭利でない。
※枕(10C終)二五九「紙をあまたおし重ねて、いとにぶきかたなして切るさまは」
② 動作や反応がすばやくない。のろい。また、頭のはたらきがおそい。勘がするどくない。
※源氏(1001‐14頃)幻「おぼしたつほど、にぶきやうに侍らんや」
浮世草子・傾城禁短気(1711)二「毎日五六十の届の文、是でも仕手のにぶい時は」
③ 音の響きなどが低く、するどくない。光などが弱く、鮮やかでない。また、痛みなどの刺激がするどくはないが重苦しい。
※雑俳・軽口頓作(1709)「さあさあさあ・空がにぶいぞみこし様」
※雁(1911‐13)〈森鴎外〉二二「黒ずんだ上に鈍(ニブ)い反射を見せてゐる水の面を」
④ 取引相場で、相場が活気なく下落気味である。
にぶ‐げ
〘形動〙
にぶ‐さ
〘名〙

にぶ・し【鈍】

〘形ク〙 ⇒にぶい(鈍)

にぶ・む【鈍】

〘自マ五(四)〙
① 鈍色(にびいろ)になる。特に、喪服を着ることをいう。にばむ。
※栄花(1028‐92頃)鶴の林「世中の十が九は、皆にぶみ渡りたり」
② 色などの鮮やかさがなくなる。
※青井戸(1972)〈秦恒平〉「時代の艷も黄金(きん)色に鈍んだまんまるい手焙り」

にぶ・る【鈍】

〘自ラ五(四)〙
① にぶくなる。するどさがなくなる。
※書紀(720)天智即位前(北野本訓)「鋭(といさき)(ニフリ)力竭(つ)きて抜くこと能はず」
② 力や勢いが弱くなる。衰える。
※福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉緒方の塾風「少し疲れて筆が鈍(ニブッ)て来ると」
③ ぼんやりする。どんよりとする。また、空が曇る。
※神楽坂(1935)〈矢田津世子〉三「ただ、そんな時の内儀さんは妙に気力のぬけた鈍った表情をしてゐて」

のろ【鈍】

〘名〙 (形動) (形容詞「のろい」の語幹から) 動作や頭の働きなどがおそいこと。また、そのようなさまや人。
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉二一「此女房(かみさん)に使はれるは中々愚鈍(ノロ)では及付(おっつ)かぬ」

のろ・い【鈍】

〘形口〙 のろ・し 〘形ク〙
① 速度がおそい。進み方がゆっくりしている。はかどらない。
※延慶本平家(1309‐10)五本「宇治河は上はのろくて底はやし」
② 動作、頭の働きがおそい。おろかである。愚鈍である。にぶい。
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉四「てめへなんぞはかうべがのろいぜ」
③ 異性に甘い。色情におぼれやすい。
※洒落本・通言総籬(1787)二「をれが顔のたたねへやうな事するなよ。こんなのろい句を出すやうになっちゃあ」
のろ‐げ
〘形動〙
のろ‐さ
〘名〙

のろ・し【鈍】

〘形ク〙 ⇒のろい(鈍)

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