宋(中国、南朝(420~479))(読み)そう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

宋(中国、南朝(420~479))
そう

中国、南朝最初の王朝(420~479)。彭城(ほうじょう)郡(江蘇(こうそ)省)の人、劉裕(りゅうゆう)(武帝)がたてた。下級武将出身の劉裕は、桓玄(かんげん)を討って東晋(とうしん)を再興、また南燕(なんえん)、後秦(こうしん)を滅ぼして内外に勲功をあげ、恭(きょう)帝の禅譲を受けて建康(南京(ナンキン))に王朝を開いた。その死後、長子の少帝が継いだが、かわって第2子の文帝が擁立され、その治世30年は元号にちなんで「元嘉の治(げんかのち)」と繁栄をたたえられた。しかし晩年北魏(ほくぎ)討伐に惨敗して国勢を傾け、皇太子劉劭(りゅうしょう)に斬殺(ざんさつ)された。兄の劉劭を討って即位した孝武帝は、身分の低い寒人を寵任(ちょうにん)して皇族貴族を弾圧し専制政治を行った。これ以降、前廃、明(めい)、後廃と暴君が続き、軍閥蕭道成(しょうどうせい)(南斉(なんせい)の高帝)が後廃帝を暗殺して順帝を擁立したのち禅譲を迫り、8代で滅びた。初め武帝は貴族から軍権を奪って皇族で政権中枢を固め、強力な王朝体制を築いたが、文帝のころから皇族が下級貴族や地方豪族と結んで反政府化する動きが強まり、政乱が絶えなかった。

[安田二郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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