(読み)ショウ

デジタル大辞泉 「小」の意味・読み・例文・類語

しょう〔セウ〕【小】

小さいこと。重要さの程度の少ないこと。また、そのもの。「大はを兼ねる」「宇宙」「企業」⇔
1か月の日数が、陰暦で30日、陽暦では31日に満たない月。「の月」⇔
田畑の面積の単位。太閤検地以前は120歩(約4アール)、以後は100歩(約3.3アール)。
小学校」の略。「・中・高・大」
名詞の上に付く。
㋐似ているが規模の小さいものである意を表す。「京都」
㋑同名の父子のうち、息子のほうを表す。「デュマ」⇔
㋒自分に関するものについて、へりくだる意を表す。「論」「社」「誌」
[類語]小さい小さなちっちゃいちっぽけ細かい低い小さめ矮小わいしょう寸足らずちんちくりん微小微細細微細密緻密ちみつ細か小振り小形小柄小作り小粒豆粒芥子けし群小最小小規模細細ほそぼそ零細ちんまりこぢんまりちまちまミニ

しょう【小】[漢字項目]

[音]ショウ(セウ)(呉)(漢) [訓]ちいさい こ お さ
学習漢字]1年
ショウ
ちいさい。「小心小刀小児しょうに狭小群小弱小縮小大小微小矮小わいしょう
少し。わずか。「小異小康小成小知
とるにたりない。「小身小臣
自分や、自分に関することを謙遜けんそんしていう語。「小社小生小弟
〈こ〉「小粋こいき小型小雨こさめ小銭小鳥
〈お〉「小川
[難読]小豆あずき小路こうじ小女子こうなご小筒ささえ小石さざれいし小夜さよ小火ぼや

こ【小】

[接頭]
名詞に付いて、小さい、細かい、などの意を表す。「馬」「石」
名詞に付いて、わずかな、少しの、などの意を表す。「雨」「降り」
数量を表す名詞や数詞に付いて、わずかに及ばないが、その数量に近いことを表す。ほぼ。だいたい。約。「一時間」「半時はんとき
動詞・形容詞形容動詞などに付いて、すこし、なんとなく、などの意を表す。「ざっぱりしたなり」「高い」「ぎれい」
名詞や用言などに付いて、軽んじたり、ややばかにしたりするような意を表す。「せがれ」「利口」「ざかしい」

お〔を〕【小】

[接頭]
名詞に付く。
㋐小さい、細かい意を表す。「川」
㋑語調を整えたり、表現をやわらげたりして、やさしい感じの意を表す。
「言しは誰が言なるか―山田の苗代水の中淀にして」〈・七七六〉
用言に付いて、少し、わずかという意を表す。「暗い」「やみない長雨」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「小」の意味・読み・例文・類語

ちいさ・い ちひさい【小】

〘形口〙 ちひさ・し 〘形ク〙 体積・容積・面積・程度・度合などが、比較的に小である。
① 空間を占める体積・容積・面積・身長などが小である。小形である。
伊勢物語(10C前)六九「ちひさき童をさきに立てて」
※枕(10C終)一五一「なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし」
② 年齢が少ない。成熟していない。幼い。
新撰字鏡(898‐901頃)「 小児 知比佐伊人也」
※あらくれ(1915)〈徳田秋声〉一「稚(チヒサ)いをりから善く外へ出て」
③ 音量が比較的に小である。音、声などが低い。
※順徳院御琵琶合(1220)「音勢もとよりはちいさくなりたれども」
※風立ちぬ(1936‐38)〈堀辰雄〉風立ちぬ「小さく叫んだ」
④ 抽象的なものごとについて、その程度、度合、価値などが比較的に小である。
(イ) 事柄の価値や重要性が乏しい。些細である。
※書紀(720)雄略二三年七月(前田本訓)「詔して賞罰支度(まつりことおきて)、事巨(おほきなる)と細(チヒサキ)と無く、並に皇太子に付(ゆた)にたまふ」
※天草版金句集(1593)「Chijsai(チイサイ) アヤマリヲ ヤメネバ、ノチニワ ヲウキナ アヤマリト ナル」
(ロ) 行動や動作、つくりなどについて、その規模が小である。また、人物、気持などが卑小である。度量が狭い。
浮世草子・西鶴織留(1694)一「ちいさい気からいへば一畳づり程になりて身の置所なし」
※若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上「江波は、〈略〉寛大な微笑をたたへて、小さく頭を下げた」
(ハ) 卑下した状態にある。身を縮める思いでいる。また、つつましやかである。→ちいさくなる
真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉八八「新吉は物をも云はず小さくかたまって坐り」
(ニ) 単位が下である。こまかい。
人情本・春色恵の花(1836)二「ちひさき金を二つばかり」
(ホ) 数量や程度がわずかである。
※彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉四「貧富の差も小さく」
ちいさ‐げ
〘形動〙
ちいさ‐さ
〘名〙

