別(読み)ベツ

デジタル大辞泉 「別」の意味・読み・例文・類語

べつ【別】

[名・形動]
1 ある物事と他の物事との区別。けじめ。違い。「公私の別をはっきりさせる」「男女の別なく採用する」
2 一緒ではないこと。それぞれ違っていること。また、そのさま。「それとこれとは問題が別だ」「親とは別な(の)住まい」「会計を別にする」
3 そのものでないこと。他のものであること。また、そのさま。「別な(の)家を探す」「別な(の)手段を講じる」
4 他のものと、また普通のものと異なること。また、そのさま。特別。「本給とは別な(の)手当がつく」
5 わかれること。いとまごい。→別に
「夜に及んで―を告げ戸外に出んとす」〈織田訳・花柳春話〉
[類語](1)区別・差異・差別・違い・けじめ・分かち・区分・区分け・小分け・分ける・区割り・分節・細分・細別・区切り・相違・異同・誤差・小異・大差・同工異曲・大同小異・格差・落差・開き・隔たり・懸隔・溝・僅差・個人差・不一致・異質・ギャップ/(2)別個・別別・別様べつよう・別種・別口べつくち・別枠・別途・別建て・個別・個個・各個・異種・似て非なり・似ても似つかない/(3)ほか・他た・他所たしょ/(4)特別・格別・別格・別物べつもの・例外・番外

べつ【別】[漢字項目]

[音]ベツ(慣) ベチ(呉) [訓]わかれる わける わかつ
[学習漢字]4年
1 いっしょにいたものが離れ離れになる。「別居・別離/哀別・一別・永別・訣別けつべつ・告別・死別・生別・惜別・餞別せんべつ・送別・離別」
2 ある特徴によって物事を分け離す。それによって分けられるけじめや違い。「鑑別・区別・戸別・個別・差別・識別・種別・峻別しゅんべつ・性別・選別・大別・判別・分別ふんべつ・分別ぶんべつ・類別」
3 それとは違った。ほかの。「別館・別冊・別字・別荘・別途・別名」
4 とりわけ。特に。他と異なる。「別格・別懇・別状・別段/格別・特別」
[名のり]のぶ・わき・わく・わけ

べち【▽別】

[名・形動ナリ]「べつ(別)」に同じ。
「―によき家を造りて住ませければ」〈宇治拾遺・九〉

わけ【▽別】

古代の姓かばねの一。皇族の子孫で地方に封ぜられたという氏族の姓。

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精選版 日本国語大辞典 「別」の意味・読み・例文・類語

べつ【別】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① ( 形動 ) 異なること。同じでないこと。また、そのさま。べち。
    1. [初出の実例]「そばへ、別の戸をあけて、煙をいだす所をくどとなづく」(出典:名語記(1275)五)
    2. [その他の文献]〔礼記‐楽記〕
  3. ② ( 形動 ) 並みと同じでないこと。特別なこと。また、そのさま。格別。べち。→別に。
    1. [初出の実例]「別の子細 ある歟」(出典:名語記(1275)九)
  4. ③ けじめを立ててわけること。区別。差別。
    1. [初出の実例]「尚ほ一事の在るあり以て方今の別を為す」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一八)
    2. [その他の文献]〔礼記‐昏義〕
  5. ④ わかれ。いとまごい。
    1. [初出の実例]「竹様と太夫様と別(ベツ)の時にお床でたかせられた、はつねといふ一焼のあまり」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)三)
    2. [その他の文献]〔鮑照‐東門行〕
  6. ⑤ 花柳界で、芸者が客と交情すること。〔新時代用語辞典(1930)〕

わけ【別】

  1. 〘 名詞 〙 令制前の姓(かばね)の一つ。皇別の氏(うじ)の姓。地方を治めた家柄の姓として多く、元来は皇族出身で、地方官として下った者が、地名に冠して用いたのがはじめと伝承される。
    1. [初出の実例]「其れより余(ほか)の七十七王は、悉くに国々の国造、亦和気(ワケ)、及(また)稲置・県主に別け賜ひき」(出典:古事記(712)中)

別の補助注記

( 1 )この「わけ」のケは上代特殊仮名遣で乙類にあたり、下二段動詞「わく(分)」の連用形名詞とみられる。
( 2 )四七一年のものとされる埼玉稲荷山古墳出土鉄剣銘に「乎獲居(ヲワケ)」などの例があり、「古事記」では「天石戸別(あめのいはとワケ)神」(上)「伊邪本和気(いざほワケ)命」(下)のように「別」または「和気」と表記されている。高貴な血筋を分けた者の意であり、それが地方に封ぜられた皇族にも与えられたのであろう。


べち【別】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「べち」は「別」の呉音 )
  2. ① ( 形動 ) =べつ(別)①
    1. [初出の実例]「べちの祿」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
    2. 「生れ付き心々は別(ベチ)なるぞかし」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)一)
  3. ② ( 形動 ) =べつ(別)②
    1. [初出の実例]「黄金百りゃうをなむべちにせさせ給ひける」(出典:源氏物語(1001‐14頃)横笛)
    2. 「別(ヘチ)に替った事もなけれども」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)二)

