節(ふし 植物)(読み)ふし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「節(ふし 植物)」の意味・わかりやすい解説

節(ふし 植物)
ふし

茎上で葉の付着する部分をさし、「せつ」ともいう。また、節で上下をくぎられた部分を節間(せっかん)という。タケなどでは節と節間とがはっきり区別できるが、一般の植物の場合、外部形態では節の範囲を限定しにくい。しかし、解剖学的にみると、節では維管束走行が複雑になっているので節間とは区別できる。被子植物のうち、双子葉植物の節間では中心柱の維管束は環状に配列するが、節では茎から分かれた維管束(これを葉跡(ようせき)という)が付着する葉へ入り、その部位では茎の維管束環に柔組織のすきま(葉隙(ようげき))を生じる。葉跡の始点と終点とを決めるのはむずかしいが、その基部は節間の中心柱の維管束として存在し、節を経て、その先端部は茎の皮層へ入ったところで終わる。しかし、それより上方では、分枝したり他の維管束と癒合したりするので、茎の中心柱から分かれた葉跡の数と葉柄基部の維管束の数とでは異なるものが多い。双子葉植物では、節に3個の葉隙を生じる三隙型が多いが、ほかに一隙型、多隙型もある。1個の葉隙から1本の葉跡を生じるが、コショウ科などでは1個の葉隙から2本の葉跡が生じることもある。単子葉植物では、ユリ科ヒルムシロ科などのように茎の中心柱の維管束が多少でも環状に配列していると、節に3本の葉跡が生じる三隙型となる。しかし、多くは不斉中心柱で、多数の葉跡が葉へ入るが、これに対応する葉隙を認めるのはむずかしい。裸子植物では一隙型が多く、1個の葉隙から、マツでは1本、イチョウマオウなどは2本の葉跡が生じる。ソテツグネツムは多隙型で、節の隙と同数の葉跡を生じる。また、シダ植物でも維管束系がよく発達しており、地下茎などで節と節間が解剖学的に区別できる。このように、節における葉跡と葉隙の数は分類群内で安定しているので、系統発生上で重視されている。

 なお、木材にも節(ふし)とよばれるものがあるが、これは側枝が肥大した茎の二次組織に取り込まれて残ったもので、ここで解説したものとは区別される。

[杉山明子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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