(読み)チョウ

デジタル大辞泉 「朝」の意味・読み・例文・類語

ちょう【朝】[漢字項目]

[音]チョウ(テウ)(漢) [訓]あさ あした
学習漢字]2年
チョウ
あさ。「朝食朝夕朝礼一朝元朝がんちょう今朝こんちょう早朝明朝みょうちょう
天子が政治をとる所。「朝議朝臣ちょうしん朝廷朝野王朝参朝天朝
宮中に参内して天子にお目にかかる。「朝賀朝見
天子の統治する期間。「明朝みんちょう歴朝奈良朝
日本の朝廷、また、日本のこと。「帰朝入朝本朝来朝
「朝鮮」「朝鮮民主主義人民共和国」の略。「日朝・米朝」
〈あさ〉「朝寝朝日朝夕毎朝
[名のり]かた・さ・つと・とき・とも・のり・はじめ
[難読]朝臣あそん後朝きぬぎぬ今朝けさ

あさ【朝】

夜が明けて間もない時。また、夜明けから正午ごろまでの間。「が来る」「から夜まで」
[補説]気象庁天気予報等では、午前6時頃から午前9時頃までをさす。→未明明け方
作品名別項。→
[類語]明け方夜明け未明明け黎明朝明け残夜かわたれ時白白明け朝ぼらけ有明東雲しののめ払暁早暁薄明夜明け前朝まだき鶏鳴あした朝方朝っぱら早朝モーニング

あした【朝】

夜の明けるころ。あさ。⇔夕べ
「吾を呼び醒ませし―の使は彼なりけるよと」〈蘆花不如帰
次の日の朝。翌朝
野分のわきの―こそをかしけれ」〈徒然・一九〉
[類語]明け方夜明け未明明け黎明朝明け残夜かわたれ時白白明け朝ぼらけ有明東雲しののめ払暁早暁薄明夜明け前朝まだき鶏鳴朝方朝っぱら早朝モーニング

ちょう〔テウ〕【朝】

あさ。あした。
朝廷。
一人の君主が国を治めている期間。また、ある系統の君主たちの治めていた期間。御代みよ御宇ぎょう。「桓武の」「ビクトリア
君主が治めている国。
「―の政をつかさどり」〈平家・二〉
人の集まる所。にぎやかな所。まちなか。
「かだましきも―にあって罪ををかす」〈平家・六〉

あさ【朝】[書名]

《原題、〈イタリアMattino》イタリアの詩人、パリーニの詩。4部作「一日」の第1作。1763年刊。

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精選版 日本国語大辞典 「朝」の意味・読み・例文・類語

あした【朝・明日】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 夜が明けて明るくなった頃。あさ。古くは、夜の終わった時をいう意識が強い。⇔ゆうべ
    1. [初出の実例]「鳴く声を 聞かまくほりと 安志多(アシタ)には 門(かど)出で立ち(ゆふへ)には 谷を見渡し 恋ふれども」(出典:万葉集(8C後)一九・四二〇九)
    2. 「あしたの程は、人々参りこみて、ものさわがしかりけるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)初音)
  3. ( 多く、前日、または、前夜何か事のあったその次の朝をさしていう ) あくる朝。翌朝。明朝。
    1. [初出の実例]「一宿(ひとよ)の間に、稲生ひて穂(ほ)いでたり。其の旦(アシタ)に垂穎(かぶ)して熟(あららか)なり」(出典:日本書紀(720)天智三年一二月(北野本訓))
  4. ( 転じて ) 次の日。翌日。明日。あす。
    1. [初出の実例]「若し法師今日亡(し)なば、朕(われ)従ひて明日(アシタ)(し)なむ」(出典:日本書紀(720)白雉四年五月(北野本訓))
  5. 朝の食事。朝食。
    1. [初出の実例]「もう日が暮れてしまった。あしたの仕掛もしておいたれば、今日のお勤(つとめ)も済(す)んだといふもの」(出典:歌舞伎勧善懲悪覗機関村井長庵)(1862)序幕)
  6. 植物「あしたば(明日葉)」の異名。〔大和本草(1709)〕

