(読み)カ

デジタル大辞泉 「可」の意味・読み・例文・類語

か【可】

良い悪いの二段階評価で合格を示す。「栄養
《「可能」の略》よいとして許すこと。「分売も
成績などの段階を示す語。優、良の次。学校の成績評価では、及第を認められるものの最下位
[類語]増し次善まあまあそこそこまずまずセカンドベストベター及第無難副次的二次的二義的ほどほど捨てたものではない満更まんざらでもないまあよっぽどかなりなかなかわりあいわりかたわりかし割に比較的まずまずどうにかこうにかどうかこうかどうやらこうやら曲がりなりにもかすかすどうやらなんとかかんとかなんとかようやっとどうにかかろうじて辛くもそれなりやっとやっとこさようやくあやうく危なくまだしもまだえんやらやっとやっとのことでようようすんでのところ間一髪かつがつすんでのことすんでにあわや九死に一生を得るすれすれいまだしいま不徹底不十分及ばずながら不全不完全どうなりこうなり一応急場しのぎ当座しのぎ一時しのぎその場しのぎ最早もはや畢竟ひっきょう結局やはり所詮どの道いずれにしても結句遂にとどのつまり詰まるところ帰するところ詮ずるところ要するにいずれどうせつまりとうとういよいよ挙げ句挙げ句の果て差し詰め究竟きゅうきょう果ては何と言ってもどっち道とにかく何しろ何せ何分なにぶん何分なにぶんにもなんにせよともかくともかくもともあれとまれとにもかくにもそれはともあれ遅かれ早かれ善かれ悪しかれほとんど

か【可】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]よい べし
学習漢字]5年
よい。よろしい。成績評価では良の次のランク。「可否不可・優良可」
よろしいと認める。「可決許可裁可認可
できる。なし得る。「可視可能可燃性不可解不可欠不可思議不可侵不可分
…するがよい。それに値する。「可憐かれん可及的
[名のり]あり・とき・よく・よし・より
[難読]可惜あたら可笑おかしい可愛かわい可哀相かわいそう生半可なまはんか成可なるべ可漆ベクうるし可杯べくさかずき

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「可」の意味・読み・例文・類語

べし【可】

  1. 〘 助動詞 〙 ( 活用は「〇・べく・べし・べき・べけれ・〇」。補助活用は「べから・べかり・〇・べかる・〇・〇」。形ク型活用。文語で、活用語の終止形に付く。ただし、ラ変型活用の語には連体形につき、また、古く上一段活用の語には連用形についた。→語誌 ) 推量の助動詞
  2. よろしい状態として是認する意を表わす。
    1. (イ) 適当であるという判断を表わす。…するのがふさわしい。…するのがよい。
      1. [初出の実例]「験(しるし)なき物を思はずは一杯(ひとつき)の濁れる酒を飲む可(べく)あるらし」(出典:万葉集(8C後)三・三三八)
      2. 「一日(ついたち)などぞ言ふべかりけると下には思へど」(出典:枕草子(10C終)八七)
    2. (ロ) 当然のこととして、義務として判断する。…するはずである。…しなければならない。
      1. [初出の実例]「磯の上に生(お)ふるあしびを手折らめど見す倍吉(ベキ)君が在りと言はなくに」(出典:万葉集(8C後)二・一六六)
      2. 「物一言言ひ置くべき事ありけり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    3. (ハ) 他人の行動に関して、勧誘・命令の意を表わす。打消を伴えば禁止となる。…しなさい。…するのがよい。
      1. [初出の実例]「わが聞きし耳によく似る葦の末(うれ)の足痛(ひ)く我が夫(せ)勤めたぶ倍思(ベシ)」(出典:万葉集(8C後)二・一二八)
      2. 「帝王の位に至る事は、此天の与る所也。此の事吉く思惟し可給(たまふべ)し」(出典:今昔物語集(1120頃か)二五)
  3. 確信をもってある事態の存在または実現を推量し、または予定する。
    1. (イ) 近い将来、ある事態がほぼ確実に起こることを予想する。きっと…だろう。…するにちがいない。
      1. [初出の実例]「天飛(あまだ)む 軽の嬢子(をとめ)(いた)泣かば 人知りぬ倍志(ベシ)」(出典:古事記(712)下・歌謡)
      2. 「汐満ちぬ、風も吹きぬべし」(出典:土左日記(935頃)承平四年一二月二七日)
    2. (ロ) 目の届かない所で、現在進んでいる事態を断定的に推定する。…しているにちがいない。…しているはずだ。
      1. [初出の実例]「秋萩は咲きぬ可有良(べから)し我が宿の浅茅が花の散りぬる見れば」(出典:万葉集(8C後)八・一五一四)
      2. 「この障子口すぢかひたる程にぞ伏したるべき」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    3. (ハ) 近い将来に事態の実現を予定する。…する予定である。…であることになっている。
      1. [初出の実例]「藤波の咲きゆく見ればほととぎす鳴く倍吉(ベキ)時に近づきにけり」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇四二)
      2. 「今日はじむべき祈りども、さるべき人々うけ給はれる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
    4. (ニ) 自己の行動に関して、強い意志を表わす。ぜひ…しよう。きっと…しよう。
      1. [初出の実例]「ひぐらしの鳴きぬる時は女郎花(をみなへし)咲きたる野辺を行きつつ見倍之(ベシ)」(出典:万葉集(8C後)一七・三九五一)
      2. 「毎度ただ得失なくこの一矢に定むべしと思へ」(出典:徒然草(1331頃)九二)
  4. 可能であるとの判断を表わす。…することができる。…できそうだ。
    1. [初出の実例]「梅の花咲きたる苑の青柳はかづらにす倍久(ベク)なりにけらずや」(出典:万葉集(8C後)五・八一七)
    2. 「さりぬべき折見て対面すべくたばかれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
  5. ( 連用形「べく」を用いて ) 行為の目的を表わす。…ために。現代の用法。
    1. [初出の実例]「午後四時の汽車に間に合ふべく、停車場へ急ぎました」(出典:肱の侮辱(1907)〈国木田独歩〉)

