一杯(読み)イッパイ

デジタル大辞泉 「一杯」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ぱい【一杯】

[名]
1 一つの杯・茶碗などに入る分量。「コップ一杯の水」
2 ちょっと酒を飲むこと。「帰りに一杯やりませんか」
3 イカ・タコや船一つ。→杯はい
4 金1両。
「祝儀は女郎へ、壱分を二三十粒、宿へ三歩あるいは金―」〈浮・元禄大平記・五〉
5 名詞の下に付き、接尾語的に用いて、限度ぎりぎりまで、の意を表す。「精一杯働く」「時間一杯考える」「腹一杯食べる」
[副]
1 一定の容器や場所などに物があふれんばかりに満ちているさま。「日が一杯さし込む」「部屋は来客で一杯になる」
2 できる限り。ありったけ。「弓を一杯に引き絞る」
[アクセント]はイッパイ、はイッパイ。
[類語]∥(2)一献/(1)満満と・なみなみ・ぎっしり・びっしり・満杯・たくさん・たっぷり・十二分に・ふんだんに・どっさり・たんまり・豊富に・潤沢じゅんたくに・多い・夥しい・たんと・ごまんと・わんさと・うんと・十分・しっかり・がっつり・思い切り・思う存分・充満・充溢・充実・満員・充足・満席・満車・満室・満タン・飽和・数数かずかず・多数・数多すうた・無数・多量・大量・大勢おおぜい・大挙・多勢・多人数・大人数・衆人・莫大・膨大・巨万・豊か・潤沢・無尽蔵・山ほど・盛り沢山・がっぽり・がっぽがっぽ・多め・幾多・過多・最多・多作・あまた・多多・いくらも・いくらでも・ざらに・ごろごろ・多め・数知れない・数知れぬ・数え切れない・十指に余る・枚挙にいとまがない・掃いて捨てるほど・諸もろもろ・広い・幅広い・手広い・広範・広範囲・多方面・多角・多面・多岐・様様・各種・種種しゅじゅ・諸種・いろいろ・多様・多様化・多面的・多種・多種多様・多彩・いろんな・とりどり・色とりどり・百般・万般・諸般・多元・多元的・多角的・横断的・複眼的・おしなべて・全般に・一般・総じて・概して・おおむね・大概・普通・通例・通常・一体に・総体・およそ・遍あまねく・雑多・万よろず・各人各様・十人十色・千差万別・マルチ・事事物物・種種雑多・各様・種種くさぐさ・玉石混淆こんこう・凡百ぼんぴゃく・百態・百事・百千・万端・各般・数次・幾度・等等・諸相・諸物・あれこれ・何やかや・何だかんだ・何のかの・何くれ・何くれとなく・あれやこれや・ごちゃごちゃ・あの手この手・エトセトラ・百もも・億万・千万・千万無量・うようよ・うじゃうじゃ・蝟集いしゅう・無尽・雲霞うんか・星の数ほど・浩瀚こうかん・少なからず・山積み・山積・飽和・満満・ごっそり・大半・累積・山をなす・十重二十重とえはたえ・有り余る

