ルイス(読み)るいす(英語表記)William Arthur Lewis

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ルイス(William Arthur Lewis)
るいす
William Arthur Lewis
(1915―1991)

イギリスの経済学者。当時イギリス領であったセント・ルシア(1979年独立)に生まれる。7歳で父と死に別れ、公務員として働きながら奨学金を得てロンドン・スクール・オブ・エコノミックス(LSE)に入学し、1937年卒業。翌1938年同大学の講師となり、1940年にマンチェスター大学で修士号、1942年にLSEで博士号を取得した。1948年から1958年までマンチェスター大学教授、1958年から1962年まで西インド大学学寮長、1962年から1963年まで副総長を務め、1963年にプリンストン大学教授となった。1970年から1973年までカリブ開発銀行の総裁を務めている。
 当初は産業組織論を研究していたが、やがて開発経済学に進み、無制限労働供給の理論を唱えた。労働供給の弾力性が無限大であり、開発途上国において過剰労働が存在し、失業として顕在化せず過剰就業しているようにみえることを説明した。また、開発途上国の経済構造を分析し、工業部門と農業部門(伝統部門)からなる二重構造の経済発展モデル、二部門成長モデルを理論づけ、開発途上国が資本蓄積を進めるには資源のゆがみを正し、労働者の権利の向上と賃金の上昇が必要であることを示した。1979年に「とくに開発途上国問題の考察を通じた経済発展の先駆的研究」で、ノーベル経済学賞をT・W・シュルツとともに受賞した。黒人として初めてのノーベル賞受賞であった。[金子邦彦]
『W・アーサー・ルイス著、益戸欽也・勝俣誠訳『人種問題のなかの経済』(1988・産業能率大学出版部) ▽W・アーサー・ルイス著、水上健造訳『国際経済秩序の発展』(2001・文化書房博文社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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