可の語誌

( 1 )上代・中古では、上一段動詞に付く時は、「らむ」の場合と同じく連用形に付き、後世にも受け継がれる場合がある。室町時代以後、他の一段・二段活用動詞にも連用形に付く例が多くなってくる。
( 2 )「べみ」「べらなり」の形を派生することがある。→べみべらなり
( 3 )現代語では、連用形「べく」と連体形「べき」が使われる。「べく」はの用法のほか、(ロ) の意の特殊な場合と見られる用法がある。「道草〈夏目漱石〉三四」の「彼は自分のため又家族のために働らくべく余儀なくされた」など。また、「べき」は、多く(ロ) の意で「…すべきである」などと用いるが、「浮雲〈二葉亭四迷〉二」の「ヤどうも君も驚く可き負惜しみだな」のように、情意に関する動詞に付く場合も多い。「悲しむべき事態」「恐るべき子ども」など。
( 4 )一般に推量の助動詞といわれている。しかし、「べからむ」「べかめり」のように他の推量の助動詞に上接すること、「べかりけり」のように過去の助動詞に上接すること、仮定条件句に生起することなどから考えると、使用者主体性は希薄で、客体性が濃厚といえ、「む」系の推量の助動詞(「む」「らむ」「けむ」「まし」)とは一線を画すと思われる。


か【可】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) よろしいこと。ひととおりよいさま。また、よいと認めること。
    1. [初出の実例]「単衣をもしといへども、懐中の扇を手に動して、微風扶持可なり」(出典:海道記(1223頃)菊川より手越)
    2. [その他の文献]〔論語‐里仁〕
  3. 成績を評価することばの一つで、優、良に次ぐもの。

べく【可】

  1. [ 1 ] ( 助動詞「べし」の連用形 ) ⇒べし(可)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙べくさかずき(可杯)
    1. [初出の実例]「大勢が中にわって入根付のべくをはげて立ながら」(出典:評判記・難波の㒵は伊勢の白粉(1683頃)二)

べう【可】

  1. 〘 助動詞 〙 助動詞「べし(可)」の連用形「べく」の音便。
    1. [初出の実例]「まことにこの物のけあらはるべう念じ給へ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)柏木)
    2. 「御桟敷のあたり、更に通り得べうもあらず立こみたり」(出典:徒然草(1331頃)五〇)

べき【可】

  1. ( 助動詞「べし」の連体形 ) ⇒べし(可)

びょう【可】

  1. 〘 助動詞 〙べう(可)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「可」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音]
[字訓] よし・ゆるす・べし・ばかり

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
口+(か)。〔説文〕五上に「(うべな)(肯)ふなり」とあり、〔爾雅、釈言〕に「は可なり」とあるのと互訓。・可は双声の訓であるが、(肯)は肯(こうけい)の象、可は祝に関する字である。口は(さい)、祝を収める器の形。は木の枝で、のちの柯にあたる。柯を以て祝の器を殴(う)ち、神に呵してその祝の承認を認める意で、神が許可する意となる。

[訓義]
1. よし、ゆるす、きく。
2. 可能、たえる、命令する、べし。
3. 許と通じ、ばかり、ほど。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕可 キク・ヨシ・ユルス・セム・タヘタリ・ヤム・カナヘリ・ベシ・ムベナフ・アヘテ・ハカル・バカリ・ナラシ・ヨロコブ・アニ・シカルヲ・ヒサシ

[声系]
〔説文〕に可声として、苛・訶・奇・・柯・何・河・軻・阿・哥など十八字を収める。おおむね可の声義を承ける。ただ奇は曲刀である剞(きけつ)の象形、河は河水の流声の擬声語である。

[語系]
可khai、訶xai、・歌kaiは声義近く、訶して許可を求め、その祈るときの声調を歌という。

[熟語]
可哀・可愛・可意可畏可謂・可可可怪可懐・可口・可児・可笑・可傷・可人可惜可嘆・可痛・可道可念・可能・可否・可・可以・可是
[下接語]
意可・允可・印可・悦可・議可・許可・見可・献可・裁可・試可・制可・奏可・認可・不可・無可・両可

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android