情(読み)ジョウ

デジタル大辞泉 「情」の意味・読み・例文・類語

じょう〔ジヤウ〕【情】

1 物に感じて動く心の働き。感情。「憂国の情」「好悪の情」「知情意」
2 他人に対する思いやりの気持ち。なさけ。人情。「情の深い人」「情にもろい」
3 まごころ。誠意。
4 意地。
5 特定の相手を恋い慕う気持ち。愛情。また、特定の相手に対する肉体的な欲望。情欲。「夫婦の情」「情を交わす」
6 事情。いきさつ。「情を明かす」
7 おもむき。味わい。趣味。
[類語](1)感情・心情・情動・情操・情感・情緒じょうしょ・じょうちょ・情調・情念・喜怒哀楽・気分・気き・気色きしょく・機嫌きげん・気持ち・感じ・エモーション/(2)愛情・愛着・人情・情け・気・情合い・情愛・情味・人情味・温情・恩情・厚情・思いやり・いつくしみ・慈愛・仁愛・仁恵・仁慈・仁心・仁じん・慈悲・憐あわれみ・哀憐・同情

じょう【情】[漢字項目]

[音]ジョウ(ジャウ)(呉) セイ(漢) [訓]なさけ
[学習漢字]5年
〈ジョウ〉
1 物事に感じて起こる心の動き。気持ち。「情熱・情念/感情・苦情・激情・私情・純情・叙情・心情・表情」
2 思いやり。なさけ。「温情・厚情・同情・人情・薄情・非情・友情」
3 異性を慕う心。男女の愛。「情交・情死・情事・情欲/色情・恋情」
4 物事の実際のありさま。「情況・情景・情状・情勢・情報/下情・国情・事情・実情・政情・陳情・敵情・内情」
5 そのものから感じられるおもむき。味わい。「情趣/詩情・余情・旅情」
〈セイ〉おもむき。「風情ふぜい」
[名のり]さね・もと

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精選版 日本国語大辞典 「情」の意味・読み・例文・類語

じょうジャウ【情】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 物事に感じて起こる心のはたらき。感情。きもち。
    1. [初出の実例]「情の(おろか)なること船を刻みしに同じく、文を編み造りては句を乱る」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
    2. 「現在親の別(わかれ)に、哀(かなしみ)の情(ゼウ)が見えぬ奴だから」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前)
    3. [その他の文献]〔荀子‐正名〕
  3. ② 他人を思いやる心。なさけや、まごころ。情愛。
    1. [初出の実例]「本妻をあはれと思ひやる情うすく」(出典:源氏外伝(1673頃)春)
    2. 「其人と始めて持った所帯を崩すのは、情に於て忍びざるのが当然であらう」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)
    3. [その他の文献]〔晉書‐王衍伝〕
  4. ③ 男女間の愛情。情愛。恋情。
    1. [初出の実例]「仙女の別書永く和君の情を燋(こが)せり」(出典:海道記(1223頃)蒲原より木瀬川)
    2. [その他の文献]〔宋玉‐神女賦〕
  5. ④ 本能的な欲望。欲。〔礼記‐坊記〕
  6. ⑤ あじわい。趣味。風情。おもむき。
    1. [初出の実例]「行春丹波にゐまさば、本より此情うかぶまじ」(出典:俳諧・去来抄(1702‐04)先師評)
    2. [その他の文献]〔薛瑩‐晩同友人閑歩詩〕
  7. ⑥ 実際の様子。有様。状態。情況。
    1. [初出の実例]「訴訟の人出来の時、若し下(しも)の情(ジャウ)上に達せざる事もやあらんとて、記録所へ出御成て」(出典:太平記(14C後)一)
    2. 「都には工芸を覧じ、市に貿易の情を察し」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉例言)
    3. [その他の文献]〔戦国策‐東周策・恵王〕
  8. ⑦ 本質。性質。
    1. [初出の実例]「さるほどに万物の情をよく究て」(出典:史記抄(1477)二〇)
    2. [その他の文献]〔孟子‐滕文公・上〕

なさけ【情】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 人間としての感情。人間みのある温かい心。人情。情愛。
    1. [初出の実例]「人がらのあはれになさけありし御心を、うへの女房なども恋ひしのびあへり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
    2. 「その時老いたる親、いとけなき子、君の恩、人のなさけ、捨てがたしとて捨てざらむや」(出典:正徹本徒然草(1331頃)五九)
  3. ② 他にはたらきかける感情、あわれみ、思いやりなど。好意。親切。
    1. [初出の実例]「故との、なさけ少しおくれ、むらむらしさ過ぎ給へりける御本上にて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)竹河)
    2. 「決して慈仁(ナサケ)を加へたまふな」(出典:狐の裁判(1884)〈井上勤訳〉六)
  4. ③ 情趣・風流を理解する洗練された心。みやびごころ。風流心。
    1. [初出の実例]「なさけある人にて、かめに花をさせり」(出典:伊勢物語(10C前)一〇一)
  5. ④ ふぜい。おもむき。情趣。趣味。
    1. [初出の実例]「よしあるこだちのさま、なさけある所に、御目とどまりて」(出典:有明の別(12C後)二)
  6. ⑤ 男女がひかれあう心。恋心。愛情。
    1. [初出の実例]「かほどふかく思ふ中、思ひしらせず出なば、なさけの色もたえぬべし」(出典:曾我物語(南北朝頃)六)
  7. ⑥ 恋愛。情事。好色事。
    1. [初出の実例]「男女のなさけも、ひとへに逢ひ見るをばいふ物か」(出典:正徹本徒然草(1331頃)一三七)

