町・街・坊(読み)まち

精選版 日本国語大辞典 「町・街・坊」の意味・読み・例文・類語

まち【町・街・坊】

〘名〙
① 田の区画。区画した田地
※催馬楽(7C後‐8C)桜人「桜人 その舟ちぢめ 島つ田を 十万知(マチ)つくれる」
宮殿、または邸宅内の一区画。
※夜の寝覚(1045‐68頃)五「姫君のおはしますまちは、いとことに、なにの草木も、さまことに造りみがき増いたるに」
③ 建物が集まっている場所。
正倉院文書‐万葉仮名文(762頃)「我が養ひの代りには、おほ坐します、南(みみなみ)の末知(マチ)なる奴を受けよと」
④ (「坊」とも書く) 都城の条坊制の区画の一つ。平城京・平安京では左京右京の東西にはしる大路にはさまれた四つの坊(ぼう)総称
書紀(720)大化二年正月(北野本訓)「四の坊(マチ)に令(うなかし)一人を置く」
⑤ 都城の条坊制で、長さおよび面積の単位である町(ちょう)のこと。平安京では四〇丈四方。四町で一保、四保で一条となる。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「四丁の所を四つに分かちて、まちひとつにひはだのおとど、廊、渡殿、倉、板屋などいとおほくたてたる」
⑥ 特定の種類の居住者のいる地域を、その種類を冠して呼んだもの。神祇町、春宮町など。
※続日本後紀‐承和五年(838)七月戊辰「以仕丁町地長廿四丈広四丈
⑦ 物を商う店の集まった地域。物品を売買する場所。市場。〔十巻本和名抄(934頃)〕
人口が密集し、家屋の立並ぶ地域。市街。市街地。〔日葡辞書(1603‐04)〕
⑨ ⑧をさらに細分した区画。
随筆・皇都午睡(1850)三「京に町(マチ)と呼ぶ所多くて町(てう)と唱ふる所すくなし」
亀卜鹿卜などで、甲や骨に彫り、または描いておく占いの線や形。一説に、占いであらわれる神聖な場所。
※新撰亀相記(830)「以天力、掘町判掃之〈穴体似町〉」
⑪ 品等。階級等級
※紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一一日「よはひの程、おなじまちのは、をかしと見かはしたり」
町人。また、町人階級。町方。町娘。
※談義本・根無草(1763‐69)後「子・女妓・町・屋形、女は男娼の美なるに及ばず」
⑬ 町役人。町年寄。また、町会所。
浮世草子世間胸算用(1692)三「㝡前引合したる太皷もちは、盗人の請に立けるとて、町へきびしき断」
⑭ 遊里の内に対して、その外をいう。
※浮世草子・傾城禁短気(1711)四「万徳にいふて太夫を引欠き、町にての平産」
⑮ 遊里内をさしていう。
⑯ 税金。町税。
※随筆・戴恩記(1644頃)下「柴田修理亮殿を頼み、知恩院へ町を進上したりしかば」
⑰ 市や区を構成する小区分。
⑱ 地方公共団体の一つ。その要件は都道府県の条例で定められ、一般に人口が市よりも少なく村よりも多い。ちょう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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