(読み)テン

デジタル大辞泉 「点」の意味・読み・例文・類語

てん【点】

[名]
ペンの先などで軽く突いて記したような小さなしるし。また、そのように見えるもの。ぽち。ちょぼ。「難読漢字のわきにを打つ」「飛行機がとなって消える」
読点とうてん。文章の句点を「丸」というのに対していう。「、」で表す。
漢字の字画のうち、1に似た形のもの。「犬」の「、」など。
位置だけあって大きさのない図形。二つの線が交わる部分。「二を通る直線」

㋐物事の成果、成績などに対する評価。また、それを数値で表したもの。評点。点数。「が辛い」
㋑競技の得点。「が入る」
特に注目すべき箇所。ところ。「人間と他の動物との違うは何だろう」「そのぬかりはない」「悪いは直す」
非難される点。欠点。非。→点を打つ
漢文訓読のために字のわきに付けた傍訓や符号の総称。返り点・ヲコト点の類。訓点。
和歌・連歌・俳諧などで、批評・添削てんさくすること。また、その評価を表すしるし。
10 灸点きゅうてん。「をおろす」
11 一昼夜を12等分した刻をさらに細分した単位。「辰の三
12 航海・航空で用いる角度の単位。1点は円周360度を32等分した11.25度。
[接尾]助数詞
評点・得点を数えるのに用いる。「一〇〇満点」「五差」
物品の数をかぞえるのに用いる。「展覧会に三出品する」
[類語](1ぽちぽつちょぼちょん黒点こくてん中黒なかぐろドット/(2句点読点句読点/(5点数得点評点評価ポイントスコアカウント/(6ところ箇所部分めんふし部位一部一部分局部局所細部断片一端いったん一斑いっぱん一節いっせつくだりパートセクション

てん【点〔點〕】[漢字項目]

[音]テン(呉)(漢) [訓]ともす とぼす たてる
学習漢字]2年
小さなしるし。ぽち。「点画点線圏点黒点斑点はんてん傍点
文字や文章につける符号。「訓点濁点句読点
特定の位置や個所。「観点起点疑点拠点欠点時点弱点終点重点焦点争点地点頂点難点美点沸点盲点要点利点論点
評価。また、その値。「高点採点次点同点得点評点満点
しるしなどをつける。ちょっとした動作をして入れる。さす。「点火点眼点景点茶点灯画竜点睛がりょうてんせい
一つ一つ改め調べてみる。「点検点呼
[難読]点前てまえ・たてまえ

ちょ‐ぼ【点】

樗蒲ちょぼさいの目の打ち方に似ているところからいう》
しるしとして打つ点。ぽち。ほし。「を打つ」
(ふつう「チョボ」と書く)歌舞伎で、地の文を義太夫節で語ること。また、その義太夫節、およびその太夫。ちょぼ語り。床本ゆかほんの語る部分に傍点を打ったところからの名称という。
[類語]ぽちぽつちょん黒点こくてん中黒なかぐろドット