ひと‐はた【一▽杯】

あふれるくらいいっぱいなこと。
「御目に涙を―浮けて」〈愚管抄・五〉

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精選版 日本国語大辞典 「一杯」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ぱい【一杯・一盃】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ① 杯、茶碗、コップなど、一つの容器に入れた酒、茶、飯など。また、一つの容器にはいる分量。
      1. [初出の実例]「日食粥一杯なるゆゑに」(出典:正法眼蔵(1231‐53)行持下)
      2. [その他の文献]〔荘子‐至楽〕
    2. ② ちょっと酒を飲むこと。また、形式ばらないで、気軽に酒を飲むこと。
      1. [初出の実例]「酒興のうかみたる時は、故人が来れかし。一盃のまんと思ふ也」(出典:中華若木詩抄(1520頃)中)
      2. [その他の文献]〔庾信‐燕歌行〕
    3. ③ 思う存分のこと。言いたい、また、したい限りのこと。
      1. [初出の実例]「宮中を一はいにしたほどに近臣が讒じたぞ」(出典:玉塵抄(1563)一六)
      2. 「灰(へへ)ふきから大蛇(てへじゃ)の出るやうな一ぱいをならべぬひて来たよ」(出典:洒落本・駅舎三友(1779頃)出立)
    4. ④ 金一両。また、明治以後は一円。
      1. [初出の実例]「祝儀は〈略〉宿へ三歩あるひは一ぱい」(出典:浮世草子・元祿大平記(1702)五)
    5. ⑤ 二合五勺はいる枡(ます)一ぱいの分量。
      1. [初出の実例]「小なから 二合五勺 一盃(いっぱい)」(出典:御国通辞(1790))
    6. ⑥ ( 「いっぱい食う」また、「いっぱい食わせる」の意 ) だまされること。また、だますこと。
      1. [初出の実例]「腹の立つ。むまむまと一ぱい」(出典:浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)七)
    7. ⑦ 性交、入浴などの一回。
      1. [初出の実例]「それでもいっぱいしに来たのじゃあろがな」(出典:洒落本・当世嘘之川(1804)五)
      2. 「あっしは湯へいっぱいはいって来ます」(出典:東京方言集(1935)旧市域の語彙〈永田吉太郎・<著者>斎藤秀一〉)
    8. ⑧ イカ、タコ、カニなどの一匹。
    9. ⑨ 船一そう。
      1. [初出の実例]「大船一艘(パイ)、海産物積んで」(出典:日本橋(1914)〈泉鏡花〉五九)
    10. ⑩ 商売を一時やめること。特に、近世の米市場で正米、帳合米とも商いを一時やめること。
      1. [初出の実例]「むちゃくちゃしたる館のすすはらひの為に、いっぱいとかいふ心もありて」(出典:洒落本・箱まくら(1822)上)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. ① 一定の容器や場所などに物が十分に満ちているさま。たくさん。
      1. [初出の実例]「啼悲みける涙、大なる手洗に一ぱい有けると聞しに」(出典:康頼宝物集(1179頃)下)
      2. 「知と思ふ気が胸中に一杯ををうぞ」(出典:足利本論語抄(16C)子罕第九)
    2. ② ( 「に」「の」を伴うこともある ) ある限りを尽くすさま。できる限り。ありったけ。じゅうぶん。
      1. [初出の実例]「いっぱい弓を引きふくらめたぞ」(出典:史記抄(1477)一五)
    3. ③ 時間や空間、数量などに関して、限度すれすれになっているさま。ぎりぎり。
      1. [初出の実例]「『皆さん。おしまい』『モウうちました』『一ぱいじゃといな』」(出典:洒落本・箱まくら(1822)上)
      2. 「向うの壁に充満(イッパイ)の、偉(おほい)なる全世界の地図」(出典:婦系図(1907)〈泉鏡花〉前)
  3. [ 3 ] 〘 接尾語 〙 ( 名詞に付いて ) そのものの限度まで全部、または、限度ぎりぎりの意を表わす。
    1. (イ) ある物、場所などが、すっかり何かに満たされる意を表わす。
      1. [初出の実例]「糸桜腹いっぱひに咲にけり〈去来〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)五)
    2. (ロ) ある時間、期間の限度、または、その限度までずっと、の意を表わす。「時間いっぱい」
      1. [初出の実例]「七日といふもいまいまし。来月一ぱい借(かす)ぞや」(出典:浄瑠璃・傾城反魂香(1708頃)中)
    3. (ハ) ある事柄や状態の限度ぎりぎりまで出す意を表わす。「精いっぱい」
      1. [初出の実例]「心はりちぎ一ぱいに、せんじつめたる水間のさと」(出典:浄瑠璃・五十年忌歌念仏(1707)上)

ひと‐はた【一杯】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「はた」は接尾語 ) 器などにあふれるくらいいっぱい。いっぱいなこと。
    1. [初出の実例]「文(もん)のきれちひさき唐櫃にひとはたにぞなりたりける」(出典:発心集(1216頃か)八)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「一杯」の読み・字形・画数・意味

【一杯】いつぱい

一杯の酒。唐・李白〔山中、幽人と対酌す〕詩 兩人、對すれば、山開く 一杯一杯、復(ま)た一杯

字通「一」の項目を見る。

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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