デジタル大辞泉
「日」の意味・読み・例文・類語
にち【日】
[名]
1 日曜日。
2 「日本」の略。「対日貿易」
[接尾]助数詞。
1 月の中の何番目の日であるかを表すのに用いる。「4月28日」「きょうは何日ですか」
2 日数を数えるのに用いる。「誕生日まであと12日だ」
け【▽日】
《上代語。「か(日)」と同語源という》二日以上にわたる日のこと。日々。 →日長し →朝に日に
「一日こそ人も待ちよき長き―をかくのみ待たばありかつましじ」〈万・四八四〉
か【日】
[接尾]助数詞。数を表す和語に付いて、日数を数えるのに用いる。「十日」「三日三晩」「二月七日に雪が降った」
「いま幾―ありて若菜摘みてむ」〈古今・春上〉
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ひ【日・陽】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 太陽。日輪。
- [初出の実例]「青山に 比(ヒ)が隠らば ぬばたまの 夜は出でなむ」(出典:古事記(712)上・歌謡)
- ② 太陽の光や熱。日光。日ざし。
- [初出の実例]「六月の地さへ割けて照る日にも吾が袖乾めや君に逢はずして」(出典:万葉集(8C後)一〇・一九九五)
- ③ 太陽が東に出てから西に沈むまでの間。ひるま。ひる。日中。
- [初出の実例]「日日並(かかな)べて 夜には九夜 比(ヒ)には十日を」(出典:古事記(712)中・歌謡)
- ④ 時間の単位としての一日。また、その重なり。
- (イ) 日の出から次の朝の日の出まで。日没から次の日没まで。天文学的には午前零時から午後一二時まで。二四時間。一昼夜。一日。
- [初出の実例]「日慎一日。時競一時。孜孜鑽仰。切切斟酌」(出典:三教指帰(797頃)上)
- (ロ) 時の流れの中のある時点、時期を、単位としての一日になぞらえていう。時。折。一時期。時代。「若き日の彼女」
- [初出の実例]「大君は 千歳にまさむ 白雲も 三船の山に 絶ゆる日(ひ)あらめや」(出典:万葉集(8C後)三・二四三)
- (ハ) 一定の日。日限。また、日時。
- [初出の実例]「日を定て、御かりに出たまうて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「日を延べても、さる事はする物を」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蜻蛉)
- (ニ) 日数。ひかず。
- [初出の実例]「雨零らず 日の重れば 植ゑし田も 蒔きし畠も 朝毎に 凋(しぼ)み枯れゆく」(出典:万葉集(8C後)一八・四一二二)
- ⑤ ( 「…した日には(にゃあ)」の形で ) そういう場合。…の際。
- [初出の実例]「なにか二人が来るさうさう、薬鑵ましい事をいふ様だけれど、その肘がはづれて土瓶とそつちに倒れるひにゃアまて火鉢はねへ」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)初)
- ⑥ 日柄。また、よい日柄の日。
- [初出の実例]「明日なん、日よろしく侍らば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
- ⑦ 空模様。天気のぐあい。
- [初出の実例]「ふねとくこげ。ひのよきに」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月五日)
- ⑧ 皇室や皇族に関する事柄につけて、ほめたたえる気持を表わす語。日の神、すなわち、天照大神の子孫の意とも、光り輝く太陽にたとえたことばともいう。「日の御子」「日の御門」など。
- ⑨ 紋所の名。太陽にかたどったもの。旭光(きょっこう)、十二日足車、六つ日足車などの種類がある。
旭光@十二日足車
- [ 2 ] 〘 造語要素 〙 ( 下に体言、または体言に準ずる語を伴って ) 毎日、日ごとの意。「日風呂」「日掛け」など。
日の補助注記
上代特殊仮名づかいでは甲類であり、「ひ(火)」の「ひ」は乙類であるところから、本来「ひ(火)」とは別語。
け【日】
- 〘 名詞 〙
- ① 何日にもわたる期間。二日以上の日。日び。日かず。
- [初出の実例]「君が行き 気(ケ)長くなりぬ 山たづの 迎へを行かむ 待つには待たじ」(出典:古事記(712)下・歌謡)
- ② ( 「朝にけに」の形で用い ) 日ごと。毎日。
- [初出の実例]「青山の嶺の白雲朝に食(け)に常に見れどもめづらし吾(あ)が君」(出典:万葉集(8C後)三・三七七)
日の語誌
( 1 )「ひ(日)」の複数を表わすとの説もあるが、日本語には文法範疇としての「複数」が認められないので疑問である。