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精選版 日本国語大辞典 「点」の意味・読み・例文・類語

てん【点】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 大きさがなく位置だけをもつ図形。二直線が交わる部分。
    2. 一つの集合を通常の空間になぞらえて空間と呼んだときのその要素。
    3. 書きものなどに記す小さなしるし。
      1. (イ) 円形の印。ぽち。
      2. (ロ) 読点、傍点などに用いる印。「
        1. [初出の実例]「楞伽阿跋多羅宝四巻〈科点〉、〈略〉肇論一巻〈点〉」(出典:福州温州台州求得経律論疏記外書等目録(854))
        2. 「文の味がぬける故、箇様な処は点を打つか間隙をおくかして」(出典:筆まかせ(1884‐92)〈正岡子規〉一)
      3. (ハ) 漢字の字画の(ロ)のような一画。また、古くは、一般に漢字の画をさしていった。
        1. [初出の実例]「手を書きたるにも、深き事はなくて、ここかしこのてんなかに走り書き」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    4. 斑点。
      1. [初出の実例]「蒼色にて黒き点ある卵、四個を入れ置きたり」(出典:尋常小学読本(1887)〈文部省〉五)
    5. 漢文を訓読する時、その読み順を示すために、字の傍につけるしるし。かえり点。漢文訓読に用いる傍訓やヲコト点などをも含む。「点をさす」
      1. [初出の実例]「大将、文のてん直すとてある筆を春宮とらせ給て」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開中)
    6. 文詞の添削。和歌・連歌・俳諧の各首各句に、評者が評価を示すために加える、かぎ印や「º」印「ゝ」印などの記号。また、その評価。→合点(がってん)点を打つ点を掛ける
      1. [初出の実例]「已上百八十六首墨者中書大王御点、朱者戸部尚書点也」(出典:隣女集(1295)一)
      2. 「発句より点(テン)かけ出して、長点なしに九十三点かけられし」(出典:浮世草子・西鶴名残の友(1699)一)
      3. [その他の文献]〔後漢書‐文苑伝・禰衡〕
    7. ( から転じて ) 物事を評価・批評すること。また、高く評価すること。
      1. [初出の実例]「ぐっと新しい所をはなしねへ。向ふでわっちが点をしやう」(出典:洒落本・遊婦里会談(1780))
    8. 評価としての点数。お点。
      1. [初出の実例]「朱で点を付けたのもあり、優とか佳とかしたのもあった」(出典:破戒(1906)〈島崎藤村〉二一)
    9. 欠点。きず。非難。→点付かる点を打つ
      1. [初出の実例]「客をまはすとやら何とやら、〈略〉とんとよし原などにはねへ点(テン)だの」(出典:洒落本・売花新駅(1777)閨中并にきぬぎぬ)
    10. 一昼夜を一二等分した刻(こく)をさらに分けたもの。特に、不定時法で日没から夜明けまでをさらに五等分したものの一つをいう。
      1. [初出の実例]「八日。天晴。辰一点潮満」(出典:参天台五台山記(1072‐73)一)
    11. さし示す事柄。箇所。
      1. [初出の実例]「あの保阪にすらもその点(テン)では及ばない」(出典:金(1926)〈宮嶋資夫〉二二)
    12. (きゅう)を据える所に墨でつける点。または、灸をおろすこと。灸点。
      1. [初出の実例]「肩ぬく 灸の点(テン)」(出典:俳諧・毛吹草(1638)三)
    13. てんちゃ(点茶)」の略。
      1. [初出の実例]「点は濃淡の手練にありて、其妙にいたるべし」(出典:随筆・胆大小心録(1808)一四〇)
    14. 令制下、正丁男子を兵士や衛士に指定すること。
    15. ( 「一点」の略 ) ただ一つの点。また、ほんの少しのこと。
      1. [初出の実例]「僕、生来、点、未だ屈を受けず」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)四)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙
    1. 点数を数えるのに用いる。
    2. 品物の数を数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「品物を何点盗んで行ったから」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉五)

ちょ‐ぼ【点】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ちょぼ(樗蒲)」の采の目の打ち方に似ているところからという )
  2. しるしに打つ点。ぼち。ほし。
    1. [初出の実例]「児輩の手習に点を加ふる事をちょぼうつといふも、采のめよりいひならはせる也」(出典:和訓栞後編(1887))
  3. ( 浄瑠璃太夫の語る部分に、しるしの点を打ったところから ) 歌舞伎で、地の文を義太夫節で語ること、および、その義太夫節。また、それを語る太夫。ちょぼがたり。
    1. [初出の実例]「桜川に杣人、塞翁子町の甚幸に活邑(うへむら)の幣辞、といふ舞台で豊広がチョボぢゃア結構茶番だ」(出典:滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)上)
  4. ちょぼゆか(点床)」の略。

なか‐で【点・中手】

  1. 〘 名詞 〙 囲碁で、三目以上七目までの連続した空点を持ちながら、その中心点に打たれて死んでしまう形。また、その中心点に打つ着手。空点の数によって三目なかで、四目なかでなどと呼ぶ。なかて。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「敵に取こめられ、黠(ナカデ)おろされては」(出典:咄本・狂歌咄(1672)五)

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普及版 字通 「点」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(旧字)點
17画

