素直(読み)スナオ

デジタル大辞泉 「素直」の意味・読み・例文・類語

す‐なお〔‐なほ〕【素直】

[形動][文][ナリ]
ありのままで、飾り気のないさま。素朴。
「―なる山家やまが育ちのたのもしき所見えて」〈露伴風流仏
性質態度などが、穏やかでひねくれていないさま。従順。「素直性格」「素直に答える」
物の形などが、まっすぐで、ねじ曲がっていないさま。「素直な髪の毛」
技芸などにくせのないさま。「素直な字を書く」
物事支障なく、すんなり進行するさま。
餌食を―に与へざれば、痩せおとろへてぞありける」〈仮・伊曽保・下〉
[派生]すなおさ[名]
[補説]インタビューでスポーツ選手などが用いる「素直に嬉しい」は、混じりけなしの嬉しさだと強調したのか、結果に不満はあるが、それはそれとして嬉しいとへりくだって見せたのか、はっきりしない言い方である。
[類語]内気弱気引っ込み思案気弱内弁慶陰弁慶臆病大人しいこわがり小心小胆怯懦怯弱意気地なし小心翼翼弱腰薄弱惰弱柔弱軟弱優柔不断やわやわ弱弱しい女女しい弱音を吐く・音を上げる悲鳴を上げる・気が弱い腰が弱い煮え切らない肝が小さい・肝っ玉が小さい・温順柔順従順温柔温良順良穏和おだやか物静かおとなしやか控えめ優しい内向的人見知りしんねりむっつりシャイ心静か安らか安穏のどか悠長悠然悠悠悠揚浩然どっしり気長伸び伸び伸びやかのんびり屈託無い自然体のんどりしなやかしとやかなよやかなよなよしっとり物柔らか静静しずしずソフトおっとり婉然えんぜんしおらしい閑語たおやかナイーブ心優しい柔和温雅鷹揚おうよう静心しずこころ従容しょうよう悠悠閑閑おおどかつつましい奥ゆかしい泰然自若平静冷静しみじみしっぽりしんみり静まる温顔温容春風駘蕩たいとう穏便粛粛静謐せいひつ静粛

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「素直」の意味・読み・例文・類語

す‐なお‥なほ【素直】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙
  2. 飾り気がなくありのままであるさま。素朴。質朴。
    1. [初出の実例]「今、運(とき)、此屯蒙(わかくくらき)に属(あひ)、民(をほむたからのみこころ)朴素(スナヲ)なり」(出典:日本書紀(720)神武即位前(北野本室町時代訓))
    2. 「千はやぶる神世には、歌のもじも定まらずすなほにして」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
  3. 心の正しいさま。ねじけた心、腹黒い心などを持っていないさま。正直。
    1. [初出の実例]「かくいとすなほにしもあらぬものをと思あはせ給ふ事もあらじやはとなむ思ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)初音)
    2. 「人の心すなほならねば、偽りなきにしもあらず」(出典:徒然草(1331頃)八五)
  4. 心や気だてが他に逆らわないで、おだやかなさま。ひねくれたところのないさま。従順。
    1. [初出の実例]「帝と聞こゆれど、ただすなほに、おほやけざまの心ばへばかりにて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
    2. 「お嬢さんは直(スナホ)だから、アイとお云ひだ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)
  5. とどこおりのないさま。物事が抵抗なくすんなりいくさま。また、平穏無事なさま。
    1. [初出の実例]「仏法をあかめ、心を正直にもつ人は、今生もすなをに、後生も極楽にまいり」(出典:極楽寺殿御消息(13C中)第四七条)
    2. 「人情にかけた事をして善事があるものか。どうで直(すぐ)すなをにやァいくめへ」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
  6. 形状がまっすぐであるさま。曲がったりゆがんだりしていないさま。
    1. [初出の実例]「形のゆがめる時は影のすなほならんことを思ふ」(出典:寛永版曾我物語(南北朝頃)一)
  7. 技芸などに癖がなくて正しいさま。

素直の派生語

すなお‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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