兎角(読み)トカク

デジタル大辞泉 「兎角」の意味・読み・例文・類語

と‐かく

[副](スル)
1 さまざまな物事を漠然とさす。何や彼かや。いろいろ。「とかくするうちに一年が過ぎた」
2 ある状態になりやすいさま。または、ある傾向が強いさま。ともすれば。ややもすると。「年をとるととかく忘れっぽくなって困る」
「涙は―に止まなかった」〈小杉天外・はやり唄〉
3 何はさておき。何にせよ。「とかくこの世は住みにくい」
4 (「とかくの」の形で)あれこれよくないさま。「彼にはとかくの噂うわさがつきまとう」
[名]種々さまざまな事柄。
「先師暫く吟じて、―をのたまはず」〈去来抄・先師評〉
[補説]「兎角」「左右」とも当てて書く。
[類語](1)そうこう・あれこれ・とこう・あちこち・どうこう・何やかや・何かと・何かといえば・何かにつけ・何くれ・何くれとなく・かれこれ・なんだかんだ・なんのかの・どうのこうの・そこここ・ああだこうだ・あれやこれや・とざまこうざま/(2)臨時・随時・不時・不定期・折に触れて・当座・時には・時として・往往・たまたま・たまさか・時時ときどき・時折・折折・時たま・間間・折節・散発・間欠・周期的・時に・時には・偶たま・ややもすれば・ともすると・得てして・なにかにつけ・何かと言えば・もし・仮に・たとえ・もしか・よしんば・たとい・よしや・もしも・万一・万一ばんいち・万が一・万万一・もしや・もしかしたら・もしかすると・ひょっとすると・ひょっとしたら・ひょっとして・あるいは・もしかして・どうかすると・下手すると・一つ間違えば・ことによると・あわよくば・まかり間違う・よもや・まさか・万万ばんばん・夢か現うつつか・図らずも・はしなく・はしなくも・思いがけず・思いも寄らない・思いのほか・心外・突然・唐突・案に相違する・意表を突く・意表・予想外・意想外・ゆくりなく・まぐれ・ひょんな・ひょっと・ゆくりなし・我にもなく・期せずして・悪くすると・事と次第による・事によると・もしくは・はたまた・ないし・偶然・かも知れない・思わず・思わず知らず・我知らず・知らず知らず・折もあろうに・折悪しく・慮外・存外・望外・頻繁・有りがち・ややもすると・うかうか・うっかり・寄り寄り・ちょいちょい・ちょくちょく・ふとした・重重・重ねて・重ね重ね・再三・再再・しばしば・思いがけない・たびたび・度度どど・返す返す・しきり・二度あることは三度ある・時ならず

と‐こう

[副](スル)《「とかく」の音変化》あれこれ。何やかや。「とこうするうちに日が暮れた」
「―の注意がましき事をいうなどは」〈子規・墨汁一滴〉
[補説]「兎角」「左右」とも当てて書く。
[類語]そうこう・とかく・あれこれ・あちこち・どうこう・何やかや・何かと・何かといえば・何かにつけ・何くれ・何くれとなく・かれこれ・なんだかんだ・なんのかの・どうのこうの・そこここ・ああだこうだ・あれやこれや・とざまこうざま

と‐かく【×兎角】

兎うさぎの角つの。現実に存在しないもののたとえ。「亀毛きもう兎角」

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精選版 日本国語大辞典 「兎角」の意味・読み・例文・類語

と‐かく【兎角・左右】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 副詞「と」と副詞「かく」を合わせたもの。「兎角」「左右」は、ともに当て字 )
    1. ① 雑多な事態を包含的に指示する。あれこれ。あれやこれや。何やかや。さまざま。いろいろ。とかくに。
      1. [初出の実例]「蓬莱の玉の枝を、ひとつの所あやまたずもておはしませり。何をもちてとかく申すべき」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
      2. 「あまりのおぼつかなさに、とかくして八嶋へ人をたてまつり給ひたりければ」(出典:平家物語(13C前)一〇)
    2. ② ある事態の詮索や拘泥を打ち切って、判断や意志を決めようとする気持を表わす。いずれにせよ。何はともあれ。ともかくも。とにかくに。とかくに。
      1. [初出の実例]「さてもさても命は惜しいものかな、とかく投げられぬ」(出典:謡曲・丹後物狂(1430頃))
      2. 「兎角(トカク)食物が納り兼まして、食べると尾籠ながら吐まする」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前)
    3. ③ ある一つの状態が、特定の条件を要するまでもなく、成り立ちやすいという気持を表わす。何かにつけて。得てして。どうかすると。ともすれば。とかくに。
      1. [初出の実例]「とかくわれらがやうなるものは、算用がたっせねばまかりならぬ」(出典:虎明本狂言・賽の目(室町末‐近世初))
      2. 「兔角(トカク)浮世は儘ならぬ」(出典:人情本・花街寿々女(1826)上)
    4. ④ ( 「とかくの」の形で ) あれこれとよくないさま。「とかくの評判」
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 雑多な事態そのものをさす。種々様々の事。種々様々の言葉。また、そこに含まれる一つの具体的な事柄を暗示することもある。
    1. [初出の実例]「『いかで人わらへなるさまにみききなさむ』とうけび給ふ人々もおほく、とかくにつけてやすからぬことのみありぬべきを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤袴)
    2. 「先師暫く吟じて、兎角をのたまはず」(出典:俳諧・去来抄(1702‐04)先師評)

と‐かく【兎角】

  1. 〘 名詞 〙 兎(うさぎ)の角(つの)。実在しないもののたとえ。
    1. [初出の実例]「所以請二亀毛一、以為二儒客一、要二兎角一、而作二主人一」(出典:三教指帰(797頃)上)
    2. 「とかくの弓に亀毛の矢をはげ、空化の的を射んとするにたがはず」(出典:撰集抄(1250頃)九)

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