奈良[市](読み)なら

百科事典マイペディア 「奈良[市]」の意味・わかりやすい解説

奈良[市]【なら】

奈良県北部,奈良盆地にある市。1898年市制。県庁所在地。奈良盆地北部と東の笠置山地,西の矢田丘陵を占める。若草山西麓の古扇状地上にある中心市街は710年創設の平城京に起源し,784年長岡遷都後も東大寺,興福寺,春日大社門前町として栄えた左京外坊の地にあたる。源平・戦国の争乱による被害もうけたが,寺社支配の下,商工業が発展,江戸時代には手工業者,商人もふえ,大和詣での参拝遊山客を集める宗教観光都市となった。史跡社寺名勝が数多い。シカで著名な奈良公園(名勝)には東大寺,春日大社,興福寺,奈良国立博物館,万葉植物園,さらには若草山,原始林(特別天然記念物)を残す春日奥山がある。また市街南東端には新薬師寺,市街西方の佐保路(さほじ)には法華寺,不退寺,平城宮跡(特別史跡),秋篠寺,大和文華館,西ノ京には薬師寺,唐招提寺,若草山北部山腹に三笠温泉がある。年中行事では若草山山焼き,御水取,春日万灯籠,シカの角切りが有名。1950年国際文化観光都市に指定され,1966年には古都保存法が適用された。また,1998年には〈古都奈良の文化財〉が世界文化遺産に登録(東大寺,興福寺,春日大社,元興寺,薬師寺,唐招提寺,春日山原始林,平城宮跡)。ホテル,旅館をはじめ,飲食店,みやげ物店も多い。伝統的な筆墨奈良漬,赤膚(あかはだ)焼の産があり,近代工業として電機・プラスチック・染織・食料品工業などもある。周辺部では野菜,イチゴ,茶,シイタケなどの近郊農業が行われる。大阪との交通が便利で,市街地のほか,西部一帯の住宅地化が著しい。平城・相楽ニュータウンの建設も進み,関西文化学術研究都市の一翼をになうとともに,大阪都市圏のベッドタウンにもなっている。奈良女子大,奈良教育大,帝塚山大などがある。関西本線,奈良線,桜井線,近鉄奈良・京都・橿原(かしはら)各線,阪奈道路などが通じる。2005年4月添上郡月ヶ瀬村,山辺郡都祁村を編入。276.94km2。36万6591人(2010)。
→関連項目奈良[県]奈良教育大学奈良坂奈良女子大学奈良奉行南都西ノ京柳生

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