対(読み)タイ

デジタル大辞泉 「対」の意味・読み・例文・類語

たい【対】

1 対照をなすこと。また、反対の関係にあること。「男の対は女」
2 互いに相手関係にあること。「巨人対中日戦」
3 数を表す語の間に入れて、数量の比例・割合を表す語。「三対二の割でまぜる」
4 同等の力量・資格であること。「対で碁を打つ」
5 二つで一組みとなるもの。つい。
「ある時宣宗が一句を得て―を挙人きょじん中に求めると」〈鴎外・魚玄機〉
6 「対の屋」の略。
「ひんがしの―の西の廂」〈枕・八〉
7 名詞などの上に付けて、比較・交渉・戦いなどの相手であることを表す。「対前年比」「対欧州貿易」
[類語]相対あいたい・差し向かい・差し・真向かい・反対・もろに・もろ・直接的・正面・真ん前・前方・向かい・真向き・真っ向・真正面・真面まおもて・直じか・直じかに・直直じきじき・直接・直ちょく・単刀直入・率直・露骨・ずばり・ざっくばらん・ずけずけ・あけすけ・ストレート・ダイレクト・歯に衣きぬ着せぬ・てきめん・まとも・矢面やおもて・あからさま・あらわ・むき出し・赤裸・赤裸裸・公然・ずばずば・無ぶ遠慮・えげつない・フランク・遠慮会釈もない・きっぱり・断固・毅然きぜん・開けっ放し・開けっ広げ・不躾ぶしつけ・身も蓋ふたもない

たい【対〔對〕】[漢字項目]

[音]タイ(呉)(漢) ツイ(唐) [訓]むかう こたえる
[学習漢字]3年
〈タイ〉
1 向かい合う。二つが向き合う。「対岸・対決・対抗・対座・対策・対象・対比・対面・対立/絶対・相対・敵対・反対」
2 相手になって受け答えする。「応対・接対」
3 二つで一組のもの。「対偶」
4 対島つしま国。「対州」
〈ツイ〉の3に同じ。「対句/一対」

つい【対】

[名]
1
㋐二つそろって一組みとなること。また、そのもの。「対になっている置き物」
㋑素材や模様・形などを同じに作って、そろえること。また、そのもの。「対の着物」
2 「対句ついく」に同じ。
[接尾]助数詞。
1 二つで一組みになっているものを数えるのに用いる。「一対の夫婦茶碗めおとぢゃわん」
2 衣服・調度など、ひとそろいのものを数えるのに用いる。「三幅さんぷく対」
「竜虎梅竹唐絵一―」〈庭訓往来〉
[類語]ペア・双・組み・揃そろい・一揃い・一対いっつい・番つがい・一式・セット

つい【対/堆】[漢字項目]

〈対〉⇒たい
〈堆〉⇒たい

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精選版 日本国語大辞典 「対」の意味・読み・例文・類語

たい【対】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 向かい合うこと。相手になること。
    1. (イ) 対比すること。比較すること。
      1. [初出の実例]「大人対(タイ)子供としての関係の方が、深く私の頭に浸み込んでゐる」(出典:硝子戸の中(1915)〈夏目漱石〉三六)
    2. (ロ) 試合や勝負などの組み合わせや点数の対照を表わすことば。vs.
      1. [初出の実例]「あれでもやはりお客さまよ。しかも向うは三人で送るといふのよ、三対一よ」(出典:残夢(1939)〈井上友一郎〉)
    3. (ハ) 相対すること。また、反対のもの。
    4. (ニ) ( 接頭語的に用いる ) 働きかけ、交渉、対抗などの相手であることを示すことば。
      1. [初出の実例]「却って『毎日』の如き無勢力な新聞を生さず殺さずして置く方が〈略〉最良の手段であると云ふのが此人の対『毎日』観であった」(出典:菊池君(1908)〈石川啄木〉四)
  3. ② 数量などの比率、割合を表わすことば。「三対二の比率」
  4. ③ 双方に優劣、高下の差がないこと。また、その差をつけないこと。対等であること。
    1. [初出の実例]「実(まこと)には御製と文時が詩と対(たい)に御座(おはします)」(出典:今昔物語集(1120頃か)二四)
  5. ④ 二つそろって一組となるもの。ペア。つい。
    1. [初出の実例]「詞の林、筆の海など、対(タイ)にたとへたり」(出典:諷謌鈔(1600頃)七)
  6. ⑤ 「たいのや(対屋)」の略。
    1. [初出の実例]「東の五条に大后の宮おはしける、西のたいに住む人有りけり」(出典:伊勢物語(10C前)四)
  7. ⑥ ⑤に住む人、その屋敷のあるじの夫人。
    1. [初出の実例]「たいに聞き置きて常にゆかしがるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)薄雲)

