〘名〙
※令義解(718)賦役「凡諸国貢献物者、〈略〉服食。器用〈謂。〈略〉器用者。如
二下野氈。
形箭
一之類是也〉」 〔書経‐旅獒〕
※米欧回覧実記(1877)〈
久米邦武〉二「地理を興し、
農事を精にするは、〈略〉技術と器用と並完
(ならびまっと)ふして」
※足利本論語抄(16C)子路第一三「易㕝とは其人の器用々々のままに使也」
④ (形動) 役に立つ才能があること。才知がすぐれているさま。また、そのような人。有用な人材。
※本朝文粋(1060頃)六・申民部大輔状〈
橘直幹〉「既非
二器用
一。自漏
二明時之祿
一」
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「我等五六人は皆一方の大将軍を承はるべき器用(キヨウ)の若者共が」 〔春秋左伝‐隠公五年〕
⑤ (形動) いさぎよいこと。潔白であること。上品で優雅なさま。また、その人。
※天草本伊曾保(1593)
尾長鳥と
孔雀の事「ヲノヲノノ ナカニ ワガ qiyôni
(キヨウニ) ニタ カタガタモ アルマイ」
⑥ (形動) わざがすぐれてじょうずなこと。また、そのさま。
※幸若・
敦盛(明暦版)(室町末‐近世初)「あつもりは、ふえに
きようの人なりとて」
⑦ (形動) うまいぐあいに物事を処理すること。また、そのさま。
※集義和書(1676頃)二「器用は、物をもとめず、たくはへず、あれば人にほどこし、なければなき分に候」
⑧ (形動) 手先のわざや
本職ではない芸事などをうまくこなすこと。また、そのさま。
※福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉幼少の時「手の先きの器用(キヨウ)な奴で」
⑨ (形動) 文句などを言わないで、素直にすること。また、そのさま。
※歌舞伎・黒手組曲輪達引(1858)三幕「そんな野暮を言はねえで、器用(キヨウ)に受けてくんなせえ」