朝・明日(読み)あした

精選版 日本国語大辞典「朝・明日」の解説

あした【朝・明日】

〘名〙
① 夜がけて明るくなった頃。あさ。古くは、夜の終わった時をいう意識が強い。⇔ゆうべ
※万葉(8C後)一九・四二〇九「鳴く声を 聞かまくほりと 安志多(アシタ)には 門(かど)出で立ち(ゆふへ)には 谷を見渡し 恋ふれども」
※源氏(1001‐14頃)初音「あしたの程は、人々参りこみて、ものさわがしかりけるを」
② (多く、前日、または、前夜何か事のあったその次の朝をさしていう) あくる朝。翌朝明朝
書紀(720)天智三年一二月(北野本訓)「一宿(ひとよ)の間に、稲生ひて穂(ほ)いでたり。其の(アシタ)垂穎(かぶ)して熟(あららか)なり」
③ (転じて) 次の日。翌日。明日。あす。
※書紀(720)白雉四年五月(北野本訓)「若し法師今日亡(し)なば、朕(われ)従ひて明日(アシタ)(し)なむ」
④ 朝の食事。朝食。
※歌舞伎・勧善懲悪覗機関(村井長庵)(1862)序幕「もう日が暮れてしまった。あしたの仕掛もしておいたれば、今日のお勤(つとめ)も済(す)んだといふもの」
⑤ 植物「あしたば(明日葉)」の異名。〔大和本草(1709)〕
[語誌](1)古く、アシタとアサとは、同じ「朝」の時間帯を指したが、アサが「朝日・朝霧朝夕」など複合語の前項として多く用いられ、平安時代以前には単独語の用例がまれだったのに対し、アシタは単独語としての使用が普通で、複合語としては「朝所」くらいであるという違いがあった。
(2)アサには「明るい時間帯の始まり」の意識が強い(「朝まだき」「朝け」)のに対し、アシタには「暗い時間帯の終わり」に重点があった。そのため、前夜の出来事を受けて、その「翌朝」の意味で用いられることが多く、やがて、ある日から見た「翌日」、後には今日から見た「明日」の意に固定されていく。この意味変化と呼応しつつ、アサが専ら「朝」を指す単独語となり、ユフベが「昨夜」を示すようになった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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