普及版 字通 「市(漢字)」の読み・字形・画数・意味
市
常用漢字 5画
[字訓] いち・かう・まち
[説文解字]
[金文]
[字形] 象形
市の立つ場所を示す標識の形。交易の行われる場所には高い標識を樹て、監督者が派遣された。〔説文〕五下に「買賣するものの之(ゆ)くなり」とし、字形について「市に垣り。冂(けい)に從ひ、(きふ)に從ふ。は古なり。物の相ひぶに象るなり。之(し)の省聲」とする。金文の字形は朿(し)と同じく標木を樹(た)てた形で、上に止(之)を加える。止が声符であるのか、意符であるのかは明らかでない。〔唐六典〕に市を「標立候、陳肆(ちんし)辨物」というように、公認の場所に標識を樹て、監督官をおいた。城外近郊の広場などがその地にあてられ、古くはそこで歌垣なども行われた。〔詩(韓)、陳風、東門之枌(とうもんしふん)〕に「旦(こくたん)(よあけ)に于嗟(うさ)(雨乞いの祈りの声)す 南方の原に 其のを績(つむ)がず 市に婆娑(ばさ)す」というのは、その場所での歌垣を歌うものである。〔周礼、地官〕に「司市」の職があり、その規制の方法が詳しく記されている。またそこで、公開処刑が行われることがあった。
[訓義]
1. いち、交易をするところ。
2. とりひき、あきない。
3. かう、うる、もうける。
4. まち、まちや、都市。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕市人 楊氏語抄に云ふ、市郭の皃、伊知比止(いちひと) 〔名義抄〕市 イチカフ・アキナフ・ハカリ・イチ・カフ/和市 アキナヒカフ 〔字鏡集〕市 ウル・カフ・アキナヒス・ハカリ・サハガシ・アキナフ・イチ
[熟語]
市鬻▶・市隠▶・市易▶・市掾▶・市怨▶・市恩▶・市価▶・市歌▶・市▶・市賈▶・市▶・市魁▶・市▶・市街▶・市郭▶・市区▶・市刑▶・市券▶・市戸▶・市估▶・市虎▶・市▶・市語▶・市▶・市獄▶・市棍▶・市肆▶・市司▶・市師▶・市事▶・市日▶・市舎▶・市聚▶・市署▶・市倡▶・市城▶・市上▶・市食▶・市人▶・市塵▶・市井▶・市正▶・市声▶・市征▶・市船▶・市租▶・市狙▶・市曹▶・市卒▶・市中▶・市庁▶・市長▶・市朝▶・市亭▶・市廛▶・市店▶・市▶・市▶・市偸▶・市頭▶・市道▶・市徳▶・市陌▶・市販▶・市晩▶・市賦▶・市物▶・市平▶・市脯▶・市房▶・市民▶・市名▶・市門▶・市邑▶・市傭▶・市傭▶・市利▶・市吏▶・市里▶・市列▶・市楼▶
[下接語]
花市・海市・開市・街市・関市・鬼市・帰市・棄市・宮市・墟市・互市・交市・江市・市・港市・獄市・山市・司市・秋市・城市・井市・草市・朝市・都市・市・坊市・貿市・夜市・野市・立市
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報