むくむく

精選版 日本国語大辞典 「むくむく」の意味・読み・例文・類語

むく‐むく

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
① 毛などが多く重なり合って生えているさまを表わす語。
古今著聞集(1254)一七「毛むくむくとある物、さしころされてあり。みれば狸なりけり」
② 厚く柔らかくふくらんでいるさま、また、態度・物腰などが柔らかであるさまを表わす語。
※仮名草子・童蒙先習(1612)一「夏はこはり帷、冬はむくむくの小袖」
※評判記・満散利久佐(1656)薩摩「やはらかに、むくむくとしたるばかりにて、いっきりとしたる所なし」
抹茶が十分に泡立つさまを表わす語。
※虎明本狂言・鱸庖丁(室町末‐近世初)「あわあわむくむくほうほうと、ねこのはらだったごとく、なかだかにたてなひておまらせうほどに」
④ うごめいたり、うごめいて起き上がったりするさまを表わす語。
※寒川入道筆記(1613頃)落書附誹諧之事「おこしたまへども、〈略〉目も覚ず、むくむくとしてゐられたれば」
⑤ 煙や雲、波などが勢いよくわき立つさまを表わす語。
※俳諧・枯尾花(1694)下「こっそりと散て仕廻し花の跡〈曲翠〉 むくむくあくる芝のかげろふ〈昌房〉」
感情や考えが急激にうかびあがるさまを表わす語。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「引続いてムクムクと浮み上ッた『免職』の二字で狭い胸がまづ塞がる」
⑦ 口を小刻みに動かすさまを表わす語。むぐむぐ。
※応永本論語抄(1420)里仁第四「物云時にむくむくとどもるやうにして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「むくむく」の意味・読み・例文・類語

むく‐むく

[副](スル)
雲・煙・泡などが重なり合ってわき出るさま。「黒雲むくむく(と)出てくる」
感情や考えが急に起こるさま。「好奇心むくむく(と)頭をもたげる」
横たわっているものがうごめくさま。また、起き上がるさま。「寝ていた子供むくむく(と)起きた」
柔らかくふくらんでいるさま。「むくむくした赤ん坊
[類語](3むっくとがばとがばっとむっくりむくりすっくしゃんとしゃっきりついとすいとつとすっとさっとぱっとふとふっと不意にわかはた/(4ふわふわふわっとふわりふんわりふっくらふくふくぷくぷくぷよぷよぷにぷにふにゃふにゃなえなえへろへろへたへたよれよれしなしななよなよなよやかぐにゃぐにゃへなへなぶよぶよくにゃくにゃぐにゃっとくにゃっとくなくなぐなぐなぐにゃりぐんにゃりぐんなりしなやかしんなりぷるんぷるぷるぷりぷりしこしこ

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