( 2 )「ふつか(二日)」「みか(三日)」などの「か」や「こよみ(暦)」の「こ(甲乙は不明)」と同語源とする説が古くからあるが、「ふつか」「ようか(四日=ヨッカの古形)」「いつか(五日)」「むゆか(六日=ムイカの古形)」「なぬか(七日=ナノカの古形)」「やうか(八日=ヨウカの古形)」「ここぬか(九日=ココノカの古形)」「はつか(二〇日)」などから取り出されるのは「か」ではなくむしろ「うか」であると考えられ、「け」との関連は薄い。
( 3 )「キヘ(来経)の約」とする説は成り立たない。
( 4 )②の「朝にけに」に似た言い方に「日に異(け)に」「月に異(け)に」があるが、この「異(け)」は甲類のケで、乙類のケである「け(日)」とは別語。→異(け)
にち【日】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 太陽。日輪。ひ。
- [初出の実例]「到頭 日(ニチ)(お日さま)が せぶるまで(日がくるる)のせ(のむ)て居たはいのう」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)二)
- ② 陰陽道で、七曜(または九曜)の一つ。また、七曜を一週間に配したものの一番目「日曜」の略。
- [初出の実例]「羅土水金日火計月木 九曜」(出典:運歩色葉集(1548))
- ③ 歌舞伎や演芸の興行で、大道具・小道具・衣裳方などに、一日ごとに支払われる給料。
- [ 2 ] 「にっぽん(日本)」の略。「日英」「日米」「日仏」
- [ 3 ] 〘 接尾語 〙
- ① 日数を数えるのに用いる。
- [初出の実例]「一日に十枚づつ、千枚の起請を百日の間に書て」(出典:延慶本平家(1309‐10)六末)
- ② その月の何番目の日であるかを示す。
- [初出の実例]「十六にち彼岸のはじめにて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸)
- ③ 日の順序を表わす。「文化祭の第三日」
か【日】
- 〘 接尾語 〙 和語の数詞に付けて、日数を数えるのに用いる語。
- ① 昼の数についていう。「三日三晩」
- [初出の実例]「日日(かが)並(な)べて 夜には九夜(ここのよ) 日には十加(カ)を」(出典:古事記(712)中・歌謡)
- ② 一昼夜を単位として数える。この場合、「五日かかる」「あと十日」のように、日数についてもいい、「三月三日」のように、ある基準の日から数えてその日数に当たる日をさしてもいう。
- [初出の実例]「百(もも)可(カ)しも行かぬ松浦路(まつらぢ)今日(けふ)行きて明日(あす)は来なむを何か避(さや)れる」(出典:万葉集(8C後)五・八七〇)
び【日】
- 〘 造語要素 〙 名詞およびそれに準ずる語に付いてなにかに当たる日であることを表わす。「物日(ものび)」「支払い日」「記念日」「誕生日」「日曜日」など。
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普及版 字通
「日」の読み・字形・画数・意味
日
常用漢字 4画
[字音] ニチ・ジツ
[字訓] ひ・ひる・ひかり・さきに
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
太陽の形。中に小点を加えて、その実体があることを示す。三日月の形に小点を加えて、夕とするのと同じ。〔説文〕七上に「實(み)てるものなり。太陽のは虧(か)けず」とするのは、〔釈名、釈天〕の「日は實なり。~は缺なり」とするのによるもので、音義説である。日と實、と缺とは、今の音ははるかに異なるが、古音は近く、わが国の漢字音にはなおその古音が残されている。
[訓義]
1. ひ、太陽。
2. ひる、ひかり。
3. ひび、こよみ。
4. さきに、ひあけて、のちに。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕日 ヒ・ヒル・ヒ(サ)キニ・ヤスシ/日 ヒゴロ・コノコロ/日沒 イリアヒ/日斜 ヒクタチ
[部首]
〔説文〕に旻・時・早・晉(晋)・昌・など七十字、また〔新附〕の字として(暦)など十六字を属し、〔玉〕には二百四十字を属する。日部とされる字のうち、早は匙(さじ)の従うところと同じく、その象形。晉(しん)はもとに作り、上部は鏃(やじり)の鋳笵の形で、曰(えつ)は銅を流し入れる口。(れき)は曰に従う字で、両禾(りようか)軍門の前で、その功歴を旌表する意の字、昌は晶と同じく星象を示し、その明光をいう。(けん)は玉(日の形)の下に白香(しらか)をつけ神を迎える形。それを拝することを顯(顕)といい、神の顕現を意味する。いずれも日に従う字ではない。
[語系]