[字音] テン
[字訓] くろぼし・しるし・なおす・ともす

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は點に作り、占(せん)声。占に店・沾(てん)の声がある。〔説文〕十上に「小なり」とあって、小さな黒点をいう。〔楚歳時記〕に、八月十四日、民家では児童の額(ひたい)に朱をつけて病除けとする俗があり、天灸また点額という。わが国のアヤツコに類する俗である。加点し、点炭すること。また点景・点睛・点茶のように用いる。

[訓義]
1. くろぼし、黒い小点、ほし、ちょぼ。
2. しるし、くぎりのしるし、きるしるし。
3. 小さい、かすかな、すこし。
4. けす、なおす、かく、かきこむ。
5. しらべる、かぞえる。
6. よごれ、けがす、しみ、きず。
7. さす、加える、ともす、ふれる、そそぐ。

[古辞書の訓]
名義抄〕點 ミル・シリゾク・ヌキツ・サス・シム・ケヅル・カク・オソフ・ケガス 〔字鏡集〕點 シリゾク・カムガフ・オソフ・ヤク・ケヅル・イサキタリ・ケガス・ヌキツ・トム・シルス・サカシ・シム・キズ・カクル・カク・シルシ

[語系]
點・tyamは同声。(てん)は玉に小さなきずのあること。沾・覘thiamも声近く、すべて小さく部分的のことをいう。

[熟語]
点易・点閲・点・点化・点火・点瑕・点画・点額・点勘・点喚・点・点鬼・点戯・点景・点欠・点検・点絢・点験・点行・点査・点彩・点在・点・点視・点試・点漆・点・点充・点書・点銷・点鐘・点辱・点心・点塵・点数・点睛・点正・点青・点精・点染・点僉・点選・点素・点存・点・点単・点茶・点籌・点定・点滴・点綴・点点・点頭・点灯・点湯・点白・点拍・点発・点附・点封・点・点名・点薬・点
[下接語]
一点・雨点・円点・点・火点・加点・花点・額点・合点・観点・起点・灸点・拠点・極点・句点・訓点・欠点・圏点・黒点・採点・散点・支点・指点・漆点・弱点・朱点・終点・重点・焦点・粧点・進点・塵点・星点・争点・点・黛点・地点・読点・特点・得点・難点・白点・斑点・批点・美点・微点・氷点・評点・標点・墨点・満点・盲点・要点・利点・漏点・論点

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図書館情報学用語辞典 第5版 「点」の解説

図書・逐次刊行物などの数を表すのに用いる語で,書名・誌名・紙名などのタイトルを単位として数える場合に用いる.形態的単位としての冊とは,通常は一致しない.例えば図書館で所蔵する雑誌の数を表す場合,製本雑誌という形態的単位としての冊数によって数える方法と,タイトルの異なる雑誌の点数によって数える方法とがあり,前者が物理的な数量を表しているのに対し,後者は所蔵する雑誌の多様性・種類の多さを示している.

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改訂新版 世界大百科事典 「点」の意味・わかりやすい解説

点 (てん)
point

幾何学における点は,直線や平面とともに(古典的な)幾何学を構成する基本概念であって,ふつう点とは位置のみがあって大きさのないものと説明されている。ユークリッドの《ストイケイア》も,その冒頭の定義の第1に〈点は部分をもたないもの〉,第3に〈線の端は点〉と述べ,また公準の第1に〈任意の2点は直線で結べる〉ことを要請して幾何学を展開している。ユークリッドは上述のように点を定義するが,これは数学的な定義とはいえず,ただ点の暗示的記述にすぎない。古代ギリシア以来,点の定義はいろいろと模索されたが,幾何学を完全な論理体系として構成しようとするかぎり,点は直線や平面とともに無定義術語として,これらの相互間の関係を与える公理によって規定するという方法をとらざるを得ないことがヒルベルトによって1899年に示された。なお,現代の数学においては,抽象的なものの集りである集合をしばしば空間と呼び,この場合に集合を構成する元を空間の点と呼ぶ。
執筆者:


点 (てん)
point

航海や航空に関して用いられる角度の単位で,記号はpt。航海などで用いられるコンパスには,円周を32等分した点をつけることが13世紀の中ごろより始まったといわれる。つまり,1pt=(2π/32)rad=(π/16)rad=(360/32)°=11.25°である。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「点」の意味・わかりやすい解説