こ【小】

〘接頭〙 名詞や用言の上に付いて、小さい、わずかな、などの意味を加える。
① 名詞の上に付いて、その物が、小さい、細かい、などの意を表わす。親愛の情の意を含むこともある。「小島」「小山」「小屋」「小石」など。
古事記(712)下・歌謡「宮人の 脚結(あゆひ)の古(コ)鈴 落ちにきと 宮人とよむ 里人もゆめ」
② 名詞の上に付いて、その量がわずかであることを示す。いささかの。「小降り」「小銭」「小人数」など。
※万葉(8C後)一一・二四五六「ぬばたまの黒髪山の山菅に小雨降りしきしくしく思ほゆ」
③ 人、あるいは生き物を表わす名詞の上に付いて、年若なものであることを表わす。若い。後輩の。幼い。「小冠者」「小犬」「小童」など。
※源氏(1001‐14頃)乙女「小侍従やさぶらふ」
④ 数量を表わす名詞、数詞の上に付いて、その数量にはわずかに及ばないが、ほぼそれに近い意を表わす。およそ。ほぼ。「小半時」「小一時間」「小一里」など。
※北野天満宮目代日記‐目代昭世引付・天正一三年(1585)正月「十四日の小四つ時まで待候へ共」
⑤ 名詞の上に付いて、下の述語の表わす動作・状態の量や程度の小さいことを表現する。人体の一部を示す名詞に付くことが多い。すこし。ちょっと。「小首をかしげる」「小当たりに当たる」など。
※宇治拾遺(1221頃)一五「袖うちおろして、こつばきはきてゐたりけり」
四河入海(17C前)二〇「くいくいと小腹が立て」
⑥ 動詞・形容詞・形容動詞・副詞などの上に付いて、その動作・状態の量や程度が小さいことを表わす。すこし。なんとなく。「小ざっぱり」「小高い」など。
※古事記(712)下・歌謡「大和の この高市(たけち)に 古(コ)高る 市の高処(つかさ)
⑦ 名詞や用言などの上に付いて、軽んじたり、やや馬鹿にしたような意味を表わす。なまはんかな。「小せがれ」「小憎らしい」など。
※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)酈陸朱劉叔孫第一三「堅儒は小餓鬼めがと云やうな心ぞ」
⑧ 名詞や用言の上に付いて、ほとんど意味を加えることなく、語調を整えたり、強めたりするために添える。「こ甘い」「小しゃく」など。

しょう セウ【小】

[1] 〘名〙
① 形の小さいこと。また、長さ、幅、広さ、重さなどの程度が少ないこと。また、そのもの。⇔
※菅家文草(900頃)四・北溟章「挙小将均大、惟鵬自対蜩」
※露団々(1889)〈幸田露伴〉八「小(セウ)を捨て大を取り給ふは、当然の事に付き」 〔孟子‐梁恵王・下〕
※米沢本沙石集(1283)五末「長能卿の三月の小なりける年、名歌よみてこそ侍れとて」
※破戒(1906)〈島崎藤村〉一六「今月は君、小だらう。二十九、三十と、十一月も最早二日しか無いね」
③ 大刀の「大」に対して小刀をいう。脇差。
※咄本・鹿の巻筆(1686)四「我が所在は刀脇差なれば、大小と判じた」
④ 田積の一単位。太閤検地以前の一反三六〇歩(約一二アール)時代はその三分の一の一二〇歩、太閤検地により一反三〇〇歩(約一〇アール)となってからは一〇〇歩(約三・三アール)の面積をいう。
※正長元年記(1428)九月二七日「田地之一段三百六十歩、巨細令存知者希也〈略〉小と云ふは、一段の三分の一を云也」
⑤ 能楽で小鼓(こつづみ)のこと。
[2] 〘語素〙
① 名詞の上に付いて、規模の小さいもの、程度が大したことのないものを表わす。
花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉中「我邦の政事家は主義の小(セウ)異同を争ひ」
② 人名の上に付けて、父子関係のうちの、子であることを表わす。「小デュマ」「小ヤコブ」など。

ちっちゃ・い【小】

〘形口〙 「ちいさい(小)」の変化した語。
※咄本・滑稽即興噺(1794)五「とさんとさんあのちっちゃい唐子が壺わってゐるゑんまは何ぢゃ」
※不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉下「卿(おまへ)が幼少(チッチャ)かった頃、よく阿爺(おとうさん)に負さって」

ちいさ ちひさ【小】

(形容詞「ちいさい」の語幹から。→ちいさな)
[1] 〘形動〙 小さいさま。
※人情本・春色恵の花(1836)二「ちいさなる声にて」
[2] 幼児。
※浄瑠璃・いろは蔵三組盃(1773)二「ドレドレちいさよ。小さ刀伯父におこせと引たくれば」

ちっさ・い【小】

〘形口〙 「ちいさい(小)」の変化した語。
※雑俳・西国船(1702)「はいらする・をどりのいろにちッさい子」
※十三夜(1895)〈樋口一葉〉下「お内儀さんも御健勝(おまめ)か、小児(チッサイ)のも出来てか」

ちさ・い【小】

〘形口〙 ちさ・し 〘形ク〙 「ちいさい(小)」の変化した語。
※経信母集(11C中か)「ちさき家」
※童謡・こんこん小山の(1921)〈北原白秋〉「こんこん小山のお月さま、ついたち二日はまだ小(チ)さい」

ちっこ・い【小】

〘形口〙 =ちいさい(小)
※石川五右衛門の生立(1920)〈上司小剣〉一三「あんな小ッこいもんが色事も存じまへんでへうし」

ちいさい ちひさい【小】

〘名〙 幼児。幼年。
※浮世草子・傾城歌三味線(1732)二「お幼児(チヒサイ)を介抱してしんぜましや」

ちいちゃ・い ちひちゃい【小】

〘形口〙 「ちいさい(小)」の変化した語。
※団栗(1905)〈寺田寅彦〉「大きい団栗、ちいちゃい団栗、みいんな利口な団栗ちゃん」

ちいさ・し ちひさし【小】

〘形ク〙 ⇒ちいさい(小)

ちさ・し【小】

〘形ク〙 ⇒ちさい(小)

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