奇(漢字)

普及版 字通 「奇(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] キ・ギ
[字訓] かたがわ・あやしい・すぐれる

[説文解字]

[字形] 会意
(き)+口。口は祝詞を収める器の(さい)。は把手のある大きな曲刀。この曲刀を以て呵して祝の成就を求める意。字の立意は可と近く、可は柯枝を以て祝を呵してその成就を求める意。神の承認を求めることを可といい、奇はその系列の語である。〔説文〕五上に「異なり」と奇異の意とし、また「一に曰く、(偶)あらざるなり。大に從ひ、可に從ふ」とするが、大とは関係がない。奇は剞(きけつ)(彫刻刀)の形に従う。曲刀で不安定な形であるから奇邪の意となり、それよりして奇異・奇偉の意となる。

[訓義]
1. かたがわ、かたよる、まがる。
2. ことなる、あやしい。
3. すぐれる、ぬきんでる。
4. 偶あらざるもの、正常でないもの、かける、あまり。
5. いつわり、ひそか。

[古辞書の訓]
名義抄〕奇 アヤシフ・ミジカシ・メヅラシ・イツハル・マレナリ・アハレブ・タガフ・ナゲク・ヨル・オモテアラフ/數奇 サチナシ

[声系]
〔説文〕に奇声として・剞・・椅・寄・倚・騎・猗・掎・綺・畸・など二十字を収める。おおむね偏倚・奇異の意をもつ字である。奇は剞の象に従い、その曲刀が平衡を失した形であるから、その意を得たものであろう。畸は残田、はさきの鋭いすきである。

[語系]
奇・畸kiaiは同声。一定面積に配分したあとの半端な田地を畸という。畸人のようにも用いる。奇には偏る、傾く意があり、(危)ngiuai、俄ngaiや伎・妓gieなどと関係があろう。

[熟語]
奇異・奇意・奇・奇偉・奇逸・奇雲奇穎・奇・奇縁・奇奥・奇果奇貨奇禍奇瑰・奇懐・奇怪・奇観・奇巌・奇玩・奇気・奇奇・奇・奇鬼・奇・奇技奇戯奇伎奇矯・奇曲奇嶷奇禽・奇句奇遇・奇奇崛奇形・奇計奇警奇譎・奇見奇険・奇言・奇古・奇・奇語・奇功・奇巧・奇好・奇行・奇狡・奇香・奇倖・奇・奇骨・奇才・奇材・奇策・奇士・奇思・奇姿・奇字・奇事・奇辞・奇識・奇疾・奇邪・奇・奇趣・奇樹・奇秀・奇羞・奇習・奇醜奇術・奇儁・奇書・奇勝・奇峭・奇状奇人・奇瑞・奇正・奇声・奇石・奇跡・奇節・奇説・奇絶・奇饌奇羨・奇膳・奇相・奇想・奇態・奇談・奇・奇致・奇智・奇徴・奇珍・奇童・奇道・奇特・奇能・奇拝・奇薄・奇抜・奇秘・奇筆・奇表・奇品・奇服・奇伏・奇物・奇聞・奇文・奇兵・奇辟奇僻・奇変・奇・奇峯・奇方・奇謀・奇鋒・奇木・奇味・奇妙・奇夢・奇薬・奇利・奇零奇嶺奇齢・奇麗奇弄・奇論
[下接語]
愛奇・偉奇・一奇・奇・英奇・雅奇・怪奇・奇・傀奇・瑰奇・魁奇・究奇・屈奇・見奇・好奇・高奇・残奇・辞奇・出奇・神奇・新奇・数奇・正奇・清奇・絶奇・擅奇・超奇・珍奇・伝奇・抜奇・秘奇・標奇・偏奇・幽奇・雄奇・用奇・離奇・猟奇

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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