日本大百科全書(ニッポニカ) 「宮(名古屋市)」の意味・わかりやすい解説
宮(名古屋市)
みや
名古屋市熱田(あつた)区神戸(ごうど)町、伝馬(てんま)町付近の旧称。熱田神宮の南にあった旧東海道の宿駅で、宮の宿とも称された。熱田神宮の門前町、桑名への渡船場「七里の渡し」があり、佐屋(さや)、美濃(みの)両街道の分岐点であった。伝馬町周辺は街道随一のにぎわいを呈し、1843年(天保14)には旅籠(はたご)248軒を数えた。大瀬子(おおせこ)にある常夜灯は夜間航行禁止のため点灯された。他宿と違い、船奉行(ぶぎょう)所、船番所や尾張(おわり)藩の外港として東西の浜御殿などもあり、城下町の魚貝をまかなう熱田の魚市もあった。現在は、宮の渡し公園内に「七里の渡し跡」が残る。
[伊藤郷平]