雪(気象)(読み)ゆき

百科事典マイペディア 「雪(気象)」の意味・わかりやすい解説

雪(気象)【ゆき】

降水現象の一種積雪を含めていう場合も多い。水蒸気の飽和した0℃以下の空気中で氷晶核に水蒸気が昇華してできた氷の結晶。降ってくる一つ一つの白い一片を雪片といい,これは雪の結晶が一つのこともあり,二つ以上くっついていることもある。大気中で雪ができるのは気象学的には水蒸気を多量に含んだ空気の上昇,冷却が原因であり,また雲粒から雪片が形成される機構については主として氷晶説によって説明されている。雪の結晶は六方晶系に属するが,その時の気温と水蒸気の供給量によっていろいろの外形のものができる。平板正規六花形のものが普通であるが,針状,角柱,鼓(つづみ)形のものも多く,まれには十二花のものがある。また雲粒が凍りついて,あられ状となったものも少なくない。中谷宇吉郎は初めて雪の結晶を人為的に造り出し,さまざまな結晶のできる気象条件を明らかにした。日本の北陸地方は世界的な豪雪地帯として知られるが,これは,日本海上の水蒸気が,冬の北西季節風によって沿岸地方に運ばれ,これが中央山脈につきあたり,強制的に上昇させられるとき,多量の雪となって降るために起こる。降雪の型には沿岸の平野部に多く降る里雪型と,山寄りの地方に多く降る山雪型とがある。北陸地方に多くの被害をもたらすのは,里雪型の場合に多い。→雪質
→関連項目

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