たび【旅】
1 住んでいる所を離れて、よその土地を訪ねること。旅行。「かわいい子には旅をさせよ」
「日々―にして―を栖とす」〈奥の細道〉
2 自宅を離れて臨時に他所にいること。
「あるやうありて、しばし、―なる所にあるに」〈かげろふ・上〉
[下接語]御旅・帰らぬ旅・神の旅・死出の旅・長旅・俄旅・一人旅・船旅・股旅・宿無し旅
[類語]旅行・ツアー・新婚旅行・ハネムーン・長旅・羇旅・遠出・行旅・客旅・旅路・道中・旅歩き・トラベル・トリップ・周遊・遊山・観光・行楽・探勝・遊覧・物見遊山・漫遊・巡遊・歴遊・遊歴・回遊
[補説]
2015年に実施した「あなたの言葉を辞書に載せよう。2015」キャンペーンでの「旅」への投稿から選ばれた優秀作品。
◆心に栄養をくれるもの。
みみさん
◆行く時はうきうき、帰ってきた時はくたくた、でもまたわくわくしてくるもの。
Kouheiさん
◆日頃の自分とは違う、心の奥底に眠っている自分を思う存分解放させてあげる時間。
ぷくさん
◆不足している何かを求め行動すること。何かとは旅によって異なり、それが意外なものである場合や、見つからないことなどもある。
kamekoさん
◆異邦人の舌。海外旅行中など日本を遠く離れると、日本食が恋しくなったり、特別に美味しいと感じること。
ひのもとさん
◆実際に、あるいは想像上で、時間と空間の移動をすること。元のところに帰ってくることが前提になっているので、移動したまま戻らないことは旅とは言わない。
らんるるさん
◆本当の自分なるものを見つけるためではなく、自分が変わっていけることに気づくためなされる試行錯誤。
パスキュラさん
◆想像を働かせ、感じること、触れること、見つめること、澄ますこと。そして、受け入れること。
ゆずさん
◆普段の生活とは異なる環境に身を置き、人と出会い、その土地特有の空気に触れることによって、新しい価値観や視点を得ることができ、これまでの自分を振り返り、これからの自分への活力となるきっかけを与えてくれるもの。
daisukeさん
りょ【旅】
1 中国、周代の軍制で、兵500人を一団とした軍隊。五旅で一師、五師で一軍を編制した。
2 軍隊。
「東西に陣を張り、南北に―を屯す」〈太平記・一五〉
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たび【旅】
〘名〙
① 住む土地を離れて、一時、他の離れた土地にいること。また、住居から離れた土地に移動すること。
※
万葉(8C後)一五・三六七四「草枕多婢
(タビ)を苦しみ恋ひをればかやの
山辺にさ男鹿鳴くも」
※大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)一「
中間に師の為に行
(タヒ)の服を営造す」
② 自宅以外の所に、臨時にいること。よその土地へ行かない場合でもいう。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「御即位に参りてはべりしままに、院のかくたびにおはしますだに参らず」
③ 自分の住んでいる土地でない、よその土地。他郷。
※
飛騨街道(1919)〈
江馬修〉「他国
(タビ)から悪い奴がどんどん入って来るぢゃらう」
りょ【旅】
〘名〙
① 中国、周の時代に、兵士五〇〇人を一団とした軍隊。五旅を一師、五師を一軍とした。転じて、軍隊。
※三教指帰(797頃)下「鼓
二蝨皮
一而驚
レ陣、旗
二蚊羽
一以標
レ旅」 〔
詩経‐
大雅・皇矣〕
② 易の
六十四卦の一つ。


上卦は離(火)、下卦は
艮(山)。火山旅とも。火が山を焼くと次々と燃え移って止まらないように、旅人が転々と
宿舎を移るさま。
たび‐・する【旅】
〘自サ変〙 たび・す 〘自サ変〙 住む土地を離れて、一時、他の土地へ行く。
未知の土地を移り歩く。たびに出る。
※古今著聞集(1254)一六「彼入道旅せむとて、人に
鞍を借りて、其下人してとりにやりたりけり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
旅
株式会社新潮社が発行していた旅行情報誌。奇数月20日発売。日本旅行文化協会(現在のJTB)が機関誌として1924年に創刊。太平洋戦争中の休刊を経て、1946年より日本交通公社から復刊。のちに新潮社に編集・発行権が引き継がれた。2012年1月発売の3月号をもって休刊。
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たび【旅】
【旅の意義】
われわれは日常,いわゆる手のとどく範囲内の限られた人や事物との関係性の中で,所用をつくり所用に迫られて生活している。ときにいや気がさしてこの関係世界から離脱し,旅に出たくともそれは容易に可能なことではない。日常的生活の拘束性の下にあるという現実は,移動をその生活形式としている遊牧民や遠隔地商人でも例外でなく,たとえ移動生活が身上であれ,その移動は所用による移動であって,本来の旅とは区別されねばならない。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典内の旅の言及
【羈旅歌】より
…旅に触発された種々の感情を主題とする歌。羈(羇)は旅,旅やどりを意味し,羈旅という語は《周礼》《楚辞》などの漢籍にも見えるが,中国では詩の分類用語としてはおもに〈行旅〉の語を用いる。…
【神道】より
…中世以降各地に多くの参詣者を集める神社があらわれたが,中でも伊勢神宮や熊野大社では,参詣者を集める御師などの専門的な神官があらわれ,遠隔地からの参詣者の団体を組織した。参詣者は祈願成就のために,旅の苦労と道中の禁忌に耐えて参拝するが,目的を果たした後に,門前町のにぎわいの中で精進落しの歓楽に浸る。さらに参詣のしるしとなるみやげを持ち帰って隣人に配るが,こうした遠隔地参詣のさまざまな習慣は,何世紀にもわたって繰り返されるうちに,日本人の旅行のしかたの型となった。…
【漂泊民】より
…漂泊・遍歴と定住・定着とは,人間の二つの基本的な生活形態である。それゆえ,漂泊民といい,定住民といっても,それは絶対的なものではなく,漂泊についていえば,居所の定まらぬ漂泊,本拠地を持つ遍歴,本拠地を変更するさいの移動,さらに一時的な旅など,さまざまな形態がありうる。しかし,一個の人間にとっても人間の社会においても,またその展開される場や生業のあり方に即しても,漂泊と定住とは,対立・矛盾する生活形態であり,相異なる生活の気分,意識,思想がその中から生まれてくる。…
【弁当】より
…それはオオカミ,キツネ,タヌキや魔物のたぐいが,その箸をとおして使った人間へ災禍をもたらすという観念があったからである。旅行も弁当を必要とする機会であった。古代から中世にかけて,干飯(ほしいい)や握り飯を携行した記録があるが,旅は非日常的な行為であるために,つとめて米の飯が用いられたようである。…
【土産】より
…旅先や外出先でその土地の産物を求めて帰り,家族や餞別(せんべつ)をくれた者などに配る品,また人を訪問する際に持参するいわゆる手みやげをもいう。古くはつと(苞)と称し,〈家づと〉〈都のつと〉などと用いた。…
【他所者】より
…その社会とまったく関係のない者は他所者と呼ばれることもないが,なんらかの形で接触・交渉が生じると,他所者と認識され,そのように呼ばれることになる。日本の伝統的な村落社会においてはウチとソトを区別する観念は強く,ムラに対しソトの世界をセケン(世間)とかタビ(旅)といった。人間についても自分たちの仲間とそうでない者を明確に区別し,セケンやタビの者を他所者として位置づけた。…
※「旅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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