兵(読み)ヘイ

デジタル大辞泉 「兵」の意味・読み・例文・類語

へい【兵】

1 戦闘に従事する者。軍人。兵士。「兵を集める」
2 軍人の最下位の階級。旧陸海軍では、兵長以下の軍人。「二等兵」
3 戦うこと。戦争。いくさ。「敗軍の将は兵を語らず」「兵を起こす」
4 武器。兵器。
[類語](1)(2)軍人・兵士・兵隊・兵卒・つわもの・戦士・闘士・戦闘員・従卒・士卒・将卒・精兵・弱兵・雑兵ぞうひょう・新兵・初年兵・古兵ふるつわもの・老兵・敵兵・敗残兵・伏兵・番兵・歩哨・斥候・歩兵・騎兵・砲兵・工兵・水兵・海兵・セーラー・憲兵/(3)有事・戦時・非常時・乱世・変・事変・革命・戦争・非常・戦いくさ・戦たたかい・戦役せんえき・役えき・兵馬へいば・兵戈へいか・干戈かんか・会戦・合戦かっせん・交戦・戦火・兵火・戦乱・兵乱・戦雲・戦塵せんじん・戦禍せんか・大戦・戦闘

つわ‐もの〔つは‐〕【▽兵】

1 武器をとって戦う人。兵士。軍人。また特に、非常に強い武人。「歴戦の兵」「古ふる兵」
「夏草や―どもが夢の跡」〈奥の細道〉
2 勇気のある強い人。また、その方面で腕を振るう人。猛者もさ。「若いのになかなかの兵だ」「その道の兵」
3 戦いに用いる道具。武器。武具。
「―を業として、悪を旨として」〈宇津保・祭の使〉
[類語](1)軍人・兵・兵士・兵隊・兵卒・戦士・闘士・戦闘員・従卒・士卒・将卒・精兵・弱兵・雑兵ぞうひょう・新兵・初年兵・古兵ふるつわもの・老兵・敵兵・敗残兵・伏兵・番兵・歩哨・斥候・歩兵・騎兵・砲兵・工兵・水兵・海兵・セーラー・憲兵/(2)勇者・勇士・強者・豪傑・猛者もさ・剛の者・強豪・古豪

へい【兵】[漢字項目]

[音]ヘイ(漢) ヒョウ(ヒャウ)(呉) [訓]つわもの いくさ
[学習漢字]4年
〈ヘイ〉
1 戦士。軍人。つわもの。軍隊。「兵員・兵士・兵隊・兵長/衛兵・閲兵・騎兵・挙兵・私兵・将兵・新兵・水兵・尖兵せんぺい・僧兵・徴兵・撤兵・派兵・伏兵・歩兵・民兵・用兵」
2 戦争。軍事。「兵器・兵端・兵法・兵乱」
3 武器。「短兵急・白兵戦」
〈ヒョウ〉
1 軍人。つわもの。「兵糧ひょうろう/軍兵・小兵こひょう・精兵せいびょう・雑兵ぞうひょう・大兵だいひょう」
2 軍事。「生兵法なまびょうほう」
3 武器。「兵具」
[名のり]たけ・ひと・むね
[難読]兵児帯へこおび

ひょう〔ヒヤウ〕【兵】

将棋の駒の、歩ふの異称。

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精選版 日本国語大辞典 「兵」の意味・読み・例文・類語

つわ‐ものつは‥【兵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 戦いに用いる道具。武器。武具。広義には、兵糧(ひょうろう)などをも含む。また、それを用いるわざ。武芸。武術。
    1. [初出の実例]「つはものを業として、悪を旨として」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  3. ② 戦場などで、武器を使用する人。いくさびと。兵。兵士。軍人。
    1. [初出の実例]「今(いま)多(さは)に兵衆(ツハモノ)を動(うこか)して」(出典:日本書紀(720)景行一二年一〇月(北野本訓))
  4. ③ 勇ましく強い武人。勇敢な軍人。勇士。猛者(もさ)。
    1. [初出の実例]「国にも、いみじきあたらつはもの失ひつ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
  5. ④ ( ③から転じて ) 日常生活の態度が堂々としてものに動じない人。信頼できる人。また、自分の所信をまげない人。強情な人。
    1. [初出の実例]「おせん殿にはこなたといふ兵(ツハモノ)あり」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)二)
  6. ⑤ ある方面で、よくも悪くも普通以上の働きをする人。
    1. [初出の実例]「その前田といふ奴は斯ういふことにかけては渡り歩いたつはものです。わるさを積んできてゐる」(出典:彼女とゴミ箱(1931)〈一瀬直行〉橋下のルンペン)

