デジタル大辞泉
「品」の意味・読み・例文・類語
しな【品/▽科/▽階】
1 (品)何かに使用する、形のあるもの。品物。「見舞いの―」「結構なお―」
2 (品)商品。「良い―を安く売る」「―が豊富な店」「―ぞろえ」
3 物の品質。「―が落ちる」
4 材料や品質の良し悪しによって分けた種類。等級。「―分け」
5 (科)ちょっとした媚を含んだ身ぶりやしぐさ。特に、女が男に見せるようす・態度についていう。「―をする」
6 地位。身分。家柄。
「人の―高く生まれぬれば」〈源・帚木〉
7 人の品格。人柄。品位。
「さぶらふ中に―心すぐれたる限りを選りて」〈源・若菜上〉
8 きざはし。階段。
「御階の中の―のほどに居給ひぬ」〈源・若菜上〉
9 物事の事情、立場。
「徳様も死なねばならぬ―なるが」〈浄・曽根崎〉
[類語](1)(2)物・品物・物品・金品・代物・製品・売り物・商品・売品・非売品・商い物/(3)(4)品質・品柄・質的・定性的・クオリティー/(5)嬌態・媚態
ほん【▽品】
[名]
1 古代の中国で、官人に与えられていた位階。
2 日本で、親王・内親王に与えられた位階。一品から四品まであり、無位の者は無品とよばれた。品位。
3 日本で、位階の異称。
[接尾]上に来る語によっては「ぼん」「ぽん」となる。
1 仏教で、極楽往生する者の能力や性質などを等級に分ける語。上中下に分け、さらに、それぞれを上中下に分ける。→九品
2 仏典の中の編や章に当たるもの。「方便品」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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しな【品・科・階】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 階段。きざはし。
- [初出の実例]「階陛 倭云之那(シナ)」(出典:新訳華厳経音義私記(794))
- 「御階の中のしなの程に居給ひぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- ② 種類。また、等級やその違い。差異。
- [初出の実例]「因りて物贈ること各(おのおの)差(シナ)有り」(出典:日本書紀(720)欽明二年四月(寛文版訓))
- ③ 人の位(くらい)。身分。地位。
- [初出の実例]「位の階級(シナ)を闕(もら)せり」(出典:日本書紀(720)斉明二年是歳(北野本訓))
- 「人のしな高く生まれぬれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- ④ 人や物の品格、または品質。
- (イ) ( 人間に関して ) 人品。人柄。ひん。
- [初出の実例]「見知り顔にほのめかす、いとしなおくれたるわざになむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
- (ロ) ( 物事の状態、性質に関して ) 風情。風格。品格。
- [初出の実例]「この半臂の句は、必ずしなと成りて姿を飾るものなり」(出典:無名抄(1211頃))
- ⑤ 物事の事情や理由。
- (イ) そうなった事情や立場。
- [初出の実例]「あたまから御かへりの後は、としてかくしてと、其品(シナ)をかかるべし」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)京)
- (ロ) 理由。わけ。
- [初出の実例]「此度の合戦に大将の御目に及ぶ程の高名せよかし、それを品に勘当許し」(出典:浄瑠璃・吉野都女楠(1710頃か)三)
- ⑥ 方法。しかた。やりかた。
- [初出の実例]「罪科に依て、成敗のしなあり」(出典:中華若木詩抄(1520頃)上)
- ⑦ 相応の格式をもった物。また、単に品物。もの。
- [初出の実例]「かれら、これらをとりあつめ、十二のしなでぬふたる、かたかた物ただ一まい」(出典:虎明本狂言・吃(室町末‐近世初))
- ⑧ ちょっとしたしぐさやふるまい。物腰。態度。特に、あだっぽいしぐさ、様子。媚(こび)をふくんだしぐさ、様子。
- [初出の実例]「そろそろと・目から品つくむすめの子」(出典:雑俳・神酒の口(1775))
- ⑨ 感情のこもっていること。情味。→しなを有らす。
- [ 2 ] 「しながわ(品川)」の略。
- [初出の実例]「品の客酒たけなわにおよんだり」(出典:雑俳・柳多留‐一〇(1775))
品の語誌
( [ 一 ]について ) ( 1 )「新撰字鏡」で「陛」「層」「
」につけられた和訓に「シナ」とあることや、地名の「しなの」「さらしな」「やましな」などから、本来は階段状の地形を表わす語であったことが考えられる。
( 2 )これがその後、同類の事物間に存する階層や差異、人の身分、さらに転じて、人や物の品格をも意味するようになる。
ほん【品】
- 〘 接尾語 〙
- [ 一 ] 位階を示す語。
- ① 古代の中国で、官人に与えられていた位階。早く、春秋時代から行なわれていたが、制度として確立したのは北魏の文帝の頃、陳群が九品官人之法を定めたのに始まる。
- [初出の実例]「九品以上の官の者」(出典:今昔物語集(1120頃か)九)
- [その他の文献]〔国語‐周語中〕
- ② 日本で、親王・内親王に与えられる位階。一品(いっぽん)から四品(しほん)まであり、無位の者は無品(むほん)と呼ばれた。品位(ほんい)。
- [初出の実例]「一品。礼服冠。〈四品以上。毎レ品各有二別制一〉」(出典:令義解(718)衣服)
- ③ 日本で、位階の別称。もともと「位(い)」というべきものを唐風にならって称えたもの。
- [初出の実例]「自二当寮頭一、登二四品之栄爵一」(出典:本朝文粋(1060頃)六・為小野道風申山城守近江権介状〈菅原文時〉)
- [ 二 ] 等級、種類、部類などを示す語。
- ① 仏教で、極楽往生する者の能力や性質を分けたもの。上中下に分け、さらに各々を上中下に九つに分ける。
- ② 一般に能力、性質などを上中下に分けた等級。
- ③ 身分。階級。→侍品(さぶらいほん)。
- [ 三 ] 仏典の中の、章節に当たるもの。一編・一章をいう。章。部。
- [初出の実例]「乞者来たり。法華経品を読みて物を乞ふ」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
ひん【品】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 種類。品種。しな。
- ② 人や物事にそなわっている品格や品質。しな。
- (イ) 品位。品格。風格。
- [初出の実例]「ひんの能いばばあ扇子の芝でなき」(出典:雑俳・柳多留‐一一(1776))
- (ロ) 品質。
- [初出の実例]「帛 ヲリモノノ ヒンカ コノゴロハ ヨフゴザラン」(出典:交隣須知(18C中か)二)
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙 料理などの品数を数えるのに用いる。上にくる語によって「ぴん」となる。
- [初出の実例]「料理が二三品(ピン)運ばれて」(出典:放浪時代(1928)〈龍胆寺雄〉五)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「品」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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