朝の語誌

( 1 )古く、アシタとアサとは、同じ「朝」の時間帯を指したが、アサが「朝日・朝霧・朝夕」など複合語の前項として多く用いられ、平安時代以前には単独語の用例がまれだったのに対し、アシタは単独語としての使用が普通で、複合語としては「朝所」くらいであるという違いがあった。
( 2 )アサには「明るい時間帯の始まり」の意識が強い(「朝まだき」「朝け」)のに対し、アシタには「暗い時間帯の終わり」に重点があった。そのため、前夜の出来事を受けて、その「翌朝」の意味で用いられることが多く、やがて、ある日から見た「翌日」、後には今日から見た「明日」の意に固定されていく。この意味変化と呼応しつつ、アサが専ら「朝」を指す単独語となり、ユフベが「昨夜」を示すようになった。


ちょうテウ【朝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 夜が明けて明るくなったころ。あさ。あした。
  3. 朝廷。廟堂。
    1. [初出の実例]「朝の重臣として万機の道に線を調き」(出典:海道記(1223頃)木瀬川より竹の下)
    2. [その他の文献]〔論語‐郷党〕
  4. 一人の君主が統治する間。御代(みよ)。御宇(ぎょう)。また、その君主。「推古の朝」「ロマノフ朝」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
  5. 天子の治めている国。君主政治の行なわれている国。
    1. [初出の実例]「唐にも此朝にも物の心を知人は加久曾(かくそ)(いへ)る」(出典:観智院本三宝絵(984)序)
  6. 人が集まるところ。にぎやかなところ。まちなか。市朝。
    1. [初出の実例]「今の代の民は、朕が心をもって心とするが故に、かだましきもの朝にあって罪ををかす」(出典:平家物語(13C前)六)

あさ【朝】

  1. 〘 名詞 〙 夜が明けてからしばらくの間。⇔
    1. [初出の実例]「しだの浦を阿佐(アサ)漕ぐ船はよしなしに漕ぐらめかもよよしこさるらめ」(出典:万葉集(8C後)一四・三四三〇)
    2. 「我朝ごと夕(ゆふ)ごとに見る竹の中におはするにて知りぬ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))

朝の語誌

古代にあっては夜の終わりの時間をさす「あした」とほぼ同じ意味であるが、単独で使われることは少なく、他の語と複合して使われることが多かった。また、「朝さる・朝漕ぐ・朝立つ」など助詞を介さず動詞と直結する例が多い。夕、宵、夜に対応し、「あかとき」とも時間的に重なることがあるらしい。日の照る時間は「昼」で別のものであったが、のち「あさ」のさす時間帯もだんだん広がって、あるときは、一昼夜を暁、明、朝、昼、夕、暮、宵、夜に分けて辰の時(おおよそ午前七~九時)をさすといわれたり、また、広く夜が明けてから正午までの午前中の時間をさして使われることもある。

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普及版 字通 「朝」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)
12画

[字音] チョウ(テウ)
[字訓] あさ・あした・まつりごと

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
艸(そう)+日+(月)。艸は上下に分書、その艸間に日があらわれ、右になお月影の残るさまで、早朝の意。〔説文〕に字を(かん)部七上に収め、「旦なり。(旗)に從ひ、舟(しう)聲」とするのは、篆文の字形によって説くもので、字の初形でない。金文には右に水に従う形が多く、潮の干満、すなわち潮汐(ちようせき)による字形があり、その水の形が、のち舟と誤られたものであろう。左もの形ではなく、は旗竿に旗印や吹き流しをそえた形で、とは関係がない。殷には朝日の礼があり、そのとき重要な政務を決したので、朝政といい、そのところを朝廷という。朝は朝夕の意のほかに、政務に関する語として用いる。(暮)の初文である(ぼ)も、上下の艸間に日の沈む形である。

