自由党(英国)(読み)じゆうとう

百科事典マイペディア 「自由党(英国)」の意味・わかりやすい解説

自由党(英国)【じゆうとう】

 現在のイギリスの自由民主党前身となる政党。19世紀半ば〈選挙法改正〉後ホイッグ党が産業ブルジョアジー勢力と結合して形成。自由党の名称は1830年ころに始まる。1868年グラッドストンが党首就任以後,約50年間にわたり保守党とともに政界を2分し,6度政権を握り,自由主義的政策を推進した。第1次大戦後労働党の進出によって少数党に転落した。1981年,労働党右派が分離して社会民主党を結成,自由党は社会民主党と選挙連合を組み,83年の総選挙で25%の得票率を獲得,選挙連合からさらに進めて89年に社会自由民主党を結成,89年に自由民主党と改称した。経済における市場主義と社会福祉の双方を重視する姿勢で,保守・労働の二大政党に有利な小選挙区制に阻まれ英国議会での議席数は伸びなやんだが,得票率は常に20%台を維持,2000年代には地方選で二大政党と互角の勢力となった。2010年の総選挙で二大政党が過半数を取れず,自由民主党は,国政選挙に比例代表制を導入するための国民投票の実行を条件に,保守党との連立合意,デビット・キャメロン保守党党首を首班とする連立政権に参加した。しかし,保守党が主導する税制圧縮策など基本理念の相違が表面化し,従来からの支持者から厳しい批判が相次ぎ,2011年5月の地方選では惨敗念願の国民投票でも選挙制度改革は否決された。政治的主張としては労働党に近く,組織とは無縁無党派層や草の根民主主義者の支持で党勢を拡大してきた自民党岐路に立たされている。
→関連項目小イギリス主義チャーチル

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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