デジタル大辞泉
「難しい」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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むずかし・いむづかしい【難・六借】
- 〘 形容詞口語形活用 〙
[ 文語形 ]むづか
し 〘 形容詞シク活用 〙 ( 古くは「むつかしい」→語誌。「むずかる(むつかる)」と同源 ) - ① 機嫌が悪い。不快な表情や態度をあらわに見せている。
- [初出の実例]「北の方にはかかる事なんとけしきも見せ奉り給はず、ただおほかたいとむつかしき御けしきにて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
- 「彼は失望に堪へぬ険渋(ムヅカシ)い顔をして」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉後)
- ② 気に入らず不愉快である。気持が晴れないでうっとうしい。むしゃくしゃする。
- [初出の実例]「けふうちへ参らで、こもりものすれば、むつかしうおもほゆるかな」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
- ③ 正体の知れないもの、なじみのないものに対して、気味が悪い。不安で恐ろしい。
- [初出の実例]「右近は、ただあなむつかしと思ひける心ち、皆さめて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
- ④ 風情がなくてむさくるしい。よごれてきたない。
- [初出の実例]「げに、かくむつかしき所にのみ籠り侍れば、いとど拙き心地するを」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)
- ⑤ ごたごたとして煩わしい。うるさい。面倒だ。
- [初出の実例]「御物忌み何やと、むつかしうつつしませ奉り給」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
- ⑥ 回復しにくいほど病気が重い。
- [初出の実例]「宮依二風発給一、従二西京一辺還給了。〈略〉若猶二六借坐給一者、可レ還二支度一也」(出典:高野山文書‐久安四年(1148)四月三日・御室御所高野山参籠日記)
- ⑦ 理屈や論理が複雑で理解しにくい。解きほぐしがたく入りくんでいる。
- [初出の実例]「坊主の身持をむつかしう仕置かれて、女房を持たせず、魚を食はせず、嘘をつくな、酒を飲むななど」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)四)
- 「『ナショナル』の『フォース』と言へば、なかなか難敷(ムツカシイ)書物だ」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
- ⑧ 困難でおぼつかない。まったく不可能というわけではないが、それに近い状態である。
- [初出の実例]「何ともむつかしき僉儀にて」(出典:浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)三)
- ⑨ 意地が悪いなど、性格が素直でなくてとりつきにくい。理屈がちであったりして気軽に接しにくい。
- [初出の実例]「事に触れて悪ざまにて、六借からん者をば、仕べからず」(出典:六波羅殿御家訓(13C中)第一条)
難しいの語誌
( 1 )室町期まではムツカシと清音である。ムヅカシが出てきたのは近世末といわれ、以後、両語が並存している。
( 2 )現在、新聞や放送用語、教科書などではムズカシイを採っており、一般にはムズカシイがかなり優勢になってきている。
難しいの派生語
むずかし‐が・る- 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
難しいの派生語
むずかし‐げ- 〘 形容動詞ナリ活用 〙
難しいの派生語
むずかし‐さ- 〘 名詞 〙
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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