兵の語誌

( 1 )古くは兵よりも武器そのものを指す①の場合が多かった。兵を指す場合は、類義語「もののふ」が「もののけ」に通う霊的な存在感を持つのに対して、物的な力としての兵を意味していたらしい。
( 2 )俳句では漢語「武士」「武者」などとともに使用されるが、和歌ではもっぱら「もののふ」が使われている。


へい【兵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① いくさの道具。武器。兵器。武具。
  3. ② いくさびと。つわもの。戦士。兵士。軍人。また、軍勢。軍隊。〔続日本紀‐延暦二年(783)〕
    1. [初出の実例]「兵を調へ陣を張り」(出典:将門記(940頃か))
    2. [その他の文献]〔史記‐孫子伝〕
  4. ③ いくさ。戦争。軍事。
    1. [初出の実例]「太師正一位藤原恵美朝臣押勝并子孫。起レ兵作レ逆」(出典:続日本紀‐天平宝字八年(764)九月乙巳)
    2. [その他の文献]〔孫子‐始計〕
  5. ④ 旧軍隊で、下士官の下、最下位の階級。陸軍では、兵長、上等兵、一等兵、二等兵を、海軍では、兵長と一等兵から四等兵までを総称した。兵卒。
    1. [初出の実例]「下宿して居る方は曹長様ばかり〈略〉でもね、日曜は兵(ヘイ)が遊びに来るし」(出典:酒中日記(1902)〈国木田独歩〉五月九日)

ひょうヒャウ【兵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ひょう」は「兵」の呉音 ) 将棋(しょうぎ)の駒の一つ。歩兵(ふひょう)の異称。
    1. [初出の実例]「灯へ来る虫・風で付木の歩兵(ヒャウ)迯る」(出典:雑俳・千代見ぐさ(1866))

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普及版 字通 「兵」の読み・字形・画数・意味

兵
常用漢字 7画

[字音] ヘイ
[字訓] つわもの・いくさ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
斤(きん)+廾(きやう)。廾は両手。両手で斤(おの)(斧)をふりあげている形。武器を執って戦うことを示す。〔説文〕三上に「械なり」とあり、械の従うところの戒は、戈と廾、戈(ほこ)を両手でふりあげている形である。〔周礼、地官、鼓人〕「兵」の〔注〕に「干戚(かんせき)なり」とあり、干(たて)や戚(まさかり)をかざして舞う。観兵とは「兵を観(しめ)す」ことで、武器と兵勢とを誇示することをいう。

[訓義]
1. 兵器、刃器の類。
2. 武器をとるもの、つわもの、へいし。
3. いくさ、たたかい。
4. ころす、うつ、きる。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕兵 ツハモノ・イクサ 〔立〕兵 カカフ・ツハモノ・タカシ・タケシ