つい【対】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ① 二つの物が同類であること。あるいは、一組のものとして対応すること。同じ材料・模様・性質・形などを持っていること。また、そのもの。
      1. [初出の実例]「コレワ tçuigia(ツイヂャ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
      2. 「二個の湯呑は、夫婦別々の好みにて、対(ツヰ)にあらず」(出典:化銀杏(1896)〈泉鏡花〉一)
    2. ② =ついく(対句)
      1. [初出の実例]「又、ことばの飾りを求めて対を好み書くべからず」(出典:無名抄(1211頃))
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙
    1. ① 衣服・調度などの一そろいを数える場合に用いる。また、絵などのそろいになるものを数える場合にもいう。
      1. [初出の実例]「龍虎梅竹唐絵一対」(出典:庭訓往来(1394‐1428頃))
      2. [その他の文献]〔白居易‐酔中得上都親友書詠而報之詩〕
    2. ② 二つで一組になるものを数える場合に用いる。〔コリャード日本文典(1632)〕
      1. [初出の実例]「仲の好い夫婦の一対(ツヰ)であった」(出典:こゝろ(1914)〈夏目漱石〉上)

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普及版 字通 「対」の読み・字形・画数・意味

対
常用漢字 7画

(旧字)對
14画

[字音] タイ・ツイ
[字訓] うつ・むかう・こたえる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
旧字は對に作り、(さく)+土+寸。は掘鑿などに用いる器。これで土を撲(う)ち堅めることを對という。版築の作業は、両版の間に土を入れ、これを撲ち堅めて造成するもので、撲もその器を手にもつ形。州の殷の都城の城壁の一部が遺存するが、その版築は一層ごとに土を撲ち堅めたもので、その撲った杵(きね)状の痕迹が残されている。〔説文〕三上に正字を口に従う形とし、「(こた)ふること方無きなり。~の以爲(おも)へらく、責對して面(ま)のあたり言ふは、多くは對に非ず。故に其の口を去りて、以て士に從ふなり」(段注本)とするが、卜文・金文の字はみな土に従う。金文に多く「對揚(こたえる)」の意に用いるのは、版築のとき、両者相対して土を撲つことからの転義であろう。その恩・休賜に奉答する意の語である。

[訓義]
1. うつ、あげる、土をうつ。
2. むかう、あたる、あう、あいて、つい。
3. こたえる、あわせる、たぐえる、むかえる。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕對 トグ・コタフ・ムカフ・タグヒ・カサヌ・カタキ・アタル・オモフ・アフ/一對 ヒトクサリ・ヒトカサネ 〔立〕對 アタル・サハリ・マウス・カサヌ・モノフク・コタフ・サカリ・ホガラカ・ムカフ・キラフ・アフ・アダ・カタキ

[声系]
〔説文〕に對声としてなど三字を収める。は怨む。と声義が通じる。敦にも撲つ意がある。

[熟語]
対飲▶・対雨▶・対▶・対越▶・対応▶・対勘▶・対捍▶・対岸▶・対眼▶・対顔▶・対碁▶・対局▶・対偶▶・対▶・対景▶・対月▶・対向▶・対講▶・対坐▶・対策▶・対峙▶・対膝▶・対質▶・対酌▶・対酒▶・対称▶・対象▶・対照▶・対牀▶・対審▶・対待▶・対談▶・対敵▶・対当▶・対等▶・対答▶・対頭▶・対匹▶・対面▶・対揚▶・対立▶・対論▶・対話▶・対句▶・対聯▶
[下接語]
一対・応対・佳対・対・偶対・作対・辞対・酬対・召対・条対・正対・静対・接対・絶対・専対・善対・奏対・相対・属対・待対・置対・敵対・反対・名対・面対・問対

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世界大百科事典(旧版)内の対の言及

【寝殿造】より

…完成形または典型をどのようにとらえるかは異論もあるが,現在までは次のような説が有力である。まず敷地は方一町(約120m四方)で,主屋である寝殿を中心に,東および西,場合によっては北,北西,北東などに副屋である対(たい)(対屋(たいのや))を置き,これを廊(渡殿(わたどの))で結ぶ。東西対からは南に細長い中門廊が延び,その南端には釣殿を建てる。…

【数】より

…とくにヨーロッパでは,三平方の定理に関連して,ピタゴラスはという無理数の存在を知ったが,当時線分の長さは,それに含まれる点の数に比例するという信仰があり,が分数で表せないことの意味がわからなくて苦しんだという。〈ゼノンのパラドックス〉(二つあり,一つはアキレウスはカメを追いぬくことができない,他は矢は飛ばないというもの)も,上記信仰に対するパラドックスであるという。ユークリッド(エウクレイデス)が整数でない実数をあまり扱わず,整数と図形とに力を注いだのも,ピタゴラスと同じ悩みをもち,それに明確な答えが得られなかったからであるという説もある。…

※「対」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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