光(市)(読み)ひかり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「光(市)」の意味・わかりやすい解説

光(市)
ひかり

山口県南東部にある市。1943年(昭和18)光、室積(むろづみ)の2町が合併して市制施行。1955年周防(すおう)村を編入。2004年(平成16)熊毛(くまげ)郡の大和町(やまとちょう)と合併。周防灘(すおうなだ)に面する工業都市で、JR山陽本線と国道188号が通じる。島田(しまた)川下流と室積海岸を占め、島田川沿いには弥生(やよい)時代の遺跡が多く、三井(みい)の岡原遺跡は高地性集落跡。小周防(こずおう)は『和名抄(わみょうしょう)』の周防郷で、周防国造(くにのみやつこ)の本拠といわれ、のち周防本郡ともよばれた。室積湾は陸繋島(りくけいとう)に囲まれた良港で、平安時代から室積泊(どまり)として知られた要津で、近世には萩(はぎ)藩室積会所が置かれ、防長米の積出し港として栄えた。1940年(昭和15)島田川三角州に海軍工廠(こうしょう)が建設され、人口7万の新興工業都市となったが、第二次世界大戦終結前日の空襲によって壊滅した。戦後、跡地に八幡(やはた)製鉄(現、日本製鉄)、武田薬品工業の二大工場が進出し、現在は周南(しゅうなん)工業地域の一翼となっている。三井の賀茂(かも)神社の銅鐘は国指定の重要文化財で、日本への渡来を示す追刻銘(1367)としては最古の朝鮮鐘。また、熊毛郡田布施(たぶせ)町との堺にある石城山(いわきさん)(362メートル)は県立自然公園域。同山の八合目を取り巻く延長2.6キロメートルの神籠石(こうごいし)は国指定の史跡で、1953~1954年(昭和28~29)の学術調査によって、列石や土塁、水門などの遺構を残す古代山城(やまじろ)と判明した。山頂付近にある延喜(えんぎ)式内社石城神社の本殿は1469年(文明1)大内氏再建のもので国の重要文化財である。瀬戸内海西部の植生の本来の姿を知るうえで貴重な「峨嵋山樹林(がびさんじゅりん)」は、国指定天然記念物。瀬戸内海国立公園域の室積半島や千坊山(せんぼうざん)、海水浴場の虹ヶ浜(にじがはま)、キャンプ村やヨット基地がある室積海岸などは、景勝の保養観光地となっている。面積92.13平方キロメートル、人口4万9798(2020)。

[三浦 肇]

『『光市史』(1975・光市)』『『光市現代20年史』(1996・光市)』


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