[熟語]
兵糧▶・兵粮▶・兵衣▶・兵意▶・兵威▶・兵営▶・兵衛▶・兵役▶・兵偃▶・兵家▶・兵戈▶・兵火▶・兵械▶・兵革▶・兵学▶・兵気▶・兵旗▶・兵器▶・兵機▶・兵▶・兵凶▶・兵彊▶・兵▶・兵刑▶・兵経▶・兵戟▶・兵訣▶・兵権▶・兵庫▶・兵伍▶・兵甲▶・兵寇▶・兵死▶・兵士▶・兵子▶・兵資▶・兵事▶・兵車▶・兵主▶・兵首▶・兵戎▶・兵術▶・兵書▶・兵衝▶・兵場▶・兵仗▶・兵食▶・兵刃▶・兵塵▶・兵陳▶・兵帥▶・兵制▶・兵勢▶・兵籍▶・兵燹▶・兵船▶・兵戦▶・兵卒▶・兵站▶・兵端▶・兵団▶・兵▶・兵丁▶・兵屯▶・兵難▶・兵農▶・兵馬▶・兵匪▶・兵費▶・兵備▶・兵符▶・兵舞▶・兵柄▶・兵変▶・兵弁▶・兵簿▶・兵鋒▶・兵謀▶・兵務▶・兵厄▶・兵乱▶・兵欄▶・兵略▶・兵力▶
[下接語]
按兵・鋭兵・衛兵・閲兵・偃兵・援兵・戈兵・衙兵・外兵・客兵・簡兵・観兵・玩兵・奇兵・起兵・鬼兵・騎兵・義兵・疑兵・救兵・挙兵・強兵・驕兵・禁兵・軍兵・勁兵・軽兵・見兵・憲兵・工兵・甲兵・降兵・兵・散兵・私兵・持兵・兵・車兵・弱兵・手兵・守兵・従兵・出兵・将兵・称兵・兵・勝兵・城兵・振兵・神兵・新兵・寝兵・親兵・水兵・精兵・尖兵・洗兵・選兵・造兵・雑兵・賊兵・大兵・帯兵・短兵・治兵・鋳兵・駐兵・長兵・徴兵・敵兵・撤兵・天兵・徒兵・屯兵・鈍兵・農兵・派兵・敗兵・白兵・番兵・府兵・伏兵・辺兵・歩兵・募兵・砲兵・暴兵・民兵・游兵・用兵・傭兵・利兵・良兵・兵・練兵・老兵・弄兵・勒兵

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「兵」の意味・わかりやすい解説

兵
へい

軍人の階級で将校、下士官の下の地位にある者。旧日本軍では海軍が1920年(大正9)、陸軍が31年(昭和6)から兵の呼称を採用したが、それ以前は陸海軍とも卒と称していた。陸軍は兵を兵長、上等兵、一等兵、二等兵に、海軍は一等兵、二等兵、三等兵、四等兵に区分していた。兵は所定の課題・任務を果たせば昇進でき、さらに下士官、将校への道も開かれていた。現在自衛隊は兵にあたる者を士と称し、士と士長に区分している。

[纐纈 厚]

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世界大百科事典(旧版)内の兵の言及

【桓武平氏】より

…これらが桓武平氏に系譜をもつ東国豪族層の武士化の初期的現象であるといえよう。当時このような武力の担い手を一般に兵(つわもの)と呼称したが,将門やこれを討滅した貞盛(国香の子)をはじめ,村岡五郎良文・忠常あるいは貞盛の弟繁盛,その子の余五将軍維茂などはこの時代の名だたる兵であった。 こうして東国では主として桓武平氏一族に系流をもつ在地の豪族的武士の成長が見られるが,忠常の乱を平定した源頼信の活躍,そしてそののち奥州におこった前九年・後三年の役に際して源頼義・義家が東国武士を積極的に組織していったことなどを機会に,東国の桓武平氏の一族の多くは清和源氏を棟梁としてその武的組織の下に結集されていった。…

【家人】より

…さまざまな職能(芸能)を主人に提供し,主人からは恩給を与えられて,両者の間には双務的な主従関係が形成された。なかでも武芸によって主人に仕えた家人は兵(つわもの)とか侍(さぶらい)とか呼ばれ,主人の武力を構成し,主人とその一族・家の警固等にあたった。その家人は主人との従属関係から二つのタイプに分けられる。…

【武士】より

…12世紀半ば以後,武士の政治的勢力が増大し,鎌倉幕府の創設から江戸幕府の終末まで670余年の間,武家政治を展開させた。
[武士の発生]
 武士は10~11世紀の農村を母体として生まれたが,その発生要因の一つとしては国家の兵制の変化のもとで8世紀末に生まれた健児(こんでい)制(健児)をあげねばならない。これは地方の郡司や富裕農民の子弟を武芸に専従させたものであるが,そこから地方有力者が武技を練り武士化する要件が生まれた。…

【兵法】より

…軍学,兵学のこと。〈用兵の法〉の略語で,兵はもと武器の意から転じて軍隊の意。…

※「兵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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