安らか(読み)ヤスラカ

デジタル大辞泉 「安らか」の意味・読み・例文・類語

やす‐らか【安らか】

[形動][文][ナリ]
穏やかで変わったことのないさま。平安なさま。「安らか旅路を祈る」
何の心配も悩みもないさま。「安らかな眠りにつく」
わかりやすいさま。平易なさま。
文字意味―にして」〈逍遥小説神髄
気楽なさま。
唐衣こき垂れたるほどなど、馴れ―なるを見るも」〈・一八四〉
穏当でわざとらしさがないさま。
うちある調度も昔覚えて―なるこそ、心にくしと見ゆれ」〈徒然・一〇〉
たやすいさま。簡単であるさま。
「(水車ヲ)こしらへさせられければ、―にゆひて参らせたりけるが」〈徒然・五一〉
[派生]やすらかさ[名]
[類語]のどか安穏静か麗らかうらうら穏やか心静か温和物静かおとなしやか悠長悠然悠悠悠揚浩然どっしり気長伸び伸び伸びやかのんびり屈託無い自然体のんどり内気弱気引っ込み思案気弱内弁慶陰弁慶臆病大人しいこわがり小心小胆怯懦きょうだ怯弱きょうじゃく意気地なし小心翼翼弱腰薄弱惰弱柔弱軟弱優柔不断やわやわ弱弱しい女女しい弱音を吐く・音を上げる悲鳴を上げる・気が弱い腰が弱い煮え切らない肝が小さい・肝っ玉が小さい・温順柔順従順温柔温良順良素直控えめ優しい内向的人見知りしんねりむっつりシャイしなやかしとやかなよやかなよなよしっとり物柔らか静静しずしずソフトおっとり婉然えんぜんしおらしい閑語たおやかナイーブ心優しい柔和温雅鷹揚おうよう静心しずこころ従容しょうよう悠悠閑閑おおどかつつましい奥ゆかしい泰然自若平静冷静しみじみしっぽりしんみり静まる温顔温容春風駘蕩たいとう穏便粛粛静謐せいひつ静粛

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精選版 日本国語大辞典 「安らか」の意味・読み・例文・類語

やすら‐か【安か】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「か」は接尾語 )
  2. 穏やかで何の心配もないさま。平安なさま。静穏な状態。無事安楽。
    1. [初出の実例]「人人詠徳(ほむ)る音を誦(あ)けて家毎に、康哉之歌(ヤスラカナリといふうた)有り」(出典日本書紀(720)仁徳四年二月(前田本訓))
    2. 「明暮念仏して、やすらかに世を過ぐす有様、いとあらまほし」(出典:徒然草(1331頃)一二四)
  3. 気楽なさま。ゆったりとして余裕のあるさま。堅苦しくないさま。
    1. [初出の実例]「唐衣こき垂れたるほどなど、馴れやすらかなるを見るも」(出典:枕草子(10C終)一八四)
  4. ゆったりとして感じのよいさま。心が安らぐようなさま。
    1. [初出の実例]「うち笑ひ給ふ様、いとやすらか也」(出典:落窪物語(10C後)四)
  5. らくらくと事を行なうさま。たやすいさま。無造作なさま。やすやす。
    1. [初出の実例]「譬れば人の右の手の自然に隠(ヤスラカニ)便なるが如し」(出典:大智度論天安二年点(858))
  6. わかりやすいさま。平易であるさま。
    1. [初出の実例]「其学科も、平易(ヤスラカ)なるを主とし」(出典:開化のはなし(1879)〈辻弘想〉二)

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