雨・下米(読み)あめ

精選版 日本国語大辞典 「雨・下米」の意味・読み・例文・類語

あめ【雨・下米】

〘名〙
① 大気中の水蒸気が冷えて水滴となり、地上に落下してくるもの。また、それが降る天候。雨天
古事記(712)下・歌謡大前(おほまへ) 小前(をまへ)宿禰が かなと蔭 かく寄り来ね 阿米(アメ)たちやめむ」
② たえまなくたくさん落ちそそぐもの、身にふりかかるものをたとえていう。
(イ) 涙のあふれでるたとえ。
源氏(1001‐14頃)幻「せきがたき涙の雨のみ降りまされば」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「此上手を附けたら雨になりさうな」
(ロ) 物がたくさんふりかかること、あるいは、身に及ぶ行為が連続してくり返されることのたとえ。
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉四一「最後拳固(げんこ)の雨」
芝刈(1921)〈寺田寅彦〉「弾丸の雨に吹き飛されて」
③ 広くゆきわたって人々をうるおすもののたとえ。
謡曲芭蕉(1470頃)「花待ち得たる芭蕉葉の、み法(のり)の雨も豊かなる、露の恵みを受くる身の」
④ (①が描いてあるところから) 花札の一一月の札。
歌舞伎小袖曾我薊色縫(十六夜清心)(1859)二幕「いや、雨(アメ)は真平だ。坊主を消しやす」
⑤ 映画などでフィルムが古くなり、縦筋の傷が入って雨の降っているように見える状態。→あめ(雨)が降る
[補注](1)「あめ(天)」と同源
(2)複合語前項として用いられる時は、「あま傘」「あま水」のようにアマの形をとることが多く、複合語の後項として用いられる時は、「大あめ」「通りあめ」また「霧さめ」「氷(ひ)さめ」のようにアメ・サメの形をとる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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