てん
point

幾何学における基本的な概念。まず平面上にあって平行でない異なった2直線の「交わり」は点である。その性質としては,相異なる2点はただ1つの直線を決定し,1つの直線上にない3点はただ1つの平面を決定する。ユークリッドは『原本』のなかで,「点とは部分のないものである」と定義したが,この定義には,彼の意図とは別に,感覚的要素が密接に結びつけられている。これでは現代数学のために種々の難点が生じる。それでまったく純粋に抽象的なものとして点を規定するため,D.ヒルベルトは,点を無定義用語として,「われわれは,3種類のものの集りを考える。第1の集りに属するものを点と名づけ,A,B,Cをもって表わす」というように表現した。点は,同様に無定義用語である「横たわる」「間」「合同」「平行」「連続」など関係を表わす言葉を用い,公理によってその性質が規定される。現在では一般に,抽象空間の元を点と呼ぶことが多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「点」の意味・わかりやすい解説


てん

図形を構成する究極の要素が点である。点そのものを定義することはできないが、二つの直線の共有点、あるいは、異なる2点が一つの直線を定める、などというように他の図形との相互関係によって点が規定される。「点には位置だけがあって大きさはない」、あるいは、「点が集まって線となる」など、一見矛盾した言い表し方もあるが、平面幾何を公理的に構成するときには、点と直線と平面とは、いわゆる無定義述語であり、それらの相互関係が公理として述べられる。現実のいろいろな形を理想化して三角形や四角形などの図形を考えるが、このとき、異なる2点を結ぶ線分とか、三つの点を線分で結んだ三角形というふうに考えたりする。平面や空間の全体にわたって点を考えるときの点の位置は、座標を定め、実数の組によって表される。

[柴田敏男]

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百科事典マイペディア 「点」の意味・わかりやすい解説

点【てん】

古典的には,ユークリッド空間の0次元部分空間。つまり広がりをもたず位置のみをもつもの。現代数学では一般に集合(特に位相空間)の要素(元)を点という。

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デジタル大辞泉プラス 「点」の解説

点(ともる)

株式会社サッポロライオンが展開する和食店・居酒屋のチェーン。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【ヤントラ】より

… 図形としては,次のようなものが用いられる。点(それ以上凝縮しえない究極的相を示す),直線(成長・展開の相を示す),円(〈全体〉を表す),四角形(自然の質料を表す),三角形(サーンキヤ学派の説く純質・激質・暗質という自然の三つの性質などを示し,下向きのものは女性原理を,上向きのものは男性原理を表す),下向きと上向きの二つの三角形が交わってできる六芒星の形(六角の星形で,現象世界を顕現させる力を表す),五芒星(地・水・火・風・空の〈五大〉などを表す)などである。そのほかに〈門〉を表す形(聖域に入る入口を示す),蓮の花弁の形(神格の属性としての願望を成就させる力などを表す)なども用いられる。…

【主題】より

…20世紀においては,新しい技法の開拓や音楽観の変化に伴って,主題概念そのものが再検討を迫られている。なお,フーガなどの模倣対位法楽曲の主題をサブジェクトsubject(ポイントpointともいう)という。【土田 英三郎】。…

【点】より

…航海や航空に関して用いられる角度の単位で,記号はpt。航海などで用いられるコンパスには,円周を32等分した点をつけることが13世紀の中ごろより始まったといわれる。つまり,1pt=(2π/32)rad=(π/16)rad=(360/32)゜=11.25゜である。【大井 みさほ】…

【岬】より

…海に突出した陸地の先端部。成因としては,山稜が沈水した場合や,硬い岩石からなるため波の浸食に抗して形成される場合が多い。また砂の堆積で突出する砂嘴(さし)の岬もある。瀬戸内海の岬の多くは沈水山稜タイプであり,太平洋に突出する犬吠埼(いぬぼうさき),伊良湖岬(いらごみさき)などは硬岩タイプである。また北海道の野付崎(のつけざき),神戸の和田岬などは砂嘴タイプである。岬を示す用語としては,岬,崎,埼,碕のほかに角,鼻などがある。…

※「点」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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