カンカン(ショー・ダンス)(読み)かんかん(英語表記)cancan

翻訳|cancan

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

カンカン(ショー・ダンス)
かんかん
cancan

今日ではフレンチ・カンカンの呼称で世界的に知られるショー・ダンス。もとは1830年の七月革命後パリで流行した2拍子の卑俗な社交ダンス。カドリーユから出たというが、語源は不明。一方、ドイツ起源の4分の2拍子の舞曲ガロップgalopがあり、1820年ごろから流行。この二つが、58年パリで初演されたオッフェンバック作曲のオペレッタ『天国と地獄』で結び付く。第2幕、神々のらんちき騒ぎの群舞「地獄のガロップ」が大ヒットし、以後、カンカンの群舞のクライマックスにはこの曲が使われるのがお定まりとなる。76年開場のモンマルトルのミュージック・ホール「ムーラン・ルージュ」はこのショーを呼び物にし、エロティシズムにあふれる衣装、振付けで人気を集めた。当時の情景ロートレックの絵画やポスターで有名。以後レハール作曲のオペレッタ『メリー・ウィドー』(1905)をはじめ、いわゆるベル・エポック(よき時代)のシンボルとして、舞台や映画に繰り返し取り入れられている。

[寺崎裕則]

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