もやもや(読み)モヤモヤ

デジタル大辞泉 「もやもや」の意味・読み・例文・類語

もや‐もや

[副](スル)
1 煙や湯気などが立ちこめるさま。「湯気でもやもや(と)している浴室」
2 実体や原因などがはっきりしないさま。「もやもや(と)した記憶」
3 心にわだかまりがあって、さっぱりしないさま。もやくや。「彼の一言で、もやもや(と)していたものが吹っきれた」
4 毛や髪などが群がり生えるさま。
「口髭の―と生えた」〈紅葉・二人女房〉
5 色情がむらむらと起こるさま。
「数々の通はせ文、清十郎も―となりて」〈浮・五人女・一〉
6 ごたごた言い争うさま。
「人中で―云ふほどが費つひえ」〈浮・新色五巻書・三〉
[名]
1 わだかまりがあって心がさっぱりしないこと。「胸のもやもやを晴らす」
2 もめごと。ごたごた。
「この―はこの客からおこった事ぢゃ」〈浮・御前義経記・八〉
[アクセント]はモヤモヤ、はモヤモヤ。
[類語](1)(2)ぼんやり・ぼうっと・茫ぼうと・ぼやっと・ぼけっと・ぽっと・ぼさぼさ・きょとん・ぽかん・ぽかり・おぼろ・おぼろげ・不鮮明・不明瞭・朦朧もうろう・模糊もこ・茫漠ぼうばく・茫茫ぼうぼう・漠ばく・漠然ばくぜん・不詳・未詳・未知・未確認・迷宮入り・ほのか・かすか・ほんのり・うっすら・薄薄・淡い・杳よう・杳杳ようよう・杳ようとして・暗い・薄暗い・ほの暗い・小暗い・木こ暗い・小暗がり・手暗がり・真っ暗・暗然・冥冥・霞む/(3)ぼけっと・朦朧もうろう・ぼやける・雲をつかむ・不確か・曖昧・曖昧模糊・ファジー・茫乎ぼうこ・ぼうっと・なんとなく・なんだか・そこはかとない・ほんのり・なんとはなし・どことなく・それとなしに・心なし・なにかしら・思いなしか・ほのか・模糊・茫茫ぼうぼう・漠漠・不明瞭・茫漠ぼうばく・もやくや・もやつく・ぼんやり・彷彿ほうふつ・不鮮明・憂鬱・憂さ・鬱・鬱気・気鬱・鬱鬱・陰鬱・鬱然・鬱陶しい・物憂い・暗鬱・沈鬱・くよくよ・くしゃくしゃ・重苦しい・くさくさ・滅入る・塞ぐ・塞ぎ込む・気塞ぎ・悶悶もんもん・やるせない・くすぶる・わだかまる・意気消沈・暗澹あんたん・胸騒ぎ・怪訝けげん・いぶかしい・いぶかる・辛気・歯がゆい・いらいら/(1)わだかまり・しこり・溝・隔たり・隙げき・ギャップ・疎隔・懸隔・不一致・ずれ・行き違い・食い違い・相容れない・対立・差し支え・障り・差し障り・当たり障り・支障・懸念・気がかり・フラストレーション・疎んずる・隔意・疎外・排斥・擯斥ひんせき・排他・排外・訳有り・眉唾・違和感・猜疑・疑義・疑心暗鬼・疑心暗鬼を生ず・邪推・邪曲・爪弾つまはじき・遠退のく・遠退のける・隔絶・疎遠・厭いとう・バリア・シャットアウト

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精選版 日本国語大辞典 「もやもや」の意味・読み・例文・類語

もや‐もや

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 「と」を伴って用いることもある )
    1. ① ごたつくさま、もめるさま、言い争うさまなどを表わす語。もやくや。
      1. [初出の実例]「篠葉につきてとびちる湯のしづくに、たへがたくあつかりければ、これにかからじともやもやする所に」(出典:仮名草子・かなめいし(1663)下)
      2. 「ちっとの間みせいといふ。イヤならぬというて、もやもやいふ」(出典:松翁道話(1814‐46)四)
    2. ② ある思いや感情などが湧き起こったり、広がったりするさまを表わす語。また、心にわだかまりがあって、気持が乱れるさまを表わす語。多く、忌むべき感情などで気がむしゃくしゃするさまをいう。もやくや。
      1. [初出の実例]「切々なるこころのもやもや、如何」(出典:名語記(1275)六)
      2. 「皆に気を付けられて早もやもやと腹が立」(出典:浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)中)
    3. ③ 特に、のぼせたり、欲情が起こったりするさまを表わす語。
      1. [初出の実例]「かずかずのかよはせ文、清十郎ももやもやとなりて」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)一)
    4. ④ 煙、湯気などがたちこめて、ぼんやりしているさま、ぼうっとしていて、はっきりしないさまなどを表わす語。
      1. [初出の実例]「莨(たばこ)の煙をもやもやと出して」(出典:はやり唄(1902)〈小杉天外〉五)
    5. ⑤ 朦朧(もうろう)として正体がはっきりつかめないような、不分明なさまを表わす語。
      1. [初出の実例]「あとからあとから湧き上ってくる、もやもやした想念」(出典:金(1926)〈宮嶋資夫〉三)
    6. ⑥ 毛、草などが群がり生いしげるさまを表わす語。
      1. [初出の実例]「もやもやと髭はしたなや美人草〈つや〉」(出典:俳諧・三河小町(1702)下)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. ① もめごと。ごたごた。いざこざ。紛争。もやくや。
      1. [初出の実例]「宮嶋市芝居のもやもや」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)二)
      2. 「今のもやもやに、布子の肩を破りをったか」(出典:歌舞伎・松梅鶯曾我(1822)五立)
    2. ② 気持が乱れもつれること。心のわだかまり。煩悶(はんもん)。もやくや。
      1. [初出の実例]「ちょっとしたもやもやが、互に深ふ成て来て」(出典:浄瑠璃・松風村雨束帯鑑(1707頃)三)
    3. ③ わずらい。病気。
      1. [初出の実例]「わしも去年のもやもやから達者になった祝ひ事」(出典:浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)六)
    4. ④ 何かが立ちこめてはっきりしないこと。ぼうっとすること。
      1. [初出の実例]「むす家の蚊やもやもやの中はしら〈胡兮〉」(出典:俳諧・俳諧三部抄(1677)上)
  3. [ 3 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. ① のぼせさせたり、欲情を起こさせたりするさま。
      1. [初出の実例]「しどけなく帯とき掛て、もやもやの風情見せければ」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)三)
    2. ② 群がって湧き起こったり広がったりするさま。
      1. [初出の実例]「疳癪にもやもやの雲が沸きたれば」(出典:花ごもり(1894)〈樋口一葉〉四)
    3. ③ 気持が乱れもつれるさま。
      1. [初出の実例]「肉と云ふものは絶対に斥ける夫婦と云ふものを作らうとしてゐるらしい未通女気(おぼこぎ)とでも云ひ度いものに、この女作者の胸はもやもやにされた」(出典:女作者(1913)〈田村俊子〉)
    4. ④ はっきりしないさま。
      1. [初出の実例]「日あしはすでに鉛色に沈んだ水の上に、眼をもやもやにしてゐた」(出典:山吹(1944)〈室生犀星〉六)

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