優美(読み)ユウビ

デジタル大辞泉 「優美」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐び〔イウ‐〕【優美】

[名・形動]上品で美しいこと。しとやかで美しいこと。また、そのさま。「優美な和服姿」「優美に舞う」
[派生]ゆうびさ[名]
[類語]優雅・みやびやか・みやび・綺麗・高雅・典雅・風雅・優形やさがた・上品・ゆかしい・奥ゆかしい・しとやか・たおやか・女性的・エレガント・ドレッシー・女らしい・女女めめしい・女くさい・女振り・女っ気・身綺麗・美しい・美美びびしい・きらやか・鮮やか・美麗・華麗・華美・鮮麗・流麗・壮麗・清麗・美的・麗しい・見目好い・見目麗しい・端正・端麗・秀麗・佳麗・艶美・艶麗・あでやか・妖麗・豊麗・妖美・見好い・小綺麗・美妙・典麗・ビューティフル・ピトレスク・ピクチャレスク・ラブリー・ビューティー・プリティー・楚楚そそ・清楚せいそ・瀟洒しょうしゃ・垢あか抜け・こざっぱり・洒落しゃれる・小洒落こじゃれた・スマート・シック・純美・玲瓏れいろう・着映え・きらびやか・お洒落しゃれ・薄皮の剝むけたよう・やんごとない・高貴・尊い・貴い・ノーブル・貴族的・婉麗えんれい・優優・静淑・優婉ゆうえん・閑雅・婉然えんぜん・窈窕ようちょう・温雅・物柔らか・気高い・品・気品・雅趣・高尚・つつましい・つつましやか・しおらしい・清雅・高踏・雅致・﨟長ろうたける・雅みやびる・端雅・都雅・上かみ・富貴ふうき・富裕・リッチ・有産階級・お偉方・偉いさん・お偉いさん・お歴歴・大身たいしん・セレブ・上うえつ方かた・雲の上人うえびと・雲上人・殿上人てんじょうびと・貴顕・貴族・貴賓・貴紳・上流・上流階級・上流社会・恐れ多い・ハイソサエティー・栄達・至高・良家・上種じょうず・上﨟じょうろう・金枝玉葉・ロイヤル・ロイヤルファミリー・王家・王族・王侯・聖上・直宮じきみや・竹の園その・竹の園生そのう

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精選版 日本国語大辞典 「優美」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐びイウ‥【優美】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 上品で美しいこと。みやびやかなこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「人々閑談優美也」(出典:後二条師通記‐寛治五年(1091)六月二七日)
    2. 「容㒵悠美にして言語分明也」(出典:平家物語(13C前)八)
    3. [その他の文献]〔蔡邕‐陳政要七事疏〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「優美」の意味・わかりやすい解説

優美
ゆうび
grace 英語
grâce フランス語
Anmut ドイツ語
Grazie ドイツ語

魅力、美徳の表出を本質とする美の一形態で、美的範疇(はんちゅう)の一つに数えられる。

[瀧 一郎]

技巧を超える魅力としての優美

古代ギリシアにおいて優美(χρις)は、愛との連関の下に美と善とを結び付けたものとして考えられた。ローマではプリニウス(大)がcharisをvenustasとラテン語に訳して、ギリシアの画家アペレスApellēs(前325ころの人)の比類ない魅力を説明し、キケロやクインティリアヌスもvenustasないしgratiaという語を優美の意に用いて、ギリシアの演説代作者リシアスLysias(前458ころ―前380ころ)のアッティカ方言による簡素な文体がもつ効果を論じた。つまり古代において優美は、明確に理論化されることはなかったが、雄弁術や文学・造形芸術の様式上、単純さ・自然さ・容易さを伴う定義不可能な完全性として知られ、技巧や規則よりむしろ自然や天分の賜物(たまもの)と感じ取られ、理性よりも心情に訴えるものとして見分けられていた。Gratiaは中世には、おもに神の恵みとしての恩寵(おんちょう)という神学上の意味で用いられるが、この概念が優美の意味でヨーロッパ中に広められるのは、ルネサンス期にカスティリオーネが、理想的な廷臣の態度ふるまいに気どりのない無頓着(むとんじゃく)さを認め、これを優美grazia(イタリア語)の源泉とみて(『宮廷人の書』1528)以来のことである。バザーリは「規則に依存する合理的な質」としての美に対して、優美を「〈個人的〉判断力に、したがって目に依存する定義しがたい質」とした。ドルチェは「いわく、いいがたいもの」non so ché(ペトラルカに由来し、のちにje-ne-sais-quoiと仏訳される術語)ということばで優美の魅力を語り、ラファエッロの軽やかさを優美なものとしてミケランジェロの上に置いた。こうして規則を超える優美は、プロポーションに基づく美と対比されてきたが、18世紀になると優美の特徴とされていたこの破格性は崇高に帰せられ、優美の概念は矮小(わいしょう)化して、おもに動きの美として考えられるようになる。

