慌ただしい(読み)アワタダシイ

デジタル大辞泉 「慌ただしい」の意味・読み・例文・類語

あわただし・い【慌ただしい】

[形][文]あわただ・し[シク]《近世初期までは「あわたたし」》
物事をしようとしてしきりにせきたてられるさま。落ち着かなくせわしいさま。「―・い年の瀬」
状況の移り変わりが急で、一定しないさま。「経済界の―・い動き」
[派生]あわただしげ[形動]あわただしさ[名]
[類語]忙しいせわしいせわしない気ぜわしい目まぐるしいきりきり舞い東奔西走てんてこ舞い多忙繁忙繁多繁劇多事多端多用繁用席の暖まるいとまもない猫の手も借りたいそそくさせかせか性急拙速多端忙殺怱忙そうぼう倥偬こうそう怱怱そうそう大忙し取り紛れる手が塞がる目が回る応接にいとまがないあくせくこせこせばたばたせっかちあたふた気早気早い大わらわ貧乏暇無し甲斐甲斐かいがいしいそわそわ右往左往慌てふためく動き回るちょこまかうそうそ倉卒押せ押せてんやわんややいのやいの

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精選版 日本国語大辞典 「慌ただしい」の意味・読み・例文・類語

あわただし・い【慌・遽】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]あわただ〘 形容詞シク活用 〙 ( 古くは「あわたたし」 )
  2. 物事を急いでしようとして慌てるさまである。心がせわしなく落ち着かない。
    1. [初出の実例]「午時許に、おはしますおはしますとののしる。いとあはたたしき心ちするに」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
    2. 「一とせ都うつりとて俄(にはか)にあはたたしかりしは」(出典平家物語(13C前)七)
    3. 「寺中の人々、院主こそ鬼になり給ひつれと、連忙(アハタタシク)(にげ)さりぬるのちは」(出典:読本・雨月物語(1776)青頭巾)
  3. 変化がはげしい。状況が不安定で流動的である。
    1. [初出の実例]「木の葉さそふ風あはたたしう吹はらひたるに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)

慌ただしいの語誌

「あわつ(慌)」と同根。「腹たつ→腹たたし→腹だたし」と同様の造語法で「泡立つ」から派生した形容詞かとも思われる。第二音節は「新撰字鏡」の「狼狽 安和豆」「惶急 驚失意也 於比由 又阿和豆」によって「わ」であることが明らかである。

慌ただしいの派生語

あわただし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

慌ただしいの派生語

あわただし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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