デジタル大辞泉 「マッチ」の意味・読み・例文・類語
マッチ(match)
1 試合。勝負。競技。「タイトル
2 調和がとれること。適合すること。「内容に
[類語](1)試合・ゲーム・予選・メーンイベント・公式戦/(2)調和・釣り合う・見合う・似合う・そぐう・即する・相応・対応・相当・応分・分相応・適合・合致・即応・ぴったり・適う・適する・合う・沿う・当てはまる・当を得る・値する・兼ね合い・均衡・平衡・バランス・もってこい・便宜・好都合・便利・利便・タイムリー・有り難い・うれしい・
翻訳|match
燐寸と書く。軸木につけた頭薬を摩擦することによって発火する用具。種類は軸木の材質,容器の形状から,通常のマッチ箱に入った木軸のマッチ(家庭用並型・徳用型(家庭小型)マッチ,タバコ用マッチ,広告用マッチ),紙軸のブックマッチ(おもに広告用マッチ),パラフィンを浸透させた紙を巻き固めた蠟軸マッチ,長軸マッチ,耐水耐風マッチ等がある。以上が現在海外および日本で製造されているマッチのほとんどであり,頭薬を側薬の赤リン面に摩擦させて発火するマッチを総称して安全マッチという。このほかに頭薬を靴底や板壁などにこするだけで発火する摩擦マッチがある。摩擦マッチは頭薬中の薬剤の種類により,黄リンマッチ,赤リンマッチ,無リンマッチ,硫化リンマッチがある。黄リンマッチは,その毒性と自然発火の危険性から1912年世界的に製造禁止になっている。赤リンマッチ,無リンマッチも現在では製造されず,無害の三硫化リンを使用する硫化リンマッチだけがわずかに製造されている。
(1)箱マッチ 並型,家庭小型(徳用型),平型(寸二型),大平型(寸六型)等がある。板紙製の側箱と引出しから成り,中に頭付軸木が入っている家庭小型の場合は,身箱にふたをかぶせ,のり付けする。(2)ブックマッチ 櫛状の板紙の先端に頭薬がある紙軸が,板紙の折りたたまれたケースの中に針金どめしてある。(3)長軸マッチ(ファイアプレースマッチ) 通常の軸木は5cm前後であるが,これは10~28cmの長さがある。(4)耐水耐風マッチ 側箱にマツの木素地を用い,側薬,引出し,頭薬にラミネートなどで防水加工を施してある。さらに防風対策としては,軸木半分くらいの長さまで頭薬を付け燃焼時間を長くしてある。
(1)軸木の製造 軸木用材であるヤマナラシ,ドロノキ,サワグルミなどの原木を長さ約42cmに切断し,軸木の太さと同じ厚さにベニヤ状にむき,同じ太さに刻み,2.2mm角,長さ5cmの軸木を作る。軸木が燃える際燃えかすが落ちないように軸木を炭化させるため,リン酸アンモニアを浸透させるインプル加工を施すことがある(輸出用は原則としてインプル軸木を用いる)。これを乾燥させて軸木とする。(2)頭薬混和 酸化剤である塩素酸カリウムに可燃剤を加え,にかわで混和し,泥状の薬泥を作る。この薬泥に染料,顔料等を加えることによって頭薬を自由に着色できる。(3)頭付軸木 この工程は,そろえた軸木と薬泥を連続自動マッチ製造機に供給することによってできる。すなわち軸木はコンベヤ式プレートに自動的に立て並べられ,パラフィン浸透(炎が頭薬から軸木に燃え移りやすくするため,溶融されたパラフィンを約12mm浸透させる),頭薬浸点,乾燥し,頭付軸木となる。(4)製箱 商標や広告店名が印刷されている原紙を1箱の大きさに裁断し,製箱機で引出しも装入され,マッチ箱となる。(5)側薬混和 発火剤である赤リンに助剤として硫化アンチモンを加え膠着(こうちやく)剤で混和する。(6)箱詰仕上げ 頭付軸木とマッチ箱を箱詰機に装てんし決められた本数の箱詰めがなされる。次に側薬が自動的に回転するブラシで塗布されヒーターで乾燥し,内包装,中包装,外包装をして出荷できる製品となる。なお,安全マッチの品質についてはJISに安全性,機能性,不良率等が定められている。
1827年イギリスの薬剤師J.ウォーカーが塩素酸カリウム,三硫化アンチモン,デンプン,アラビアゴムを頭薬とする摩擦マッチを作り,ヨーロッパの各地で製造されたが火付きはよくなかった。31年フランスのソーリアCharles Sauriaは黄リンを頭薬とするマッチを作り,またたくまにヨーロッパ中に広まった。45年オーストリアのシュレッターAnton Ritter von Kristelli Schrötterによって初めて赤リンが得られ,スウェーデンのパッシュGustaf Pasch,フランクフルトのボットガーB.Bottgerらが側薬に赤リンを使い,発火部を頭薬と側薬に分離した安全マッチが出現した。日本では,フランスに留学した清水誠が75年東京で黄リンマッチを製造したのに始まる。その後,立地条件のよい阪神地区を中心に,低賃金婦女子労働に依存し一大輸出産業となり,中国,インド市場を制覇した。大正初年には生産量の80%(日本の総輸出額の2.5%)が輸出され,スウェーデン,アメリカと並び世界の三大マッチ生産国となった。しかし第1次大戦ころから仕向地でマッチ工業が興り輸出は激減した。国内向け生産量も広告マッチの需要により,1965年以降一時的に増大したが,安価な使い捨てライターの出現により75年以降激減し,95年には事業所数15,年間出荷額は42億円程度のきわめて小さい産業になっている。
執筆者:黒田 康敬
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…初め外科医を志したが,手術を嫌って薬剤業に転向。1827年ころに最初の実用的な摩擦マッチを発明したことで知られている。その材料の正確な組成は不明だが,塩素酸カリウム,硫化アンチモンの混合物を木片の端に塗布乾固してつくった。…
※「マッチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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