デジタル大辞泉
「異様」の意味・読み・例文・類語
こと‐ざま【異様】
[名・形動ナリ]
1 普通とは変わったありさま。ことよう。
「かたちの―にて、うたてげに変はりて侍らば」〈源・賢木〉
2 期待などに反しているか、または今までと違ったありさま。
「ねむごろに言ひ契りける女の―になりにければ」〈伊勢・一一二〉
3 他の方面。ほかの人。
「さりとて、―の頼もしき方もなし」〈和泉式部日記〉
こと‐よう〔‐ヤウ〕【異様】
[名・形動ナリ]普通と違っていること。また、そのさま。風変わり。
「風俗の―なるは」〈逍遥・当世書生気質〉
「これがままに仕うまつらば、―にこそあべけれ」〈枕・一〇三〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
こと‐ざま【異様】
〘名〙
① ほかの方面の事。違った
分野にある事。また、
当面の問題とは違っている事。
※
源氏(1001‐14頃)行幸「又またおほせ言に従ひてなむ、ことさまの事はともかくも思ひさだむべき」
②
予期、期待や、今までの状態とは違った
有様。「ことざまになる」の形で、懸想したり契りをかわしたりした女性が、期待を裏切って別の男性と結婚するのをいうことがある。
※
伊勢物語(10C前)一一二「ねむごろにいひ契りける女の、ことさまになりにければ」
※源氏(1001‐14頃)
宿木「なほ
寝殿を失ひてことさまにも造り変へんの心にてなん」
③
事実や
真相とは違った話の内容。実際とは違うこと。
※源氏(1001‐14頃)
夕顔「そのあらん
乳母などにも、ことさまにいひなしてものせよかしなど語らひ給う」
④ (形動) 普通の有様とは違っていること。異様な、また、変わったさま。こと
しま。
※源氏(1001‐14頃)賢木「かたちのことさまにて、うたてげに変はりて侍らばいかが思さるべき」
い‐よう ‥ヤウ【異様】
〘名〙
※
風姿花伝(1400‐02頃)二「同じ人と申しながら、
模様の変りたらんを着て、
一体(いってい)異やうしたるやうに、
風体を持つべし」
② (形動) 普通と変わって
様子の変なこと。異常なさま。
※
御堂関白記‐寛仁元年(1017)四月一一日「所
レ申事甚以異様、無
二尻口
一」
※忘れえぬ人々(1898)〈
国木田独歩〉「大津の眼は少し涙にうるんで居て、異様な光を放て居た」
こと‐しま【異様】
〘名〙 (「しま」は「さま」に同じ) 異なったこと。変わった様子。ことざま。
※正倉院文書‐天平勝宝九年(757)三月二五日・孝謙天皇詔「供奉政の趣異志麻(ことシマ)に在に他き事交へは恐み供奉政畢て後に趣は宣む」
こと‐よう ‥ヤウ【異様】
〘名〙 (形動) 変わっていること。普通とはちがう様子。また、そのさま。めずらしいさま。ことざま。異常。風変わり。
※落窪(10C後)一「かくことやうにあらむ人を見て、心とまりて思ふ人はありなむや」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報