鳥取[県](読み)とっとり

百科事典マイペディア 「鳥取[県]」の意味・わかりやすい解説

鳥取[県]【とっとり】

中国地方北東部,日本海に面する山陰地方の県。県庁所在地は鳥取市。3507.05km2。58万8667人(2010)。〔沿革〕 かつての因幡(いなば)国伯耆(ほうき)国2国の地で,中世佐々木高綱,名和長年らが守護となり,のち山名氏,尼子氏,毛利氏らが勢力をもったが,近世を通じて池田氏32万石の領であった。1871年鳥取県となり,1876年島根県に編入,1881年分離。〔自然〕 東西に細長く,南部は岡山県にまたがる中国山地で,道後山,蒜山(ひるぜん),那岐(なぎ)山,兵庫県境の氷ノ山など標高1000mを越える山が連なる。その北は600〜700mの低位平たん面が分布。西部に大山火山群がそびえる。ほぼ北流して日本海に注ぐ日野川天神川千代(せんだい)川はいずれも短く,下流にそれぞれ米子,倉吉,鳥取の3平野を形成。海岸には鳥取,北条などの砂丘列がみられ,北西部に砂嘴(さし)の弓ヶ浜がある。冬多雪の日本海岸式気候を呈し,快晴日数は少ない。〔産業〕 産業別人口構成は第1次10.9%,第2次24.8%,第3次62.9%(2005)で,第1次産業依存度が比較的高い。耕地率は12.5%で生産性も低く,兼業農家が約86%。平地での米作のほか,傾斜地や砂丘地の利用が進み,二十世紀ナシ(全国首位)などの果樹,スイカ,ブロッコリー,ナガイモなどの野菜,タバコを栽培。肉牛因伯牛乳牛,鶏,豚の飼育が盛ん。林野面積は総面積の73%を占め,東部の若桜(わかさ),智頭(ちず)が林業の中心。漁業は境港,鳥取市以東の漁港などを基地とし,カレイ,イカ,イワシ,サバ,名産ズワイガニ漁獲。第1次産業に比べると工業の水準は低い。電気機械,食品,繊維,木工,パルプのほかに伝統の和紙などがある。大山隠岐・山陰海岸2国立公園と比婆道後帝釈・氷ノ山後山那岐山2国定公園があり,温泉や山陰独特の景観が多い。〔交通〕 日本海岸に沿って通じる山陰本線と国道9号線が主幹線で,主要都市も沿線に発達,山陰本線から因美・伯備・境各線が分岐し,東部に若桜鉄道,智頭急行,鳥取自動車道,西部に米子自動車道が通じる。鳥取・米子2空港がある。
→関連項目山陰地方中国地方

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