デジタル大辞泉
「春風駘蕩」の意味・読み・例文・類語
しゅんぷう‐たいとう〔‐タイタウ〕【春風×駘×蕩】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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しゅんぷう‐たいとう‥タイタウ【春風駘蕩】
- 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙 春の風ののどかに吹くさま。また、人の態度や性格、その場の雰囲気などがのんびりとして温和なさまのたとえ。
- [初出の実例]「陽艷三月、春風駘蕩(シュンプウタイタウ)の調に移ったのに」(出典:恋慕ながし(1898)〈小栗風葉〉二三)
- 「春風駘蕩としてゐて起居動作が日常と少しも変ってゐなかった」(出典:家族会議(1935)〈横光利一〉)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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春風駘蕩
春の風ののどかに吹くさま。また、人の態度や性格、その場の雰囲気などがのんびりとして温和なさまのたとえ。
[活用] ―たる・―として。
[使用例] 春風駘蕩、桜花まさに開かんとす。夜銀座に赴く。散策の人織るがごとし[永井荷風*断腸亭日乗|1927]
[使用例] 容貌もごつく、学生を馬鹿呼ばわりして口が悪かったが、からだ全体に春風駘蕩たる風格を漂わせ、どこに居てもすぐ目につくような人であった[島尾敏雄*湾内の入江で|1982]
[使用例] こうしてみると、ホワースの牧師館の人々は、故国アイルランドの窮乏とはまるきり関係なく、春風駘蕩たる空気のなかにあったように見える[松本清張*過ぎゆく日暦|1990]
[解説] 「春風駘蕩たる○○」の形でよく使います。例文の[湾内の入江で]が典型的です。ここでは、海軍予備学生の指導官である少佐の様子を「春風駘蕩たる(=温和な)風格」と表現しています。
「春風」というなじみ深い文字に、「駘蕩」という難しい文字が続く成語です。辞書では「駘蕩」は「のどかな様子」「穏やかな様子」と説明しますが、どうしてそうなるのでしょう。
実は、漢字の意味はあまり考えなくてかまいません。「駘蕩」は、のどかさ、穏やかさを表すオノマトペ(擬態語)で、漢字は音を表しているだけです。
「駘」も「蕩」も、最初の子音が同じ(現代中国語ではd音)で、頭韻を踏んでいます。こういう熟語は、双声と言って、よくオノマトペとして使われます。
もっとも、漢字の意味がまったく無関係とまでは言えません。「駘」はのろい馬の意味、「蕩」はゆらゆら広がる意味などでも使われます。春風ののどかな様子と通じる部分もあります。
出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報
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