[訓義]
1. あさ、あした、よあけ。
2. あさのまつりごと、まつりごと。
3. 朝廷、朝政に参加する、朝廷を問う、天子に謁見する、めす、拝する。
4. 治朝の期間、王朝。
5. 字はまた(ちよう)・晁に作る。

[古辞書の訓]
名義抄 トモガラ・アツマル・ミカド・ミヤコ・ツカウマツル・トキ・アシタ・ツカフ・ナル・トモ・ツトメテ/早 アサマツリゴト/ ヒネモスニ

[声系]
〔説文〕に声としてを収めるが、声が異なる。また(潮)字を十一上に作り、「水、宗するなり」というが、の初文である。

[熟語]
朝靄・朝衣・朝位・朝威・朝意・朝隠・朝雨・朝烏・朝雲・朝映・朝栄・朝謁・朝宴・朝煙・朝恩・朝霞・朝家・朝華・朝賀・朝衙・朝駕・朝・朝開・朝会・朝寒・朝気・朝暉・朝起・朝飢・朝規・朝貴・朝儀・朝曦・朝議・朝宮・朝享・朝鏡・朝・朝旭・朝菌・朝覲・朝槿・朝吟・朝敬・朝鶏・朝闕・朝見・朝眷・朝権・朝憲・朝譴・朝行・朝貢・朝綱・朝光・朝昏・朝朔・朝三・朝衫・朝山・朝旨・朝使・朝寺・朝次・朝事・朝滋・朝・朝日・朝従・朝序・朝・朝升・朝妝・朝章・朝餉・朝鐘・朝臣・朝晨・朝紳・朝酔・朝生・朝成・朝声・朝政・朝晴・朝・朝霽・朝夕・朝籍・朝雪・朝膳・朝宗・朝爽・朝霜・朝・朝帯・朝代・朝旦・朝廚・朝聴・朝朝・朝廷・朝・朝天・朝典・朝・朝登・朝堂・朝暾・朝拝・朝発・朝班・朝飯・朝晩・朝風・朝服・朝氛・朝聘・朝柄・朝・朝餔・朝暮・朝・朝梵・朝・朝満・朝眠・朝霧・朝命・朝明・朝沐・朝野・朝飫・朝・朝陽・朝来・朝嵐・朝礼・朝嶺・朝列・朝露
[下接語]
晏朝・異朝・一朝・王朝・花朝・会朝・外朝・帰朝・熙朝・詰朝・挙朝・皇朝・国朝・今朝・歳朝・在朝・参朝・市朝・私朝・終朝・晨朝・崇朝・清朝・聖朝・先朝・早朝・退朝・旦朝・治朝・天朝・登朝・内朝・入朝・廃朝・本朝・明朝・翌朝・来朝・六朝・両朝・良朝・臨朝・歴朝・列朝

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「朝」の意味・わかりやすい解説


あさ

夜明け(太陽の中心が地平線下7度21分40秒のとき。日の出時刻の約35分前。江戸時代明け六つ)のころからしばらくの間のこと。日最低気温は通常、朝、日の出の直前に観測される。天気予報では、日の出から午前9時ごろまでを朝としている。

[平塚和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

動植物名よみかた辞典 普及版 「朝」の解説

朝 (アサ)

学名:Cannabis sativa
植物。クワ科一年草,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【宮廷】より


【ヨーロッパ】
 君侯とそれを取り巻く廷臣たちの集団が宮廷であるが,歴史上宮廷は,政治的・文化的にしばしば重要な役割を演じた。すでに中世初期カロリング朝(752‐987)において,カール大帝の宮廷が学芸復興に大きく貢献したことはよく知られている。大帝はアーヘンの宮廷に,イギリスからアルクインを招くなどして,いわゆるカロリング・ルネサンスの拠点としたのであった。…

※「朝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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