得意(読み)トクイ

デジタル大辞泉 「得意」の意味・読み・例文・類語

とく‐い【得意】

[名・形動]
1 自分の思いどおりになって満足していること。「得意の絶頂」⇔失意。
2 誇らしげなこと。また、そのさま。「得意な顔」「得意になる」
3 最も手なれていて自信があり、じょうずであること。また、そのさま。得手えて。「得意な競技種目」「得意中の得意」
4 いつも商品を買ってもらったり取引したりする相手。顧客こかく。お得意。
5 親しい友。
「東山の辺にぞ―はある。いでさらば文をやらう」〈平家・五〉
[派生]とくいがる[動ラ五]とくいげ[形動]とくいさ[名]
[類語](1)有頂天・歓喜・狂喜・驚喜・欣喜雀躍・随喜・好い気・絶頂感・優越感・意気揚揚・鬼の首を取ったよう/(2)自慢・誇る・うぬぼれる・おのぼれる・思い上がる・胸を張る・勝ち誇る・驕る・威張る・威張り散らす・付け上がる・高ぶる・反り返る・振り回す・鼻にかける・増長・慢心・自画自賛・誇示・驕おごり・誇り・驕傲きょうごう・矜持・倨傲きょごう・自負・自負心・自賛・自嘆・自任・自得・天狗・うぬぼれ・プライド・高慢・自尊・自尊心・気位きぐらい・思い上がり・唯我独尊・手前味噌・我褒め・身褒め・のぼせる・のぼせ上がる・背負しょう・鼻高高・誇らか・誇らしい・鼻が高い・肩身が広い・得得とくとく・揚揚・時を得顔・したり顔・自慢顔・自慢げ・自慢たらしい・会心・昂然こうぜん・得意満面・得意顔・肩を張る・肩で風を切る・これ見よがし・有頂天・優越感・意気揚揚・鬼の首を取ったよう・欣喜雀躍きんきじゃくやく・意気が揚がる・ひけらかす・顎あごをなでる・どや顔・所得ところえ顔・手柄顔・肩肘かたひじ張る・天狗になる・見得を切る・大見得を切る・いい気・見せつける/(3)得手えて・達者・堪能・上手じょうず・巧者・得手物えてもの・特技・おはこ・十八番・お株・売り物・お家芸・お手の物・専売特許・有能・器用・多才・巧うまい・巧たくみ・巧妙・潰しが利く・能よくする・腕が立つ・敏腕・辣腕・腕利き・腕こき・腕っこき・手練てだれ・手利き・名人・達人・名手・妙手・エキスパート・巨星・巨匠・名匠・名工・大家たいか・権威・第一人者・泰斗たいと・耆宿きしゅく・大御所おおごしょ・オーソリティー・巧手・怪腕・凄腕・腕達者/(4)顧客・常客・常連・馴染み・上得意・常得意・上客・客・花客・クライアント・乗客・旅客・観客・観衆・聴衆・お客様・一見

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精選版 日本国語大辞典 「得意」の意味・読み・例文・類語

とく‐い【得意】

  1. 〘 名詞 〙 ( 意を得るの意 )
  2. ① ( ━する ) 自分の気持にかなうこと。また、その結果満足すること。目的を達して満足していること。
    1. [初出の実例]「憤釈愁慰、朗然如レ醒。予重抒二蕪詞一、謝二其得意一」(出典:菅家文草(900頃)二)
    2. [その他の文献]〔史記‐蘇秦伝〕
  3. ② 自分の気持を理解する人。親しい友。昵懇(じっこん)にする人。知友。また、知り合い。
    1. [初出の実例]「千万人家一世間、適逢二得意一不レ言レ還」(出典:菅家文草(900頃)二・山家晩秋)
    2. 「入道はかの国のとくゐにて、年ころあひかたらひ侍れど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
  4. ③ ( 形動 ) 自信があり、また、十分に慣れていること。それに熟達していること。また、そのさま。えて。
    1. [初出の実例]「或主殿司若令三得意人守二護之一」(出典:古事談(1212‐15頃)一)
    2. 「必ず共に君の得意(トクイ)なる所のものも亦談じ」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉四八)
  5. ④ ひいきにすること。また、その人。
    1. [初出の実例]「御とくいななり、さらによもかたらひとらじ」(出典:枕草子(10C終)八七)
  6. ⑤ いつも取引きする先方。商家などで、いつもきまって買いに来てくれる客。得意先。顧客。
    1. [初出の実例]「元来(もとより)商のとくい、殊更にあしらい」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)二)
    2. 「それから愛顧客(トクイ)も減ったといふから」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一一)
  7. ⑥ ( 形動 ) 自信をもって誇らしげにふるまうこと。盛んに自慢すること。誇りたかぶること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「意気揚々として市中を横行するの時に於ては。道傍の人誰も天晴れ貴人なりと指し語るを見て自ら得意となす」(出典:将来之日本(1886)〈徳富蘇峰〉六)

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改訂新版 世界大百科事典 「得意」の意味・わかりやすい解説

得意 (とくい)

店商(みせあきない)や市商(いちあきない)の行われにくい場所では,かつて行商(ぎようしよう)が盛んに行われた。行商には,呼売や振売(ふりうり)など近まわりのものから,近江商人や富山の薬売のように全国的なものまであった。漁村では,獲れた鮮魚や貝・藻を近郊の農村などに売り歩く婦人の行商が,多くみられた。これらは,イタダキやボテフリ,オタタなどと呼ばれたが,それぞれ,売り歩く先に得意をもっていた。これらの得意先は,行商人によって固定している場合が多く,母から娘へ,あるいは姑から嫁へ引き継がれ,数代にわたってその関係を維持してきたものも多い。

 この売手-買手の関係を示すことばとして,東北のケヤク,ダンカ,能登のダンナバ,四国のコメビツやウリツケ,九州のイリツケ,イトコなどが報告されており,それぞれの行商人にとっては,財産として考えられ,他の行商人たちは,これを侵さないようにした。
→販女(ひさぎめ)
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普及版 字通 「得意」の読み・字形・画数・意味

【得意】とくい

心にかなう。〔列子、仲尼〕を得るは言無し。知を(つく)(尽)せるも亦た言無し。無言を以て言を爲すも、亦た言なり。無知を知と爲すも、亦た知なり。~斯(かく)の如きのみ。

字通「得」の項目を見る。

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