喧しい(読み)ヤカマシイ

デジタル大辞泉 「喧しい」の意味・読み・例文・類語

やかまし・い【×喧しい】

[形][文]やかま・し[シク]
声や物音などが騒がしい。うるさく、不快である。「工事現場の―・い音」
いろいろの人が話題にして騒がしい。また、評判が高い。「世間が―・い」
こまごまとしていて、めんどうくさい。また、小言が多くてわずらわしい。「何事にも―・い人」「書類の手続きが―・い」
きびしい。「しつけに―・い家庭」「規則が―・い」
好みなどが気むずかしい。「食べ物に―・い人」
うるさ[用法]
[派生]やかましがる[動ラ五]やかましげ[形動]やかましさ[名]
[類語](1うるさい騒騒しい騒がしいかまびすしいかしましいにぎやか口うるさい口やかましい小やかましい騒然喧騒喧喧囂囂けたたましい/(3世話煩雑面倒めんどう厄介手数てかず・てすう複雑煩瑣はんさ難しいうるさい煩わしい面倒臭いややこしいくだくだしいうっとうしいこうるさい気詰まりしち面倒しち面倒臭い難儀煩多錯雑錯綜さくそうしち難しい入り組んだ込み入った手が込んだ気が重い気が進まない気乗り薄うんざり億劫おっくう渋る投げ遣り大儀懶惰らんだ横着怠慢怠惰不精懈怠けたい世話が焼ける手が掛かる冗長繁簡ごたごたもつれる入り乱れる紛糾ごっちゃ乱雑雑然

かま‐びすし・い【×喧しい/×囂しい】

[形][文]かまびす・し[シク]《古くク活用であったものが、中世初期ごろからシク活用として用いられたもの》やかましい。かしましい。「―・いせみの鳴き声」「世間の声があれこれと―・い」
「波の音常に―・しく潮、風ことに激し」〈方丈記
[派生]かまびすしさ[名]
[類語]うるさいやかましい騒騒しい騒がしいかしましいにぎやか口うるさい口やかましい小やかましい騒然喧騒喧喧囂囂けんけんごうごうけたたましい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「喧しい」の意味・読み・例文・類語

やかまし・い【喧】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]やかま〘 形容詞シク活用 〙
  2. 音や声などが大きかったり、多く入り交じったりして、神経をいらだたせる。騒がしい。
    1. [初出の実例]「をのをのは何をやかましく申さるるぞ」(出典:評判記・色道大鏡(1678)五)
  3. こまごまとした感じで、煩わしい。めんどうである。
    1. [初出の実例]「九月の紋日の御世話をやかましう思召しての事と」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)五)
  4. 小言や無駄口などが多く、聞いて煩わしく感じる。
    1. [初出の実例]「はてやかましい。此忠兵衛をそれ程たはけと思やるか」(出典:浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)中)
  5. 形式にとらわれている。理屈っぽい
    1. [初出の実例]「わちきなんざア十三のとき北廊(なか)でひろめをしてやかましい合しゅにひきまはされて」(出典安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二)
  6. 厳しい。厳格である。
    1. [初出の実例]「内においてどのやうにやかましく申ても、折屈(をりかがみ)が直りませぬ」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)二)
  7. 盛んに話題にされる。評判が高い。
    1. [初出の実例]「大分評判もやかましいから、世界中にひろまるに違ひない」(出典:露団々(1889)〈幸田露伴〉八)

喧しいの派生語

やかまし‐が・る
  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙

喧しいの派生語

やかまし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

喧しいの派生語

やかまし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

かま‐びすし・い【囂・喧】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]かまびす〘 形容詞シク活用 〙 ( 古くはク活用。鎌倉初期ごろからシク活用があらわれたらしい。→かまびすし )
  2. (音や声が)やかましい。さわがしい。かしましい。かまみすし。
    1. [初出の実例]「波の音、常にかまびすしく、しほ風ことにはげし」(出典:方丈記(1212))
    2. 「先般来名古屋にて松平良七の松平慶承が公判を開かれしに、一般の評判囂すしく」(出典:東京日日新聞‐明治一六年(1883)八月三日)
  3. かまびすし(囂)

囂しいの語誌

ク活用の「かまびすし」は元来は漢文訓読語で、中古の和文では「かしがまし」が用いられた。中世以後も主に文語的文体の中で使われ、それに対応する口語は、中世では「かしまし」、近世では「やかまし」「さわがし」であった。

囂しいの派生語

かまびすし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

かま‐びす・し【囂・喧】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙
  2. かまびすしい(囂)
    1. [初出の実例]「かまびすくすだきし虫も声やみていまは嵐の音ぞはげしき」(出典:為相本曾丹集(11C初か))
  3. 困窮するさまをいう。〔和訓栞(1777‐1862)〕

囂しの語誌

→「かまびすしい」の語誌


かま‐びすし【囂・喧】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙かまびすしい(囂)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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