普及版 字通 「辺」の読み・字形・画数・意味
辺
常用漢字 5画
(旧字)邊
19画
[字訓] くにざかい・あたり・ほとり・はし
[説文解字]
[金文]
[その他]
[字形] 形声
旧字は邊に作り、(へん)声。はまたに作る。自は鼻の象形。下は台架の形。鼻穴を上にして台上におかれた屍体の形で、首祭として知られている祭梟の俗を示す。いわゆる髑髏棚(どくろだな)である。は架屍の象。方は人を(たく)する形。これを外界と接する要所に設けて、呪禁とした。それで境界の意となり、辺境の意となり、辺端の意となる。〔説文〕二下に「垂崖を行くなり」とし、辺崖の意とする。〔説文〕四上は(へん)に「宮見えざるなり。闕」としており、の形義について説解を加えていない。〔爾雅、釈詁〕「垂なり」、〔広雅、釈詁四〕「方なり」は、両者を合わせて外方の意となるが、邊は本来祭梟(さいきよう)を行う塞外の地をいう語である。金文の〔大盂鼎(だいうてい)〕に「殷の邊侯甸(でん)」の語があり、辺境の諸侯をいう。侯は候望の意。辺塞をまた辺徼(へんきよう)という。徼もまた髑髏の形である白と、架屍(かし)の象である方とに従い、これを攴(う)つ祭梟の俗を示す字で、辺塞の呪禁をいう。
[訓義]
1. くにざかい、外界と接するところ、祭梟の地。
2. はし、はずれ、かぎり、へり、ふち、はて。
3. かたすみ、あたり、ほとり、そば。
4. いなか、かたいなか、とおい。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕邊鄙 師、阿豆万豆(あづまつ)、西京の賦の附訓に安川万宇止(あづまうど)とみえる 〔名義抄〕邊 サカヒ・ハカリ・スツ・ホトリ/兩邊 コナタカナタ 〔字鏡集〕邊 トホシ・ハカリスツ・カタハラ・サカヒ・ハカル・ホトリ・サカシ
[語系]
邊pyen、濱(浜)pienは声近く、陸に邊といい、水に濱という。bien、(墳)biunも声義に関係のある語である。邊は祭梟、は墳(ふんえい)で、犠牲などを埋めるところ。濱・は水に臨んで霊を賓送して祀る意を原義とする。みな一系の語。
[熟語]
辺域▶・辺裔▶・辺衛▶・辺役▶・辺駅▶・辺遠▶・辺縁▶・辺音▶・辺火▶・辺界▶・辺涯▶・辺扞▶・辺捍▶・辺患▶・辺関▶・辺郷▶・辺境▶・辺疆▶・辺徼▶・辺近▶・辺垠▶・辺隅▶・辺勲▶・辺郡▶・辺計▶・辺警▶・辺隙▶・辺月▶・辺県▶・辺功▶・辺荒▶・辺候▶・辺寇▶・辺獄▶・辺塞▶・辺最▶・辺際▶・辺朔▶・辺策▶・辺使▶・辺事▶・辺守▶・辺戍▶・辺愁▶・辺将▶・辺障▶・辺牆▶・辺上▶・辺壌▶・辺城▶・辺色▶・辺人▶・辺塵▶・辺陲▶・辺燧▶・辺陬▶・辺声▶・辺俗▶・辺粟▶・辺地▶・辺籌▶・辺鎮▶・辺庭▶・辺廷▶・辺亭▶・辺都▶・辺土▶・辺頭▶・辺難▶・辺馬▶・辺畔▶・辺備▶・辺鄙▶・辺表▶・辺撫▶・辺風▶・辺幅▶・辺兵▶・辺僻▶・辺防▶・辺烽▶・辺民▶・辺務▶・辺野▶・辺邑▶・辺憂▶・辺落▶・辺吏▶・辺略▶・辺塁▶・辺炉▶・辺粮▶・辺論▶・辺和▶
[下接語]
一辺・雲辺・沿辺・縁辺・檐辺・下辺・花辺・河辺・界辺・開辺・辺・檻辺・岸辺・巌辺・橋辺・近辺・沙辺・塞辺・朔辺・四辺・戍辺・周辺・上辺・身辺・水辺・綏辺・拓辺・池辺・籌辺・枕辺・定辺・底辺・天辺・道辺・那辺・日辺・半辺・備辺・撫辺・保辺・北辺・無辺・籬辺・林辺・炉辺
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報