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普及版 字通 「別」の読み・字形・画数・意味

別
常用漢字 7画

[字音] ベツ
[字訓] わかつ・わかれる・わける

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 会意
(か)+刀。は上体の骨の形。骨節のところを刀で分解する意。牛角を刀で解くことを解といい、骨間をわかつことを別という。〔説文〕四下に「解するなり」とあり、分離解体することを原義とする。〔書、康誥〕に「別(あまね)く先哲王に求め聞く」の「別」は、辨(弁)・(偏)と通用の義がある。

[訓義]
1. わかつ、わかれる、わける、骨節を分かつ、ときほぐす。
2. かぎる、区分する、わかれ、別異。
3. わかちさだめる、わきまえる、しる。
4. はなれる、とりわけ、べつに、けじめ、ことなる、ことに。
5. わりふ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕別 コトニ・コトナリ・ハナル・ワキマフ・ワカツ・ワク 〔字鏡集〕別 ワカツ・ハナル・コトニ・ワカル・ワキマフ・コトナリ・トク

[語系]
別biatは辨・辯(弁)bianと声義に通ずるところがあり、わかつ意。(判)phuan、(半)puan、(分)piunは両半にする意で、その分かちかたをいう。

[熟語]
別案▶・別意▶・別異▶・別▶・別駕▶・別解▶・別格▶・別館▶・別記▶・別▶・別居▶・別去▶・別業▶・別径▶・別臉▶・別故▶・別語▶・別後▶・別号▶・別恨▶・別魂▶・別才▶・別裁▶・別歳▶・別子▶・別史▶・別思▶・別字▶・別事▶・別時▶・別日▶・別舎▶・別趣▶・別酒▶・別袖▶・別愁▶・別集▶・別緒▶・別墅▶・別所▶・別状▶・別情▶・別食▶・別心▶・別人▶・別世▶・別説▶・別▶・別体▶・別態▶・別宅▶・別致▶・別腸▶・別調▶・別邸▶・別第▶・別伝▶・別殿▶・別途▶・別念▶・別派▶・別杯▶・別白▶・別袂▶・別堡▶・別封▶・別墨▶・別本▶・別夢▶・別様▶・別来▶・別離▶・別流▶・別涙▶・別路▶
[下接語]
一別・怨別・遠別・乖別・界別・格別・隔別・簡別・鑑別・区別・訣別・別・告別・恨別・差別・細別・支別・死別・識別・殊別・種別・序別・小別・人別・酔別・生別・析別・惜別・銓別・餞別・送別・愴別・贈別・大別・長別・悵別・特別・派別・配別・判別・貧別・傅別・分別・弁別・望別・夢別・離別・留別・流別・両別・類別・話別

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改訂新版 世界大百科事典 「別」の意味・わかりやすい解説

別 (わけ)

古代日本における有力者の称号の一つ。和気,和希,獲居,和居とも表記され,統治権を分かちあうという意から出た称号で,5世紀以前の王(天皇),地方首長がひとしく名の下につけていた。別の称号のもっとも古い用例は,埼玉県行田市稲荷山古墳から出土した鉄剣銘文の中にみえる〈弖已加利居〉〈多加披次居〉などの人名に付けられている〈居〉である。《古事記》《日本書紀》および《和気系図》などの古系図にみえる人名に付けられている別を分析すると,別の称号は応神天皇であるホムダワケ(誉田別)のような人名が天皇の名前から消えていくことと並行して,地方豪族の人名にもみられなくなり,そしてそれに代わって天皇は〈大王〉,諸豪族は〈臣〉〈君〉〈直〉などのカバネ的称号を称するようになるのが5世紀後半からであったことが知られていた。こうした変化の具体的なあり方が,稲荷山鉄剣銘によって確認された。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「別」の解説

別
わけ

古代のカバネ。本来は5世紀中葉以前に大和政権の大王(おおきみ)・王族や,その勢力下にある地方豪族の名の下に付した尊称であった。5世紀中葉以降,大王という称号が成立するとしだいにカバネ化し,旧別姓の地方豪族に君(公)姓が与えられると,7世紀以降,別は氏の名に転化し,君(公)のカバネを有する別(和気)氏が成立した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「別」の意味・わかりやすい解説

別
わけ

雑姓の一つ。また氏の名。「和気」とも書く。本来5世紀前後の天皇,皇族の名につけられた尊称。この姓の氏族は皇別出身の伝承をもち,地名を氏とした国造が多いのが特色で,畿内およびその周辺や西国に分布していた。 (→和気氏 )

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旺文社日本史事典 三訂版 「別」の解説

別
わけ

古代の姓 (かばね) の一つ
地方豪族に多い。大王家出身者が地方官として下り,地名と結びついた残りとされる。

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