高知[県](読み)こうち

百科事典マイペディア 「高知[県]」の意味・わかりやすい解説

高知[県]【こうち】

四国南部,太平洋に面する県。県庁所在地は高知市。7103.93km2。76万4456人(2010)。〔沿革〕 大化改新以来土佐国1国をなす。戦国時代長宗我部氏が勢力を強め,元親のとき四国全土を統一。江戸初期山内一豊が移封され,以後土佐藩24万石の領地となった。幕末には藩主山内豊信(容堂),坂本竜馬後藤象二郎らを輩出,維新の指導的役割を果たした。1871年高知県となり,1876年徳島県と合併,再分離して1880年現県域となる。〔自然〕 県面積の約80%は山地で平野に乏しい。北部は四国山地が東西に走り,北へ至るほど高い。東から奈半利(なはり)川,伊尾木川安芸(あき)川,物部川仁淀川四万十(しまんと)川が土佐湾に注ぎ,吉野川は北部を東流する。各河川の埋積谷や沖積平野はいずれも小さく,なかでは高知平野が最大。土佐湾東部には室戸岬突出,湾奥部には浦戸湾などの沈降海湾がある。土佐湾の西部には足摺岬がある。太平洋岸式気候で,温暖多雨,台風の被害が大きい。〔産業〕 産業別人口構成は第1次12.7%,第2次19.2%,第3次66.9%(2005)で,他県に比べ農林・水産業の比重が大きい。耕地率は著しく低い。高知平野や東部湾岸地域では米の二期作が普及していたが,1980年代にはほぼ姿を消した。現在はナス,キュウリ,メロン,ピーマン,サヤインゲンなどの施設園芸が中心で,販売農家1戸当りの農業粗収益でも野菜の占める比率が高く,米作の約4倍になっている。また近年はカスミソウスターチスなどの花卉(かき)栽培も盛ん。多雨のため林産は活発で,藩政初期の野中兼山による努力もあり,魚梁瀬(やなぜ)のスギ,本山町のヒノキなど美林が育つ。ミツマタコウゾなど和紙原料も産する。水産業は近年不振で,主力は近海漁業からカツオ・マグロ遠洋漁業に転換した。ほかにハマチ,ブリ,タイ,ウナギ養殖が行われる。近代工業は消費市場に遠く,資源にも乏しいため発展は遅れ,セメント,土佐和紙,パルプ,木工など県内で原料を供給できる工業が主であったが,現在では浦戸湾沿岸に機械,鉄鋼などの臨海型工場が立地。また,高知空港のジェット機就航以降は大手のIC工場が進出するなど電機関連の伸びが目立つ。太平洋に臨む沿岸は雄大な海景に優れ,足摺宇和海国立公園室戸阿南海岸国定公園に含まれる多くの景勝地がある。山地の一部は石鎚・剣山両国定公園に含まれ,桂浜,竜河洞などの景勝地がある。〔交通〕 四国山地が他県との接触を妨げていたが,1992年,高知自動車道が瀬戸大橋と直結した。鉄道の幹線は土讃線で,予土線,土佐くろしお鉄道,阿佐海岸鉄道,土佐電鉄線も通じる。高知市を中心に国道32,33,55,56号線が通じる。南国市に高知空港,高知港から大阪,東京へ,足摺港から神戸へ船便がある。
→関連項目四国地方

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