スミス(Michael Smith)(読み)すみす(英語表記)Michael Smith

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

スミス(Michael Smith)
すみす
Michael Smith
(1932―2000)

カナダ生化学者。イギリスのブラックプール生まれ。1956年マンチェスター大学で博士号を取得後、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のH・コラーナDNAの遺伝情報解読で1968年ノーベル医学生理学賞受賞)のもとで、オリゴヌクレオチド合成について研究する。1961年にはカナダ水産研究委員会で海洋生物学の研究に携わる。1966年ブリティッシュ・コロンビア大学準教授、1970年に同大学教授となる。1975年にはF・サンガー(1958年にタンパク質アミノ酸配列決定で、1980年にDNA塩基配列解読で二度ノーベル化学賞受賞)の研究室に留学し、ファージの塩基配列を決定するプロジェクトに参加した。1978年にファージを実験材料として、オリゴヌクレオチドの設計を工夫することでDNAの特定の位置に一塩基置換変異や欠損変異を導入する方法を開発した。この方法によりタンパク質のアミノ酸を自由にかえられるようになり、タンパク質の構造及び機能解析が飛躍的に進歩した。この功績により1993年、ポリメラーゼ連鎖反応法を開発したK・マリスとともにノーベル化学賞を受賞した。その後もゲノム解析などの生化学の研究を精力的に続けた。

[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例