[瀧 一郎]

運動における美としての優美

美の原理を優美に求める15、6世紀の新プラトン主義的美論は、優美を精神の表れとしてとらえて、動きと優美を結び付ける考えを促した。シャフツベリ伯(3世)はすでに人体の動作に優美をみいだしており、その影響下にホガースは、波状線を美の線とよび、円錐(えんすい)に巻き付けられた蛇行線を優美の線とよんだ。優美を倫理の問題として理論づけたシラーは、道徳的感情を伴う人間の共感的運動に優美を認め、理性と感性との全き調和状態である「美しき魂」の表出を優美とみている。

 一方、機械論的解釈をするH・スペンサーは「力の節約」を優美の原理とし、筋肉感覚的な共感によって優美の快が生まれるとした。これを踏まえてベルクソンは、「物質の中に入り込む非物質性」である優美の魅力を、肉体的共感と精神的共感との親近性によって説明し、さらに優美が固定されると美になると考える。20世紀では「歌う建物」という譬喩(ひゆ)を用いて建築における優美を、見る者の魂を揺さぶり創造力をかき立てる力として論じたバレリーの優美論が注目される。

[瀧 一郎]

『カスティリオーネ著、清水純一・岩倉具忠・天野恵訳注『カスティリオーネ宮廷人』(1987・東海大学出版会)』▽『平井啓之訳『時間と自由』(『ベルグソン全集1』所収・1965・白水社)』▽『ベルクソン著、林達夫訳『笑い』(岩波文庫)』▽『伊吹武彦訳『エウパリノス』(『ヴァレリー全集3 対話篇』所収・1967・筑摩書房)』▽『大西克禮著『美学 下巻 美的範疇論』(1960・弘文堂)』▽『竹内敏雄編『美学事典』増補版(1974・弘文堂)』▽『佐々木健一著『近世美学の展望』(今道友信編『講座美学1 美学の歴史』所収・1984・東京大学出版会)』

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改訂新版 世界大百科事典 「優美」の意味・わかりやすい解説

優美 (ゆうび)
grace

美的範疇の一つ。崇高や醜と対立して,ものごとの上品な優雅さを語ろうとするものだが,悲壮や滑稽や狭義の美にくらべると両極的原理相互の緊張が弱くて穏やかな調和融合をあらわすにとどまり,明確な輪郭を定めがたい概念である。その形式的特徴を挙げれば,一つは一種の魅惑にあり,これは素朴な単純さや愛らしい弱小性に由来する。もう一つは両極的原理たる自然と精神との調和という道徳的意義の発現にある。J.C.F.シラーは人間の身体運動も道徳性をはらむ精神の表現であることに着目し,感性と理性,性向と義務との全き調和を〈美しき魂schöne Seele〉と呼び,これの発現こそ優美にほかならぬとして以後の優美論の方向を定めた。だがさかのぼればギリシア語カリスcharisに発する概念ゆえ論者は他にも数多くあり,それら諸説の検討成果を大著《優美の美学》(1933)にまとめたのはバイエRaymond Bayerである。さらにこれをも批判的に詳解して大西克礼は美的範疇論における優美の位置を厳正的確に論じている。
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普及版 字通 「優美」の読み・字形・画数・意味

【優美】ゆう(いう)び

すぐれる。〔後漢書、伝〕(も)し用優美ならば、宜しく之れを冗散に處(お)くべからず。如(も)し故(きんこ)らば、自ら當(まさ)に其の刑誅を極むべし。~皆斷して、以て眞僞を覈(かんが)ふべし。

字通「優」の項目を見る。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「優美」の意味・わかりやすい解説

優美
ゆうび
Anmut

崇高と並んで最も基本的な美的範疇の一つ。特に古典的芸術において重んじられたが,F.シラーはそれを一般美学の重要概念として厳密に理論づけ,「美しき魂」 schöne Seeleの現象的表出である道徳的態度のうちに優美を認めた。彼以後,優美論はドイツ美学の主要な課題の一つとなり,シラーの影響を強く受けている者には,T.リップス,J.フォルケルトらがいる。また崇高と対立的に論じているものには,H.ジーベック,E.ハルトマン,R.バイエらがいる。優美はまた婉美 Grazieと異なるものとされるが,一般に後者については感性的側面から性質づけられることが多い。

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