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普及版 字通 「情」の読み・字形・画数・意味

情
常用漢字 11画

(旧字)
11画

[字音] ジョウ(ジャウ)
[字訓] こころ・なさけ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(青)(せい)。〔説文〕十下に「人の陰气にして、欲るなり」とあり、性を陽、情を陰とする漢代の性情論によって説く。〔礼記、礼運〕に人の七情を「學ばずして能くするもの」、すなわち本能であるという。

[訓義]
1. こころ、こころに感じること、うまれつき。
2. まこと、まごころ。
3. なさけ、きもち、あわれみ、愛情。
4. ことわり、おもむき、ようす。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕 ココロ・ナサケ・マコト・アハレブ・ミナリ

[熟語]
情愛▶・情意▶・情佚▶・情殷▶・情韻▶・情慍▶・情猿▶・情縁▶・情歌▶・情懐▶・情核▶・情覈▶・情感▶・情款▶・情願▶・情寄▶・情偽▶・情義▶・情誼▶・情急▶・情況▶・情形▶・情景▶・情語▶・情巧▶・情好▶・情行▶・情恨▶・情至▶・情死▶・情糸▶・情志▶・情思▶・情事▶・情実▶・情趣▶・情熟▶・情緒▶・情恕▶・情尚▶・情傷▶・情賞▶・情条▶・情状▶・情色▶・情深▶・情人▶・情数▶・情性▶・情勢▶・情切▶・情箋▶・情藻▶・情態▶・情致▶・情痴▶・情熱▶・情念▶・情夫▶・情弊▶・情抱▶・情貌▶・情味▶・情▶・情由▶・情欲▶・情慾▶・情理▶・情累▶・情霊▶・情恋▶・情郎▶・情話▶
[下接語]
哀情・愛情・逸情・有情・怨情・恩情・温情・下情・花情・歌情・官情・感情・客情・旧情・窮情・矯情・今情・近情・襟情・苦情・空情・軍情・激情・牽情・交情・厚情・高情・強情・国情・才情・至情・私情・詩情・事情・色情・実情・柔情・抒情・叙情・心情・神情・真情・深情・親情・世情・性情・政情・扇情・俗情・多情・奪情・致情・痴情・中情・忠情・衷情・直情・陳情・定情・情・敵情・同情・内情・人情・任情・熱情・薄情・非情・表情・風情・物情・別情・慕情・芳情・民情・無情・友情・幽情・遊情・余情・抑情・欲情・旅情・劣情・恋情

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改訂新版 世界大百科事典 「情」の意味・わかりやすい解説

情 (じょう)
qíng

中国思想の用語。狭義には感情,情欲のことで,七情(喜,怒,哀,懼(おそれ),愛,悪(にくしみ),欲)として類型化されるが,広義には静かな〈性〉(本性)が動いた状態をすべて情と呼ぶ。したがって四端(惻隠(あわれむ),羞悪(はじる),辞譲(ゆずる),是非)や思慮なども情の範疇(はんちゆう)に入る。情がさらに激しく動いた状態が〈欲〉とされたようである。宋の胡宏(五峯)は性,情,欲の関係を次のような比喩で表現している。〈性は水,心はその流れ,情は水の瀾(さざなみ),欲は水の波浪のようなものである〉(《胡氏知言》巻二)。心の安定をめざす中国の修養論では,この情にいかに対処するかが大問題であった。東晋の仏教者慧遠(えおん)や唐の李翺(りこう)などは,情を悪ときめつけ,滅情論を主張した。儒教では伝統的に情それ自体を否定せず,怒るべきときに怒り喜ぶべきときに喜ぶといった,正しい発出のあり方を求めた。南宋の朱熹(子)もけっして情を否定しなかったが,ただ性を〈天理〉に,情を〈人欲〉に結びつけ,〈天理をなして人欲を滅す〉というテーゼをかかげたため,後世から人間性の抑圧という批判を浴びた。
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世界大百科事典(旧版)内の情の言及

【性即理】より

…北宋の程頤(ていい)(伊川)によって提唱され,南宋の朱熹(しゆき)(子)によって発展させられたテーゼ。程伊川と同時代の張載(横渠(おうきよ))は〈心は性と情とを統括する〉と述べたが,伊川―朱子によれば,性(本性)は理であるのに対して情(感情,情欲としてあらわれる心の動き)は気であるとされる。気は本来善悪とは関係のない存在論的なカテゴリーであるが,朱子学では心を形づくる気は不善への可能性をはらむとみなすので,情=気の発動いかんによっては本来的に天から賦与されている善性=理がゆがめられるおそれがある。…

※「情」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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