デジタル大辞泉
「奇」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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き【奇】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 形動 ) めずらしいこと。思いがけないこと。ふしぎなさま。
- [初出の実例]「右大将云、御幸未刻之由奉レ之、而于レ今遅々如何、為レ奇」(出典:玉葉和歌集‐仁安元年(1166)一二月五日)
- 「何も角もさっぱりと呑込めない…それにしても余程奇な事だなア!」(出典:めぐりあひ(1888‐89)〈二葉亭四迷訳〉一)
- [その他の文献]〔戦国策‐秦策・孝文王〕
- ② ( 形動 ) 妙(たえ)で、すぐれていること。変わっていて興味深いさま。
- [初出の実例]「西湖の景は雨にも奇なり。晴にも好し」(出典:燈前夜話(15C後)下)
- [その他の文献]〔蘇軾‐飲湖上初晴後雨二首詩〕
- ③ 奇数(きすう)。二で割りきれない整数。はんぱ。⇔偶。
- [初出の実例]「陽の数は奇也。一三五七九以上并二十五、奇はもののかたかたあるを云也」(出典:四河入海(17C前)五)
くす
し【奇】
- 〘 形容詞シク活用 〙
- ① 超自然的な霊異をつつしみうやまう気持でいい表わす語。不可思議である。神秘的である。霊妙である。あやしい。くし。
- [初出の実例]「特に久須之久(クスシク)奇(あや)しき事を思ひ議(はか)ること極まりて難し」(出典:続日本紀‐天平神護二年(766)一〇月二〇日・宣命)
- 「吉祥天女を思ひかけむとすれば、法気(ほふげ)づき、くすしからむこそ、又わびしかりぬべけれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- ② 宗教的な霊異や禁忌などを、まじめに信仰し固く従っている。態度が神妙である。奇特である。また、一風変わった、かたくるしくまじめな態度についてもいう。
- [初出の実例]「物忌くすしう、〈略〉などするものの名を姓(さう)にて持たる人のあるが」(出典:枕草子(10C終)二九二)
奇の派生語
くすし‐が・る- 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
く
し【奇】
- 〘 形容詞シク活用 〙
- ① 奇異である。霊妙である。不思議である。→奇御魂(くしみたま)。
- [初出の実例]「天地の明けき奇伎(くしキ)徴(しるし)の授け賜ふ人は」(出典:続日本紀‐天平神護元年(765)三月五日・宣命)
- 「見よ環(たまき)の眼光(まなざし)は一種常と異(かは)れる奇(ク)しき色をもて輝やけるなり」(出典:己が罪(1899‐1900)〈菊池幽芳〉前)
- ② たぐいまれである。珍しい。→奇(く)しき・奇(く)しくも
あや【奇・怪】
- 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「目もあや」の形で ) 見て不思議に思うさま。驚くばかりだ。
- [初出の実例]「いと、目もあやにこそ、清らに物し給ひしか」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- 「急持ちて行きたるに律師目もあやに悦て」(出典:御伽草子・秋の夜の長物語(南北朝))
奇の語誌
上代の副詞「あやに」から転じたものか。「目も」を受ける用法に限られ、見て驚くさまを表わすのは同形語「あや(文=彩)」への類推があったか。多く、賛美する表現で用いられる。
くすば
し【奇】
- 〘 形容詞シク活用 〙 不思議である。珍しい。くすし。
- [初出の実例]「古に ありけるわざの 久須婆之伎(クスバシキ) 事と言ひ継ぐ 血沼壮士(ちぬをとこ) 菟原壮士(うなひをとこ)の」(出典:万葉集(8C後)一九・四二一一)
くしき【奇】
- 〘 連体詞 〙 ( 形容詞「くし」の連体形から ) 不思議な。神秘な。
- [初出の実例]「思へば奇(ク)しき成行であった」(出典:逆徒(1913)〈平出修〉)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「奇」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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