都市(シマックのSF)(読み)とし(英語表記)City

翻訳|City

日本大百科全書(ニッポニカ) 「都市(シマックのSF)」の意味・わかりやすい解説

都市(シマックのSF)
とし
City

アメリカの作家クリフォード・シマックのSFで、八つの短編から構成されたオムニバス長編。1952年刊。20世紀末から、都市人口の離散が始まる。人口は郊外へ、宇宙へと分散し、やがて都市は廃墟(はいきょ)と化し、時間の経過とともに、人類の存在さえ神話と化してしまう。人間の文明にとってかわるのは犬たちである。彼らは言語能力を獲得し、平和に地球を支配しながら古代文献を整理検討し、幻の人類伝説の再構成を試みる。各短編の冒頭には覚書がつけられ、犬の歴史学者の見解が述べられている。それによると、ヒトは神話上の存在で、実在しなかったという説が犬の学界の多数派意見であるという。

厚木 淳]

『林克己他訳『都市』(ハヤカワ文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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