デジタル大辞泉
「得意」の意味・読み・例文・類語
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とく‐い【得意】
〘名〙 (意を得るの意)
① (━する) 自分の
気持にかなうこと。また、その結果満足すること。目的を達して満足していること。
※菅家文草(900頃)二「憤釈愁慰、朗然如レ醒。予重抒二蕪詞一、謝二其得意一」 〔史記‐蘇秦伝〕
② 自分の気持を理解する人。親しい友。昵懇(じっこん)にする人。知友。また、知り合い。
※菅家文草(900頃)二・山家晩秋「千万人家一世間、適逢二得意一不レ言レ還」
※
源氏(1001‐14頃)明石「入道はかの国のとくゐにて、年ころあひかたらひ侍れど」
③ (形動) 自信があり、また、十分に慣れていること。それに熟達していること。また、そのさま。えて。
※
古事談(1212‐15頃)一「或主殿司若令
三得意人守
二護之
一」
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉四八「必ず共に君の得意(トクイ)なる所のものも亦談じ」
④ ひいきにすること。また、その人。
※枕(10C終)八七「御とくいななり、さらによもかたらひとらじ」
⑤ いつも取引きする
先方。
商家などで、いつもきまって買いに来てくれる客。
得意先。顧客。
⑥ (形動) 自信をもって誇らしげにふるまうこと。盛んに自慢すること。誇りたかぶること。また、そのさま。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
得意 (とくい)
店商(みせあきない)や市商(いちあきない)の行われにくい場所では,かつて行商(ぎようしよう)が盛んに行われた。行商には,呼売や振売(ふりうり)など近まわりのものから,近江商人や富山の薬売のように全国的なものまであった。漁村では,獲れた鮮魚や貝・藻を近郊の農村などに売り歩く婦人の行商が,多くみられた。これらは,イタダキやボテフリ,オタタなどと呼ばれたが,それぞれ,売り歩く先に得意をもっていた。これらの得意先は,行商人によって固定している場合が多く,母から娘へ,あるいは姑から嫁へ引き継がれ,数代にわたってその関係を維持してきたものも多い。
この売手-買手の関係を示すことばとして,東北のケヤク,ダンカ,能登のダンナバ,四国のコメビツやウリツケ,九州のイリツケ,イトコなどが報告されており,それぞれの行商人にとっては,財産として考えられ,他の行商人たちは,これを侵さないようにした。
→販女(ひさぎめ)
執筆者:高桑 守史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
普及版 字通
「得意」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報