日njietと實(実)djietは声近く、ともに舌音同韻の字で、古く相近いとされたのであろう。實は是zjie、寔zjiek系統の語である。
[熟語]
日▶・日餔▶・日晏▶・日闇▶・日域▶・日▶・日▶・日宇▶・日烏▶・日暈▶・日影▶・日永▶・日映▶・日翁▶・日御▶・日馭▶・日暁▶・日月▶・日限▶・日午▶・日後▶・日次▶・日時▶・日常▶・日漸▶・日日▶・日晩▶・日微▶・日分▶・日暮▶・日母▶・日▶・日俸▶・日報▶・日没▶・日夜▶・日用▶・日要▶・日耀▶・日流▶・日輪▶・日廩▶・日霊▶・日麗▶・日路▶・日華▶・日課▶・日下▶・日▶・日角▶・日▶・日官▶・日冠▶・日記▶・日気▶・日軌▶・日晞▶・日▶・日暉▶・日虧▶・日脚▶・日及▶・日給▶・日鏡▶・日勤▶・日禁▶・日煦▶・日▶・日圭▶・日計▶・日景▶・日傾▶・日戸▶・日工▶・日虹▶・日光▶・日轂▶・日祭▶・日際▶・日朔▶・日至▶・日子▶・日糸▶・日志▶・日祀▶・日施▶・日者▶・日車▶・日射▶・日斜▶・日出▶・日升▶・日章▶・日晶▶・日照▶・日色▶・日昃▶・日食▶・日稷▶・日燭▶・日進▶・日新▶・日辰▶・日数▶・日成▶・日省▶・日逝▶・日精▶・日躋▶・日夕▶・日仄▶・日側▶・日戴▶・日旦▶・日短▶・日端▶・日知▶・日秩▶・日中▶・日昼▶・日長▶・日朝▶・日直▶・日程▶・日▶・日跌▶・日躔▶・日表▶・日辺▶
[下接語]
愛日・曖日・晏日・畏日・一日・暈日・永日・映日・翳日・遠日・縁日・往日・佳日・夏日・過日・暇日・日・隔日・寒日・元日・忌日・棄日・期日・吉日・旧日・休日・救日・窮日・日・日・日・旭日・近日・頃日・後日・好日・曠日・剛日・今日・祭日・朔日・残日・至日・視日・時日・社日・射日・斜日・爍日・終日・柔日・出日・春日・旬日・初日・除日・上日・人日・尽日・凄日・夕日・赤日・昔日・節日・前日・即日・他日・旦日・遅日・逐日・中日・昼日・天日・当日・同日・寧日・白日・不日・平日・日・毎日・末日・命日・厄日・余日・翼日・来日・落日・良日・累日・例日・暦日・烈日・連日・臘日
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
日
ひ
地球自転から定まる時間単位で、恒星日と太陽日がある。春分点の南中から南中までの時間を1恒星日といい、章動を含む刻々の春分点に対するものを視恒星日、章動の影響を取り去った平均の春分点に対するものを平均恒星日という。太陽の南中から南中までの時間が1視太陽日であり、平均太陽のそれを平均太陽日という。太陽が黄道上を運行すること、またその運行が一様でないことからおこる不等のため、視太陽日の長さは毎日一様でない。この不等を取り除いて1年について平均した一様な長さの太陽日が平均太陽日である。平均恒星日も平均太陽日も0時から24時まで数えるが、両者には次の関係がある。
365.24220平均太陽日
=366.24220平均恒星日
1平均太陽日=24時平均太陽時
=24時3分56.5554秒平均恒星時
1平均恒星日=24時平均恒星時
=23時56分4.0905秒平均太陽時
一般には、日とは太陽そのものもいう。また日の出から日没までの昼間を意味する。
[渡辺敏夫]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
日
にち
day
時間の単位。 SI単位記号はd。 1dは原子時の1秒の 24× 60× 60倍。もともと1日は地球の自転の1周期の時間であるが,天文学の種々の時系すなわち太陽時,平均太陽時,世界時 UT,恒星時,暦表時 ETに応じて1日の長さは少し異なる。 SIでは天文現象に無関係な原子時によって定義された秒の倍数で日を定義する。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
日 (にち)
day
時間の単位で,記号はd。1d=24h=86400sと定義される。国際単位系(SI)以外の単位であるが,SIと併用される単位となっている。
執筆者:大井 みさほ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
にち【日】
時間の単位。記号は「d」。1日は1秒の8万6400倍、1分の1440倍、1時間の24倍。また、正午から翌日の正午までの時間をいう。日数では、真夜中から翌日の真夜中を1日とする。
出典 講談社単位名がわかる辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の日の言及
【暦】より
…1日を単位として長い時間を年,月,日によって数える体系。その体系を構成する暦法,またはそれを記載した暦表,暦書をいうこともある。…
※「日」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」