かっと

精選版 日本国語大辞典 「かっと」の意味・読み・例文・類語

かっ‐と

〘副〙 (古くは「くゎっと」とも表記)
① 痰(たん)などを吐く音を表わす語。
※申楽談儀(1430)面の事「柘榴(じゃくろ)くゎっと吐き給へる所を打」
② 突然で、激しい動作、出来事などを、一般的に表わす語。ぱっと。ぐっと。
太平記(14C後)一五「傍(あた)りの土、一二尺が程くゎっと崩れて」
③ 急に大きく開くさまを表わす語。主に目や口を大きく開けるさまにいう。
史記抄(1477)六「漢軍皆披靡、くゎっと、ひらけたぞ」
※幸若・いるか(室町末‐近世初)「三年か間ふさいだる両眼くわっと見開き」
④ 怒って逆上したり、恥じたりして、顔に急に血の上るさまを表わす語。
浄瑠璃・松風村雨束帯鑑(1707頃)うばぞろへ「くっとねたみのひたひの筋」
⑤ 光が急に一段と明るくなるさま、また、火の勢いが急に強くなるさまを表わす語。
四河入海(17C前)二五「生薪のなましばをくゎっとたいてたき火をするか聊一快にしてよいそ」
※田舎教師(1909)〈田山花袋〉四九「梅雨(さみだれ)の中に一日カッと晴れた日があった」
⑥ 思いきってことをするさま、気前よくはでにするさまなどを表わす語。景気よく。豪勢に。
※史記抄(1477)一一前足をくゎっと前へふんばって」
信長公記(1598)首「抹香をくっと御つかみ候て、仏前へ投懸け御帰り」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「かっと」の意味・読み・例文・類語

かっ‐と

[副](スル)《古くは「くわっと」と表記》
激しく燃え上がったり、強く照らしたりするさま。また、急に明るくなるさま。「太陽かっと照りつける」
怒り・恥ずかしさなどのあまり頭に血がのぼるさま。急に興奮するさま。「頭がかっとなる」「すぐかっとする性質
目・口などを大きく開くさま。「目をかっと見開く」
物事を思いきってするさま。
「大名になったらば汝には―扶持ふちをして」〈虎清狂・鈍根草〉
[類語](1めらめらぼうぼうかっかかんかんぼっと炎炎ぱっとぽっぽぱちぱち猛火烈火炎上大火火の海丸焼け全焼火だるま燃え盛る燃え広がる燃え上がる燃え立つ/(2のぼせる興奮激昂逆上激する上気熱狂熱中高揚感奮激発ぷいとむしゃくしゃぷりぷりぷんぷんかちんかりかりぷんとつんとつんつんつんけんけんけんけんもほろろつっけんどん邪険ぷっつん堪え難いたまらない忍び難いやりきれないかっかけんか腰ちゃぶ台返しエキサイトフィーバー(―する)高ぶるいきり立つはやり立つわくわくするぞくぞくするどきどきするのぼせ上がる血迷う血走る喧嘩早い喧嘩っぱや癇癪かんしゃく癇癖癇性ヒステリック虫気怒り腹立ち憤り怒気瞋恚しんい憤怒ふんど・ふんぬ憤懣ふんまん鬱憤うっぷん義憤痛憤悲憤憤激憤慨ふんがい立腹激怒逆鱗げきりん憤ろしい腹立たしい業腹ちゅうっ腹やけっ腹悲憤慷慨短気気短短慮せっかち性急気早気が短い気忙しい直情径行怒りっぽい切れる席を蹴る堪忍袋の緒が切れる怒り心頭に発する瞬間湯沸かし器/(3ぱっちりぱちり瞠目どうもく瞠若どうじゃく目を目を見張る

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